ある男の子から「夜に読むの、怖くてやだ(;_:)」って言われてしまった「エステル」。
そのうち朝になるから、怖がりの人も安心して読んでくださいね(*^_^*)
さて、今回は峠の休憩所の続きから。みらの先生と茶谷くん、急接近!? キャッ☆
第12話 これは恋なのかしら
四月三十日 蛇滝村〜バルディ邸
4月30日―――私たちは大峰村まで峠一つというこの場所で、メイ・イヴを迎えた。
二人の子供―――エステルとガブリエッラは、すでに安らかな寝息を立てていた。
無理もない。私たち大人だって、もうクタクタなのだから。
茶谷くんもまた向かいのベンチで横になっていた。
月光がそんな彼の背中を白く照らし出していた。
と、その時
グーッ
森閑とした山中に響くお腹の音。
やだ、私、お腹鳴っちゃった。
私は思わずお腹を押さえた。
ああ……お腹へった……こんなにお腹へってたら、とてもじゃないけど寝るなんて無理。
みんなカップラーメン一つでよく平気よね……
ゴソッ
物音とともに、茶谷くんが身を起こした。なんだろう? トイレだろうか?
それとも……
「あのさー、みらのさん」
茶谷くんは私の方を向いて言った。なに? なんなの?
「これ、食べなよ」
茶谷くんは何かの袋を差し出した。
「え……」
彼の意外な行動に、私の胸は高鳴った。
「あ、ありがとう。でも……いいの?」
私は包みを受け取った。
「そんなのでお腹いっぱいにはならないと思うけどさー……でもおいしいから」
茶谷くん……
私は何だか嬉しくなって、さっそく袋の中身を取り出した。
「うっ……!」
……なんだこれ?
これって……梅干のお菓子じゃないのよ!
私は固まった。どうしよう……こんなジジくさい食べ物、私の好みじゃないのに……
私はもっと甘〜いものが好きなの!
ったく、5年も一緒に暮らしているのに、なんで私の好みがわからないのよ!
「ご、ごめんなさいね、茶谷くん」私は正直に言った。
「私、梅干って苦手なの。せっかくもらったのに……ごめんなさい」
言っちゃった……
でも私、食べ物のことは譲れない性格だから。
「あ、そう」茶谷くんは首をかしげながら言った。
「おいしいと思うんだけどな、僕」
彼は私の手から袋を取り戻すと、それを再び旅行カバンの中にしまいこんだ。
「そういえば茶谷くん」
私は気まずい雰囲気をどうにかしようと思い、話題を変えた。
「さっきガブリエッラさんと何を話していたの?」
訊いちゃった……
これって、もしかしたらやきもちかしら?
「え? 別に……」茶谷くんは呟くように言った。
「僕、初対面の人とはそんなに話さないから……知ってるでしょ」
「そう……そうよね」私は安心したように頷いた。
「ガブリエッラさんってさあー、お父さんが投資家なんだってね」
「ええっ?」
彼の言葉に、私は思わず顔をあげた。
何よこの人、ガブリエッラとは話さなかったんじゃないの?
なに勝手に彼女の家族の話まで聞きだしてるのよ、こいつ!
「彼女のうち、もともとは代々フィレンツェで美術商をやっていたんだって。だけど彼女のお父さんは、若い頃に株で大もうけして、その時の蓄えで今はのんびり暮らしてるんだってさ」
「そ、そうなの……?」
ヤバイ……
株っていったら茶谷くんの大好物じゃないのよ。
どうしよう、完璧に興味もっちゃったみたいだわ、彼……。
茶谷くんは続けた。
「ガブリエッラさんのお父さん、日本の株でもずいぶんと儲けたみたいなんだよ。ジム・ロジャーズみたいにさ」
そ、そんな人が、何だって私や茶谷くんみたいなチャランポラン小説家のファンになっちゃったんだろう?
日本かぶれが間違った方向にいっちゃったとか……?
それはともかく、たとえチャランポランでもなんでも――茶谷くんには、小説を書き続けていてもらいたかった。
それが今の私の正直な気持ち。
最初に作家としてデビューしたのは私のほうだった。
小説の仕事が忙しくなった私の代わりに、喫茶店『ラピュタ』を手伝ってくれたのが茶谷くん。こうして私たちの同居生活が始まったのだ。
同居と言っても、私たちは母屋の部屋を別々に間借りしているだけのただの下宿人同士。
別に恋人とかカップルとかそういうのじゃない。
でも――互いの部屋を行き来して、それぞれの作品について語り合ったあの頃の日々が、今となってはなつかしい。
「――みらのさん?」
訝る茶谷くんの声――私はハッと我に帰った。
「どうかしたの? 何か変だよ?」
心配するというよりは、何かあやしいものでも見るかのような茶谷くんの眼差し……
そういう無神経なところは、出会った頃から全然変わっていない。
「別に……なんでもない」
私は唇を尖らせながらそう答えた。
そう、私たちはただの同居人。それだけの関係なのだから……
それよりも、私たちもそろそろ寝なければ。
ゴールデン・ウィークはまだ始まったばかり。
それなのに私たちは、まだバルディ家にすら辿り着いていない。
途中でグロッキーにならないためにも、今はしっかりと眠っておかなければ……
ここに大峯行きのバスが来るのは朝の8時57分。
それまでにバルディ家と連絡がつけば、それがベストなのだけど……そればかりは何とも言えない。
そんなことを思いながら、私はいつしか眠りに落ちていた。
茶谷くん……
気がつくと、私は夢の中で彼の名を呼んでいた。
夢の中で……私は確かに叫んでいた。
茶谷くん、あなたのことが好き―――
それは果たして本心からの叫びだったのだろうか?
それとも……
今の私には何もわからない。
第12話 終
私は天皇誕生日にふられちゃったこと、あります……しくしく(;_:)
もう恋に疲れちゃった……えーん。
りさこの公式ブログです☆ 気になるお話、いっぱいです♪
りさこのギャラリー☆画像がいっぱい 小説の原作漫画やCGなど、いっぱいです♪
クリヤマアイコさん ある意味、一部JCの間で囁かれた都市伝説です……
りさこの動画のお部屋 りさこのいろんな動画がいっぱいです
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。