第十七話:友情
「皆さん、起きて下さい」
岩隈さんの声で皆起きた。そして、眠い目を擦りながら体を起こして周りを見渡すと、昨日まで居なかった山本の姿があった。
「自分も残る事に決めました」
山本が笑顔で言うと、皆も笑顔で返した。山本が来た事で昨日よりは皆、安心した表情になっていた。
そして、朝飯を食べるために昨日と同じく、バックの中を漁った。
そして、皆が食べ終わったら、昨日と同じく、下らない話しで盛りあがった。
そんな感じで盛り上がって居ると教室のドアが開いた。
バァーン
そこには山田さん、佐藤それから佐々倉の姿があった。
「遅れました」
山田さんが言うと、佐藤と佐々倉は何も言わなかったが、笑顔でこっちを見ていた。
「おぉ一気に来たな」
田代さんが言うと、自分達は笑顔で3人を迎えた。そして、3人を入れて又、バカみたいな話しをして、盛り上がった。
そして、盛り上がってるとスピーカーからチャイムの音が聞こえた。
キーンコーンカーンコーン
すると案の定、アイツの声がした。
「バカが多いな夢組には。自分もこんなバカと同じクラスに昔居たと思うと嫌になるね」
アイツのムカつく感じの声も聞き慣れたのか、冷静に聞けるようになった。
「まぁ、お前達はマシな方だ。あと1人だけ迷ってる奴に比べたらな。そいつは夢組の生徒でも無いのに、悩んでる、救い様のないバカだからな」
アイツがバカにしているのは、100%ヤマナカさんの事だ。という事はヤマナカさんと今夢組に居る人以外は、全員帰ったんだ。
「なぁヤマナカ、お前しか居ないからさ、制限時間を軽く早くしたから、あと1時間で決めろよ」
アイツがそう言うと、スピーカーから音が消えた。すると、廊下の方から誰かが走って来る音がした。その音は段々と大きくなり、確実に夢組に向かっている音だった。
(何かが近づいている)
全員に緊張が走った。
田代さんと加藤は喧嘩をする様な殺気が出ていた。
バァーン
勢い良くドアが開くと、そこにはヤマナカさんが居た。
「よっ!俺も残るわ」
ヤマナカさんだと分かると、自分達は安心した。特に田代さんと加藤は誰よりも力が入っていた分、膝から崩れていた。その光景を見たヤマナカさんは笑いながら夢組に入ってきた。
「いやぁ、寝ていたら俺しか残っていないとかアイツが言ってたから、急いで来たよ」
ヤマナカさんが言うと、緊張していた自分達がバカらしく思い、笑う事しか無かった。するとテレビからロボットの声が聞こえた。
「シレイ クリア」
それを聞くと、皆が安心した表情と共に、達成感で胸が一杯になっていた。
そして、テレビが消えると又、チャイムが鳴った。
キーンコーンカーンコーン
それが鳴り終わると、アイツの声が聞こえてきた。
「いやぁココまでバカだと逆に感心が持てるわ。これだから、お前達は人間じゃないんだよ。
お前達が帰れば人の命だとか勝負だとか非現実的な事全てが終わるのに、何で残ってるわけ?お前達の考えはわからんわ」
アイツは笑いながらも、何かキレてる様にも聞こえた。
「確かに自分達はバカかもしれない。こんな意味の分からない世界から逃げずに立ち向かっている。しかも赤の他人とは言え人の命が関係している勝負。普通なら帰るけどよ・・・これは自分で決めた事だ、お前にバカだって言われる権利は無いんだよ」
アイツが自分の考えをバカにしている感じがして、ムカついたからキレた。
皆は自分がいきなり大声を出した事で驚いていた。
「ふんっ。何を正義みたいに語ってるんだ。
確かに、お前が決めた事だ俺が何か言う事じゃない。でもよ、お前は人の命が掛かっている事を知っていて決めたんだよな?
お前が選んだ道は人の命より自分を優先した事にならないか?」
アイツは自分に問い掛ける様に言った。
「確かに自分は人の命を掛かっていると分かって決めたけど、自分を優先なんかにしていない。
自分はココに居る仲間と離れたくないから残った」
さっきとは、うってかわって冷静に自分は答えた。
「仲間ねぇ・・・その仲間は同じ気持ちかな。
お前の意見は自分の考えでしか無いんだよ」
「・・・・」
自分は返す言葉が無かった。それから、沈黙が続くと今度は加藤が口を開いた。
「お前言い返せよ。安心しろ、ココに居る皆が仲間だから」
加藤が言うと皆が賛同してくれた。自分は又、自信を持った。
「どうよ。ちゃんと仲間だと認めてくれたぜ」
自分は嬉しくて涙が出そうだったが、なんとか耐えた。
「ふんっ!熱い友情だね。つい最近までは名前も知らない仲だったとは思えないね」
アイツは軽くバカにしながら言った。
「友情に日にち何て関係無いんだ!一緒に笑えば友情が出来んだよ」
自分は腹の底から声を出した。アイツに聞かせるためじゃない。教室に居る仲間に聞いてもらうために、精一杯叫んだ。
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