第10話:つらい過去 前
… 過去 …
…私のつらい過去は、家族の死。私の召し使いのつらい過去は、悪魔の友。
私は、あの日寝室で眠れないまま朝を向かえた。頭の中で、『家族は私のせいで死んだ。』と言う言葉が何回も何回もぐるぐると回っている。
そして、あの声の事も考えていた。あの声の主は誰なのか?あの声は、何を言いたいのか?突然現れてとても恐ろしいことを言いにくる。あの声は、一体…
ガチャ。
「おっはよう〜♪」
私が、こんなにも苦しくて悲しい思いをしているのに、私の気持ちを知りもせずガーノが明るく寝室に入ってきた。
「どうしたの?こんな所で寝込んでて。いつもなら私と一緒に遊んでいる時間じゃない?」
ガーノは不思議そうに私を見つめる。正直、今はガーノと話したくない。一人でいたいのに。
「別に…なんでもないよ。悪いけど、ガーノ出て行ってくれる?」
ガーノと話したくないのが顔に出てたのか、私の言った言葉を気にしたのかよく分からないけど、ガーノは少し怒り気味で言った。
「あのさ、私あんたになんかしたかは分かんないけど、どう見てもなんでもなく見えないんだけど!」
だから何?ガーノには関係ないじゃん。早く帰ってよ。
「ごめん、一人にさせて。」
「なんで?具合悪いの??なら、私が一緒にここにいるよ。」
どうして?一人にさせてって言ってるのに。
「本当に一人にさせて!あんたなんかさっさと出ていってよ!!」
怒鳴ってしまった。私は、気持ちを抑えられなかった。
「い、いきなり何を言うのよ!ちょっと、自分勝手すぎるよ。」
「… …」
私は何も言わない。もう私の頭は家族の死やあの声のことで精一杯だった。
「ふん!こんな人が私の魔女だなんて…私の友達だなんて思わなかったよ!!!」
ガーノはそう言うと、私に後ろ姿だけ見せて出て行く。
ガチャリ
ドアを開け 彼女は出て行った。
寝室には一人ぽつりと私はいた。さっきまで口げんかしていたのに、今ガーノは出て行った。
なんだろう?この気持ち。今までだってけんかしたときはあるけど、必ず次の日には謝っていた。なんだろう?この気持ち。ガーノには明日会えず謝れない気がする。なんだろう?この気持ち。今、今私は初めてできた友達をなくしたの…?
私は馬鹿だ。ガーノは心配してくれたのに、私は、私は自らガーノとの友情の縁を切ってしまった。目に泪がたまるのが分かる。
私、これからどうしよう。
バン!!!
カツ、カツ、カツ、ドサ。
彼女は、ドアを開け歩き私のベットに座った。
「な〜んちゃって♪」
ガーノは、再び入ってきた。ちょっと、いたずらそうな顔で。
「あんたがそんな態度とるからいけないんだよ。あんた何かあったんでしょ??言ってよ!!私はあんたの召し使いだし…友達なんだし。」
最後の方の言葉は、一番うれしかった。
「うぐ、ガーノまで、ぐす、ぐすん、私のせいでっ うぐ、ぐっ、いなくなるかと」
いつのまにか私は大泣きだった。そんな私を見て、ガーノは
「私はいなくなったりしないよ。ず〜と、あんたの召し使いだよ。」
そう言い、抱いてくれた。私は魔女になって、初めて人の温もりを感じた。
「ひく、私のせいで、ひく、ぐすん、家族が死んだの…」
私は泣きながら、これまでの事を話した。家族の事、人に不気味がられていたこと、二人の魔女の出会い、私が魔女になった事、悪魔〈ディスペア〉の事、…私のつらい過去のことを……
すべてを言い話す私を、ガーノは黙って聞いてくれた。それがどんなにうれしい事か…
けど、私は[あの声]のことは言わなかった。 と言うより、なぜか言えなかった。
私の話を聞いて、彼女は
「よく、頑張ったわね。」
それだけ言ってくれた。私も、もう泣きやみ落ちついていられた。
すると、突然ガーノは茶色いローブを脱ぎ出した。すばやく脱ぎ終わると、
「実はさぁ、私もつらい過去があったんだよね…」
ガーノから今まで聞いたこともないか細い声でガーノは話そうとする。
なぜかローブを強くにぎりしめながら。
5年前
私が9歳の時の話。そのころの私は、まだ自分の一族が魔女に使える召し使いだなんて知りもしなかった。毎日、毎日人間の子供達と遊んでいた。
そんなある日、いつものようにお母さんに言われた。
「ガーノ、いいかげん人間の子達と遊ぶのはやめなさい。」
「人間の子達じゃないよ!友達だもん」
お母さんは、いつも言う。人間と遊ぶなと。
私だって、お母さんだって、人間なのに。どうして??
「だから、私達の一族は人間に関わっちゃダメなの。…あなたが10歳になれば教えてあげるけど…ガーノは」
「いってきま〜す。」
お母さんの説教が始まる前に私は家をでた。これも、いつものこと。
私の家は、なぜか10歳になると変な儀式をし、隣にある汚くて、窓がすべて割れてある家に行かなければならないと言う。そこで何をするかは教えてもらえなかった…だから私は絶対10歳にはなりたくないと思っていた。10歳になったら、何かが変わってしまう気がするから。
この日も人間の子供達と遊びまくって家に帰るとこだった。
帰り道に、一人の女の子に出会った。
その子の顔は見えずらかった。茶色いローブを着ていたし、なにより泣いていたからだ。
「どうしたの?」
そう聞いても、彼女は何も言わない。ただわんわんと泣くだけ。
「名前は、何って言うの? 私は、ガーノ。」
そう言うと、泣きながらだけど答えてくれた。
「ヒク、ウグ、わ、私の名前は、…サッド。」
これがあの子との出会い。
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