ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
奇々怪々な洋館での出来事。みらの先生は、飢野教授に電話をかけることに……
第21話 七人ミサキ
『飢野です。返事が遅れて申し訳ありませんでした』
 受話器の向こうから聞こえてくる飢野教授の声―――ああ、なんだか懐かしい。
『もしもし、どうかしたのですか? 何か私に訊きたいことがあったのでは?』
「あ、ハイ、飢野先生」私はすぐさま現実に戻って答えた。
 でも……えーっと、何を訊こうと思ったんだっけ……
 あ、そーだ、七人ミサキとかのことだった。
「あの、先生」私は訊いた。
「実はこっちで珍しいモノを見つけたんです。そのことでちょっとお聞きしたいことがあって―――」
『珍しい……なんです、それは?』
「ええ。地蔵のような石像なんですけど……」私は言った。
「七人ミサキっていうんです。それって何を意味するものなんですか?」
『七人ミサキ……』飢野教授はそこで沈黙した。
 どうしたんだろう? 先生にもわからない何かなのだろうか?
「あの、先生?」私は訊いた。
「わからないならいいんです。後で自分で調べますから……」
『怨霊ですよ、神野さん』
「えっ」
 突然発せられた怨霊という言葉の響き―――私はしばし言葉を失った。
『端的に言いましょう。七人ミサキというのは四国で言われている七人の死者の亡霊のことです。彼らは自分の身代わりとなる犠牲者を待っているのです。順に七人の生者を取り殺すことによって、彼らは一人ずつ成仏する―――似たような伝承がわりに西日本に多く分布しているといいます』
「そんな……まさか……!」私は全身に鳥肌が立つのを覚えた。
 でも―――私はすぐさま不吉な予感を打ち消した。
 蛇ヶ谷の七人ミサキは、もとは五体の石像だった。
 そこに後から二体が付け加えられた。
 あの石像が取り殺された人たちのための供養仏だとしたら―――大正時代に最後の二人が加わり、その時点で七人ミサキの呪いが終結したということを意味しているに違いないのだ。
 七人ミサキ―――危ないところだけれど、ギリギリでセーフ。私たちに害が及ぶことはない。
『ところで他の人たちは元気にしていますか? あのセンポ・スギハラの女の子―――』
「センポ……ああ、エステルのことですか?」
『そう、エステル・アシュケナージ。元気にしていますか?』
「それはもう」私はため息をつきながら答えた。
「元気どころか……もうメチャクチャなんですよ、彼女?」
『そうですか』飢野教授は愉快そうに笑った。
『一度彼女に話を聞いてみたいと思っているのです。ユダヤの人たちがセンポ・スギハラのことを実際どう思っているのか―――日本人としてぜひ聞いてみたいのです』
「ユダヤ?」私は思わず訊き返した。
 ユダヤ……エステルはユダヤ人?
『違うのですか、神野さん?』飢野教授は言った。
『彼女の姓Askenazyアシュケナージというのは“ドイツ人”という意味です。つまり、ドイツや東欧に移住したユダヤ人の集団を意味する言葉なのです。ほら、2004年にNHK交響楽団の音楽監督に就任したウラディーミル・アシュケナージ……あと、有名なカバリスト“聖獅子ハ・アリ”ラビ・イサク・アシュケナージ・ルーリア――彼らもみなユダヤ系です』
 知らなかった……“アシュケナージ”という名字がそんな意味を持っていたなんて……。
 今回起こった一連の出来事―――その隠されたもう一つの側面。
 この洋館は来日した“ユダヤ人”ワートハイマー氏の別荘。
 そして、“ユダヤ人”エステルの曾祖母Sheena おばあちゃんもまた日本で生まれた……。
 モナリザ、切り裂かれた聖母マリア、七人ミサキ、そしてエステル……
 きっと何かがつながっている―――
 
 それがいったい何なのか―――
 やがて私は知ることになるのだ。

                              第21話 終
七人ミサキの呪いをどうにかクリアした(?)みらの先生。
今度は根も葉もないユダヤ陰謀説に惑わされて……大丈夫!?
次回、聖母マリアの大予言!?
りさこの公式ブログです☆ 気になるお話、いっぱいです♪
りさこのギャラリー☆画像がいっぱい  小説の原作漫画やCGなど、いっぱいです♪
クリヤマアイコさん ある意味、一部JCの間で囁かれた都市伝説です……
りさこの動画のお部屋  りさこのいろんな動画がいっぱいです


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。