第9話:憎しみ
… 憎しみ …
…私が悪魔を憎しみ始めたのは、このときからだろう…
ガーノから悪魔達の話を聴いて、私は家に帰るところだった。
今まで、人間を憎んでいた自分がとても馬鹿らしく思えた。
ガーノやエリーヌ達は、きっと悪魔を倒すために頑張って生きたんだろう。たとえ、人間達に嫌われても… でも、私はただ人間達を憎むだけ…
それがとても馬鹿らしかった。
そんなことを考えてるうちに、家に着いた。
今の私の家は、魔女の家。
この家は、壁は崩れていて、窓はすべて割れている。見ただけで魔女の家と分かる。
この家に、エリーヌとアンネ、私が住んでいる。
そういえば、エリーヌが話したいことがあるって言っていたなぁ… 何の話だろう??
ふと、そんな事を思い始めた。
そして、いつのまにか日が暮れていて家の屋根には、数匹のカラスがとまっていた。
そのカラス達がいたせいか、いつもより更に気味が悪い家になっていた。
家の中に入ると、エリーヌとアンネがいた。エリーヌはあいかわらず睨むように私を見つめる。でも、アンネの様子は少しおかしい。いつもの笑顔ではなく、悲しそうな顔で私を見ていた。
「ずいぶんと帰ってくるのが遅かったね。」
エリーヌがそう言った。
「すみません。 あの、大事な話って何ですか??」
そう聞くと、アンネは下を向いた。
エリーヌの顔は、曇っていった。
嫌な気分だ…。こういう状況は、絶対最悪な話をされるに決まってる。
二人の表情が私にそう伝えてる。
「カーリー、落ち着いて聞きなさい。」
エリーヌがそう言い、話す。
「あんたの家族を殺した犯人が分かった。」
!!!!!!
え………!!!
私の…家族??? 殺した??? 犯人???
!!!!犯人!!!!
家族のことは、忘れたわけではない。 思い出したくなかっただけ。
たくさん悲しんだから思い出したくなかった。
犯人に復讐したいと言う気持ちを抑えるためでもあった。
今は、もうその気持ちは抑えられない。
「誰が殺したんですか?」
誰が? なんで?
誰であろうと絶対許せない。
疑問と怒りが頭の中でぐちゃぐちゃになりながらも、そう聞いた。
エリーヌは、一瞬迷ったような顔をしたがすぐにいつも通りの無表情で答える。
「…ディスペア…」
ディスペア?ガーノの話で聞いた名だ。
「ディスペアっていう奴は・・・・」
「ガ、ガーノから、そのことは聞いています。」
エリーヌが説明しようとしたが私は二度も同じ話を聞きたくなかったのであわてて止めた。
「そうか… あのガーノが話したのか…」
エリーヌは、そう呟いた。
ディスペアは、巨大な力を持つ悪魔。どんな悪魔でもこの悪魔に従う。
そんな悪魔がなぜ私の家に?? なぜ、私の家族を??
「それは、間違えではないんですよね?」
「ああ、たぶん。あんたの家で感じたあの強い魔力は私が見たどんな悪魔よりもぜんぜんすごかったしね。」
「なんで私の家族を殺したんですか?」
「分からない。ディスペアなんて今まで現れたときがなかったからね。…でも……」
「???何ですか???」
「いや、何でもない…」
エリーヌは、何か言おうとしている。でも、何を言いたいのかまったく伝わらない…
怒り狂ってる私はなんだかイライラしてきた。
「そんなこと言わずにすべて教えてください!!」
少し怒りぎみに言ってしまった。
「後悔するかもしれないよ。」
今まで黙っていたアンネが突然言い出した。
でも、私は迷いもなく、
「それでも、話してください。」
と、言った。
「分かった。カーリーがそこまで言うなら教えてやる…
ディスペアが、どうして現れたのか分からない。でも、もしかしたらカーリー、あんたの魔力を感じたからディスペアは現れたのかもしれない…」
「え?…でも私がまだ魔女になる前に殺されたんですよ?」
「あんたは、魔女になる前から弱いながらも魔力はあったとアンネは言ったはずだね。ディスペアだってどんなに弱くてもあんたの魔力を感じたと思う。」
エリーヌは、そう言った。私にはよく理解できない。
「ディスペアは、あんたの魔力を感じる家に行き、あんたの家族を殺した。けど、そこには魔力の主であるあんたの姿はなかった…と言う訳だ。」
ディスペアは、私の魔力を感じて私の家に来た??
私の家へ来て、私の家族を殺した??
そのとき、私は学校に行ってていなかった??
私がいなかったから、家族は殺された??
私がいれば、家族は殺されなかった??
私のせいで、家族は死んだ????
「そんな…私のせいで家族は死んだの?」
「そういう訳では、ない。あんたのせいではない!!」
「そうよ!!あなたの家族は殺されたけど、あなたは殺されてはいない。悪魔たちと戦えばいいのよ!!!そうすれば、あなたの家族の死は無駄じゃない。」
エリーヌやアンネが必死で私を助けようとしている。
でも、そんな声は私に届かなかった。
今、あの不思議な声が聞こえるから…
______さびしい。
______助けて。
この声は、今の私が感じてる感情に似ていることを言ってくれる。
そういえば、この前と同じことを言っている。
ふと、不安が胸を横切る。
この前は、さびしい、助けて、と言ったあとみんな死ねばいいと言ったはず。
もしかして、またそんなことを言うのかもしれない。けど、あの声はそう言わなかった。
______悲しいよね?
私に問いかけてる??
______うん、あなたに言ってるの。
______家族と一緒に死にたかったよね?
え?????
あの声は、そう言って消えた。なんでそんなに死のことを言うのだろうか?
何もこんなときに来てほしくなかった。
「カーリーどうしたの?」
アンネにそういわれて、意識が戻った気がする。
「何でもありません。 少し、寝かせてください。」
「そう、 分かったわ」
そう会話をして、私は寝室へ行った。
ディスペア、私はあなたを殺したい…
本当に、心からそう思う。
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