マスクマン(9/35)縦書き表示RDF


マスクマン
作:ばよひ



第9話〜先の見えない糸〜


「おはよう」
僕が教室に入るなり、大石が話しかけてきた。

「おはよう。あれ?髪を切ったの?」
僕はかなり短くなった彼女の髪を見てそう言った。

「うん。ちょっと切りすぎたかもって後悔してるけどね」
そう言いながら自分の髪を触る彼女。
少し照れる姿に愛嬌を感じた。

「前のも悪くないけど、今の髪型も似合ってると思うよ。これから暑くなるし、
そういう髪型も格好いいよね」
「そう?ありがとう」

なんとなく僕と大石がいいムードになりかけた時、
その二人の空間に割り込んでくる声が聞こえた。

「おっす。おはよう」
青田だった。
彼に悪気があったわけではないのだろうけれども、
せっかくいい雰囲気だったのに・・・残念だ。

僕は青田の顔をジーっと見ていた。
僕の視線に対して不思議そうな顔を浮かべる彼。


僕は青田に聞きたいことがある。

"大野と奴を知っているか?"

"最近、また女を泣かせたか?"

他にも色々とあるのだが、この状況では切り出しにくい話題ばかりだ。


「そうだ。大石、借りてたCD返すよ」
青田が大石にそう言い、CDを渡す。

どうやら以前、僕が借りていたものと同様のもののようだ。

最近、青田は大石を僕の家から送ったり、CDを借りたりしている。
それだけではなく、何かと青田は大石と話をしたがっているように見えるし、
僕らと話をしているときも大石の事を話すことが多い。

青田は大石に気があるのか?

僕があれこれ考えていると、
朝のホームルームの始まりを告げるチャイムが鳴り僕達は自分の席へと戻っていった。

なんだか考えてばかりで実行に移せないことばかりだ。
どうも良くない。
この状況をなんとかしないと・・・。


そして、迎えた昼休み。
いつものメンバー、すなわち僕に青田、川野の3人で食堂でのランチタイム。
僕は朝の反省を生かして青田に聞きたいことをストレートに言った。

「青田、お前B-5クラスの大野って女を知っているか?」
「誰だそれ?全く知らないぞ」
青田はキョトンとした顔で僕に言った。
とぼけている感じではない。
どうやら本当に知らないようだ。

「そうか。いやなんかその大野って女がお前の事好きなんじゃないかという噂を聞いてね」
大野が青田の事が好きなんてのは全くのデタラメだ。
なんで?と聞かれる前に適当な理由をつけてこの話をやめにしようと思った。
僕としては青田が大野の事を知らないのであればもはやそれ以上、
この話をする必要はない。

「ほう。俺は全く知らないなぁ・・・。可愛い子ならこちらからお願いしたいくらいだけどね」
青田がおちゃらけた口調で言う。

「あれ?お前は今、彼女いないんだっけ?」
川野がミートソース味のスパゲッティーをクルクルとフォークに絡ませながら青田に言う。

「今はフリーだよ。I am Free Man」
「なんだこの前まで付き合っていた相手とはもう別れたのか。
お前の女関係は本当に良く分からないな」
川野が呆れたといわんばかりの言い方で青田に言った。

僕はもう一つの聞きたいことを切り出すいい機会だと思い、青田に尋ねてみる。
「お前、また女を泣かせるようなことをしたりしてるんだろ?」
「またってなんだよ。またって。俺は女を泣かせるようなことはしたことはないよ」
「よくもまあ白々しく言えたもんだ。今までの恋愛を振り返ってみたらどうだい?
思い当たる節が沢山あると思うが」
「プレイボーイだからな俺。モテる男は辛いよ・・・。いつだって悪者にされてしまうものさ」

よくもまあここまで言えるものだ。
これで本当にモテているのだから僕も青田を見習うべき部分は沢山あるのだろう・・・。
女心ってやつは良く分からない。

「そういう石橋君。君は最近やたら大石と仲いいじゃないか。大石のこと好きなの?」
川野がニヤニヤしながら僕に言う。
思わぬ展開に僕は一瞬たじろぐ。

「友達としては仲がいいけどね。好きだとか嫌いだとかそういう関係ではないよ」
なんだか芸能人の熱愛報道の否定コメントみたいだな。
自分で言っておきながらそんなことを思う。

「またまた。髪型が似合ってるとか言ってニヤけていたくせに」
川野・・・お前は見ていたのか。
昔、"家政婦は見た"という番組があったがどこで誰に覗き見されているか分からない。
だけど、その時の僕の顔がニヤけていたとは思えないけどな。

「中沢とはどうなんだ?なんか二人で帰ったりしていい雰囲気なんじゃないの?」
今度は青田が言い出した。

「二人で帰ったって鍋パーティーの帰りの話か。あれは普通に駅前のスーパーに用があって、
そのついでも兼ねて送っただけだよ」
いつの間にか僕が質問攻めにあっている。
大体なんで青田が鍋パーティーの帰りに僕が中沢と帰ったことを知っているんだ?

「青田、そういうお前はどうなんだ?お前だって大石と二人で帰ったりしてるだろ。
次のターゲットは大石か?」
「なんだお前ら。俺だけ仲間はずれでいつの間にか二人とも大石と中沢とチチクリあっているの?
ちくしょう。きったねー奴らだ」
唯一、話題がない川野。
こういう話題で何もないというのも哀しいな。

「川野、お前はその性格をなんとかしないと・・・」
「青田先生、僕に恋の方程式を教えてください」
「方程式なら石橋のほうが得意だろう」
そこで僕かよ。思わず心の中で突っ込みをいれる。

「僕は数学の方程式は説明できるけど・・・恋の方程式は解けないよ」
ちょっとキザな言い方で言ってみた。

・・・誰もウケない。哀しいな僕。

「さてと、教室に戻ってポーカーやろうぜ」
3人とも昼食を食べ終えた会話も一段落。
食器を片付け教室へ戻り、最近クラスで流行のポーカーをすることに。



青田は大野の事を知らない。
青田と大野に繋がりがないのだろうか?
ということは依頼者大野ではない可能性が高い。

それに・・・大石と青田の関係も気になる。













ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう