「ああ。もうあかん。赤字やて。これはあかん」
ここはフィンランド。サンタクロースは自宅の書斎にて帳簿を広げながら頭を抱えていた。
「大丈夫ですよ」
後ろの暖炉に手を当ててあったまってるのは部下のトナカイくん。
「今年、サンタさま。めっちゃバイトしましたやん」
「したけど、したけど。もうあかんて」
「なんでですのん」
サンタさんははァとため息をついた。心なしか白いヒゲがよれよれしてる。
「見てみろよ。このちびっこったちの要望書。ほとんどゲーム機やないかい」
サンタさんが差し出した見積書を見てトナカイくんは目を丸くした。真っ赤なお鼻が真っ青になった。
「た、たかっ!」
「あのなァ、ゲーム機一台で五万円てどういう時代やねん。しかもほとんどのガキが希望しとんのやぞ。わしを殺す気か。働いても働いても生活がよくなりゃしねえ」
「確かにボクらの報酬はちびっこたちの夢見る心。ゲーム機希望じゃァ、夢もクソもありませんやねェ・・・・」
トナカイくんはホットレモンをすすりながえら、やれやれという表情をしていた。
外はものすごい雪である。
「ああ。もう道路工事の時間や。いかなくちゃ」
トナカイくんは、もう行く必要ないスよ、と言った。
「だって、そんな夢のないガキどもにプレゼントなんていらんスよ!」
「しかしな」
サンタさんはジャンバーを着ながら答えた。
「ゲーム制作会社の人たちもな、ちびっこに夢を与えるためにがんばってるんだ。わしだってがんばらにゃ。子供は神様じゃぞ」
トナカイくんもジャンバーを着始めた。
「サンタさん。お供しますよ。二人でやればバイト代も二倍でしょう」
「おお。お前」
「その代わり・・・・」
トナカイが咳払いした後、言った。
「ソリを新調してくださいよ。ボク、イブの日は万全の体勢で挑みたいんです」
サンタさんは腕を組んで、うんうんわかったわかったと頷いた。
「さて」
二人は家を出た。ものすごい吹雪である。真っ暗闇の中を二人は口笛を吹きながら進んだ。(了)
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