第24話〜打ち上げは我が家で〜
「えーみんな2日間に渡る文化祭も無事終了し、お疲れ様でした。
打ち上げをするなとは言わないけど、ハメをはずしすぎないようにな」
担任教師の締めの言葉で文化祭は多くの思い出を残して終わりを告げた。
「よっしゃー、打ち上げどこ行く?」
いつもに増してテンションが高い川野。
カラオケだと青田が中心になりそうだしなぁ・・・。
なんて言いながら青田をからかっている川野。
カラオケと聞くと横山のことを思い出してしまう。
彼女も今頃きっと打ち上げを何処にするか考えているのだろう。
一緒に行く相手は生徒会のメンバーか、
それともクラスメイトかは僕に想像はつかないけれども。
僕らに限らずクラスメイト達は皆、
文化祭から解放されたせいか、いつもより何割増しか明るい顔をしている。
来月になれば今度は本当に最後のイベントとなるであろう、修学旅行が待っているのだが、
きっとこの文化祭か、修学旅行が多くの生徒にとって最高の思い出になるのだろな。
そんなことを思いながら騒ぐクラスメイトを眺めていた。
「よう、何しけた面しているんだよ。お前は何処か行きたい場所はあるか?」
「いや、特には・・・」
青田につまらない返答をする僕。
特別行きたい場所なんて特にない。
僕らが行くところといったらファミレスかカラオケが定番で、
他と言われてもゲームセンターくらいしか思いつかない。
「ねえ、石橋の家でまた前みたくみんなで何か作って食べようよ」
大石が思いついたように言う。
「おおーそれナイスアイデアだね。そうしよう。みんなもいいよね?」
大石の意見にみんな賛成らしい。
僕の家の事情を聞く前に行き先を決定されても困るわけだが、
家の事情なんてありっこない。
「僕の家で集まるのはいいけど、何も用意していないぞ」
用意していないどころか、散らかっている状態だ。
見られて困るものが放置していなかったか考えたが、
僕の記憶では見られて困るものは常に見られないような場所に置いてあるから大丈夫なはず。
「そんなの全然構わないよ。それじゃあ適当に駅前のスーパーで買い物してから行こう」
というわけで、駅前のスーパーへと向かう僕ら。
前回、僕の家で鍋パーティーをやったときとの違いは、
メンバーに池田が追加されたことと、今回は鍋でなくギョーザが主食になることくらいだ。
「ギョーザって何を材料にしているんだろ?豚肉とタマネギ?」
「いや、豚肉とキャベツ、ニンニクにショウガってところじゃないか?」
「キャベツじゃなくて白菜が普通じゃないの?」
意見が割れる僕ら。
中に入れる具材はカレーと同じように家によって異なるのだろうか?
「先に本屋かなんかでレシピ調べてからのほうがいいんじゃないの?」
僕がまっとうな提案するものの、
「折角なんだから色々試してみよう」
という川野の意見に賛成の声が多く、僕ら堅実派の意見は却下されることに。
結局、買った具材は豚肉、キャベツ、白菜、タマネギ、ニンニク、ニラ、ショウガ・・・。
ここまではある程度、一般的な具材。
続けてチーズ、納豆、シーチキン、サツマイモ、バナナ、
トマトにチョコレートと危険な香りのする食材が続く。
「かなり買ったな。これだけあればお腹いっぱいになりそうだ」
「食べられる味ならいいけど・・・」
キャベツと豚肉のギョーザ、白菜と豚肉、タマネギに豚肉。
ここまではある程度いけそう。
続けて、チーズにトマト、納豆、シーチキン、サツマイモ、
バナナチョコと段々怪しくなってくる。
「大体チョコレートって溶けてめちゃくちゃになるんじゃないか?」
「そこを皮でカバーする」
「いや、出来ないだろ」
「俺の予想ではチーズはいけそうな気がするなぁ・・・」
「バナナチョコもデザート感覚でいけるんじゃない?」
様々な憶測を呼ぶギョーザ色物ギョーザ。
全てのギョーザを作り終え、いよいよ食事。
まず、キャベツと白菜、タマネギの比較から。
「キャベツが一番おいしくない?」
「私も」
「私は白菜のほうが好きかな?」
僕はキャベツ派。この戦いはキャベツ4、白菜2、タマネギ0の結果に。
豚肉との相性は好みによって分かれるようだ。
そして、ある程度お腹を満たした頃に色物ギョーザの登場。
チーズにトマト、納豆、シーチキン、サツマイモと食べてみる。
「チーズうまいな。納豆もいける」
「ってかチーズさっきの普通のよりおいしいんですけど」
「チーズが最強じゃね?」
予想外の事態。チーズとトマトの餃子が非常においしい。
イタリアンな味でギョーザとは別物の味だけれども、
これはこれで普通においしい。
色々と試してみるものだ。
僕としては納豆ギョーザもなかなかだったが、シーチキンとサツマイモに関しては微妙だ。
「それじゃあ最後いきますか。バナナチョコギョーザ」
「誰から食べるんだ?」
「そりゃ言いだしっぺの大石からでしょ」
「私じゃないよ言ったの。最初に言い出したのは智子だよね」
「冗談で言ったんだけど・・・。えー私が毒味するの?」
皆で押し付けあって誰も最初に食べようとしない。
当然、僕だってこんな危険なものをすすんで口にする気にはなれない。
最終的に言い出した人からということで中沢が食べることに・・・。
皆の視線が中沢の口に集中する。
・・・
・・・
「いや、おいしいよこれ」
「マジかよ!!」
川野が続けとばかりに口に入れる。
「なんか微妙・・・」
「タレつけて食べたからじゃね?普通、これにタレつけないだろう」
青田から鋭いつっこみが入る。
確かに正論だ。
「あーおいしいってほどではないけど、悪くはないね」
「私は好きだなこれ」
意見が割れるものの、人によってはいけるようだ。
だけど、ホットプレートにチョコが垂れるのは予想通り。
他の餃子と混ぜると大惨事になっていたな。
「それじゃあまたね。バイバイ」
ギョーザパーティーを終え、適当に談笑し終えたころに、
皆を玄関で見送り僕はソファーに寝転んだ。
本当に楽しい一日だった。
今日一日の出来事がひとつひとつがどれも楽しいことばかりだった。
走馬灯のように一つ一つが頭を駆け巡る。
この日も僕は心地よい眠りにつくことが出来た。
少し前まで眠れない日々が続いたあの頃が嘘のように。
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