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味噌おにぎり
作:上宮穂高




「ちょっと」
「?」
「今日、帰りにアンタん家に寄らせなさいよ」


……放課後の話。
あたしは、自分の席でのんびりと帰り支度をやっているヤツに声をかける。
「……どうしてまた」
いかにも、突然何だっていう顔ね。
「いいから。寄らせなさいよっ」
「……だから。どうしてまた」
あ〜、コイツ何て鈍感なの!? 未だにリスみたいな顔してあたしを見上げてる。
あたしはあたしで、ますます眉にシワが寄る。
「だ〜か〜ら〜っ! 何遍言わすのっ! アンタん家に寄らせなさいって」
「あ〜、もしかしたらいつものヤツか? 宿題写させなさいよ、って」
……ぶち。
「なっ!? アタタタタ……な、何だよ、いきなりぶって来やがって」
「……もう! いいからぁっ、寄らせなさいっていうのが分からないのぉ……!?」
いい加減にしなさいよね。
わざわざ教室の反対側にあるアンタの席まで来て、わざわざ頼んでやってるんだから……。
既にあたしは涙目である。
「……わ、分かったよ。寄ってけ寄ってけ」
……やっと認めたのね。反則なくらい遅いわよ。
その言葉を聞くとすぐ、あたしは自分の席に戻って手早く帰り支度を済ませる。
外は、少し雲の多いうす紅の夕暮れである。


「……しかしさあ」
「……」
「何で、急にウチに寄るなんて言うんだよ」
帰り道、外は春とはいえまだ薄ら寒い夕暮れ時だった。
あたしは、隣りにいる孝之には目もくれず、コートの襟を立ててサッサカ歩く。
「…………」
「……もしかして、本当に宿題なのか?」
「……どーでもいいでしょっ」
それもあるけど。何が悪いのよ、宿題の一つ二つくらい。
「図星……ね。いつもそうだけどさ、何だって俺なんか。お前の隣りの真山の方がよっぽど頭いいだろ」
「う、五月蠅いわねっ、アンタの写して何が悪いのよっ! 提出しておしまいなだけなのを有効活用してやってんのよ、有り難く思いなさい」
「……言い訳になってねぇ」
あたしは、ツイッと顔を背ける。端から孝之には向けてないけど。
後ろから吹く風のせいか、コートの中までヒヤッとする。そのお蔭であたしの足は更に早まる。
何よ、春だっていうのに。まだ冬でしょこれ!? 寒くてまだダッフルコートはしまえないし、まだ五時だってのにこんなに暗いし。
住宅街の中の一本道は、ポツポツと灯りがついているだけでほとんど薄闇。路面には、背高な孝之の影法師と、小柄なあたしの影法師が並んで淡く伸びている。空には雲も出始めた。
心がざわつく。
「……なぁ、そんな急がなくても」
「暗くなって来たでしょっ……、だから早く行くのっ」
それでなくてもあたしは早く行きたくて、うつむいたまま歩き続けた。


「……そこで待ってろよ。少しは落ち着いてろ」
それで孝之の家に着いたのはそれから十分ほど後。実際学校からはあたしの家より近いのに、何でこうも遠く感じるのかしら……もう、知ったこっちゃないわよ。
あたしは、孝之の家の居間で大人しくしている。言われたからしょうがなく。
外は、ひと雪来るんじゃないかっていうくらいに青黒く空が澱んでいる。炬燵に当たっているお蔭でまだ寒さは大丈夫になったけど……。
依然として、あたしの心はざわついている。
「ホレ、茶」
台所から戻った孝之の手には、お茶の入ったマグカップが二つ。何でマグカップなのよ。
あたしは、黙って受け取る。
「で」
「……?」
孝之も、炬燵の反対側に座って。
「何が分かんないんだよ。全部、とかは言うなよ」
……何よっ。早速あたしを怒らせたいの? そんなにあたし、バカじゃないわ。
「……数学っ」
……これだけにしてやるわよ。
まさかこのあたしが、全部分かんないなんて……言えるワケないでしょっ。
「ヘイヘイ」
面倒臭そうに、孝之はそばの自分の鞄からノートを取り出す。
あたしはうつむいたまま、渋過ぎるお茶をズズッと啜った。


「……手、止まってるぞ」
「……、……」
「……その問三の解き方なら、教科書の五十ページに似たの載ってるぞ」
「いらないお世話ッ」
「ヘイヘイ」
あたしはそそくさと五十ページを開く。
テレビもつけない六時過ぎの居間は、耳が痛いくらい静か。外が暗いからか、手元に射して来る電灯の光がやけに眩しい。
あたしは、分からないのを隠す為脳をフル回転させて問題と睨み合い。せめて手元だけでも勉強が進んでるように見せよう、とペンをノートに走らせる。
「……なぁ」
不意に沈黙を打ち破る声。
「何よっ」
「お前っていつもこうしてウチで勉強してくよな」
は? 何その質問。
「余計なこと聞いてんじゃないわよ」
「いやさ、いつもそうだろ。小学生の頃からずっと」
「……そう言うならあたしがいつも問題解けずに四苦八苦してんのも分かるでしょ」
「当人の為にならないからこれからも丸々写すのは却下」
何なの、自分があたしより頭いいのを鼻に掛けてそんな態度してるワケ? 余裕満々でケータイなんかいじっちゃって。
「……勉強してくれよ」
ひたすらペンを揮うそばで、ムーッ、とあたしの頬はふくれる。いいわよ、今はそう言ってればいいわよ。いつかはあたしだってね……
「ホントは頭いいんだからさ」
……それあたしを褒めたつもり? 今自分で言おうと思ってたのに。言葉のムダよ、そんなの……聞いてらんないわ。
「ま、その頭のよさも活かされたことはないけどな。頭の回転速くても通信票には四以上付いたことないし」
……ぶち。二回目。
「な゛っ!? 痛ッ……け、消しゴム投げて来んなよ」
「無駄口叩いてる暇があったら、自分の宿題終わらせたらどうなのよ」
「俺は終わってるから。お前が四苦八苦してる間に」
「……どーせあたしは遅いわよッ」


……それから十数分。
あ〜!! どうしてあたしだけこうも終わらないのっ!?
孝之なんてケータイいじるのもやめてダランと寝そべってるっていうのにっ!?
あたしはその真向かいで、相も変わらずテキストとノートを睨み続けている。
分からなさ過ぎてペン回しでもしてみる。それでも何も浮かばない。余計ちんぷんかんぷんになったあたしは髪でもいじってみる。ショートボブなのを無理して。あ〜あ、こんなことしてたらストレスかかって髪も傷むわよね……折角ケアして綺麗な黒髪保ってんのに。肌もヤバいのかな……ってそんなことどーでもいいっ!
第一! 何この因数分解って? 高次方程式って? こんなの将来使うワケ? 括弧と文字と数字の羅列じゃない。見てるだけで気持ち悪くなる。
でも、あたしは絶対に孝之には頼らない。頼らないのっ。
「……分かんないのか」
ほら、こんなこと言い出すからイヤなのよ。
「な、何バカなこと言ってんの? あたしにかかればこんなの!」
「そうは見えないな」
「何よっ! ダラ〜ンと寝そべってばっかの自堕落には言われたくないわ」
「……俺は宿題終わったんだよ。逆にお前は教科書見ながら目回してんじゃないか」
「う、五月蠅いわねッ! 暇なんだったらそこらの掃除でもしてなさいよっ、あっちこっち散らかってるじゃない」
「な、そりゃ人ん家の勝手だろっ!? つーかそんなとこ見てないで早く進めろよっ」
むぅ……そんなに言わなくたっていいじゃないのよ。
あ〜あ、所詮秀才に凡人の気持ちなんて分からないのね、いいわよいいわよッ!
孝之なんか、バカなこと言ってればいいのよ……ずっと。


「つーかさ」
「……」
「こういうのもずっとだよな」
「……今更終わった話題」
孝之がもう何を話しかけても。もう顔向けてやんないんだから。
「小学生からずっと」
「何で二回も言うのよ、言う意味ないでしょ」
あたしはうつむいたまま、視線の一つもくれてやらない。
さっき玄関の時計が七時のチャイムを鳴らしたのが聞こえたから、外はもう大分暗くなってはいるはずだった。ウチは共働きで父さんも母さんも遅いから……大丈夫ね。こうしてここに遅くまで居座っちゃうのもいつものことだし。
外はもう真っ暗闇なんだろう。
その闇が音という音を吸い込んでしまって、狭い居間は気まずいくらいに沈黙が深まる。
「……変わってないよな、お前」
そんな中だから、余計はっきりと聞こえた……孝之の言葉。
「それ……何のつもりなの」
「別に」
なら言わないでよね。気が散るじゃない。


でも、そういう孝之も変わってない。
こういう風に突然、ヘンなこと言うのも昔から。
近所の馴染みというか、何というか。あたしと孝之は昔から、ずっと何かにつけて一緒だった。
クラスだってそう。
ほとんど同じ、ここまで来れば腐れ縁ね。腐れ縁。
いつもクラス名簿の最初と最後に、

『相田孝之』

『渡部未沙紀』

って載ってるんだもの。飽きるくらい。


……あれ、何考えてんのよあたし。何でセンチメンタルになっちゃってんのかしら。
いけないいけない……。


そう思っても。
何故か頭の中は昔のことでいっぱいになっている。
いくら頭を振っても何をしても。
現実逃避……そう現実逃避なのよ! この問題がいけないのよね、あたしに合わせなさいよ、テキスト。
……そんなこんなであたしの頭には、雪が降るように、ポツ、ポツリと想い出が浮かび上がる。現実逃避ならいいじゃない。
そういえば、あたしってば何かとこのバカと一緒にいたわね。何でかしら。
夏休み冬休み、それから学校でも……学校以外でもそうだった。


  ──何で?──


……何か頭痛い。
ボーッとするわ。
この感じ……あの時に感じたもの。中一の時。
一度だけクラス離れちゃったのよね、腐れ縁もやっと切れたかしら、ってせいせいしたけどね。最初は。
でもその後一年間、何か物足りなかったのよねー……何故か。
やっと今分かったけど、何だかココロの中に何か気持ち悪いものが渦巻いてるみたい。


──何なの? コレ──


……どうしてよ。
どうして、こんなバカのことなのに、考えるだけで胸が苦しくなるのよ?
何? あたしホントにバカになった……? 何かヘンだよ……あたし。いつもみたいにしてられない。


……気のせいよね。気のせい。
そうでなきゃこのあたしが! こんなに取り乱すはずないもの。
あたしは大袈裟に頭を振って、もう一度ノートを睨む。仕方ないわね、問題だろうが何だろうがやってやるわよ。


でも。
あたしの手は……まるで自分のじゃないみたいに力が入らない……。
「……あれ?」
頭の中でそうつぶやく。
手が指が、震えて動かない。どうして? 動け動けと念を送った所でペン先が震えるだけで……使いものにならない。


何よぉ……?
あたし、何もできないじゃない。


遊ばしていた左手が、いつの間にか握り拳になってギュッと握り締められている。
『悔しい』……同時に、そんな言葉が胸の中に突き上げて来る。
悔しい……悔しいじゃない。
何もできてないのよ?
また孝之に言われる……バカにされちゃう……。


自然に、握り拳に力が入る。
音のしない居間に、炬燵に動けないまま、あたしは黙り込んで何も言えないでいる。
孝之はさっきから寝転がってばかり。カコカコとケータイのボタンを押す音だけが、いやにあたしの耳に届いてやまない。
もちろん、孝之はあたしに背を向けて顔も見せない。


何……よ、今度は、無視?
さっきは、ペンの音させてないと『分からないのか』なんて言って来たくせに。
何で、無視なんかするの?
ずっとあたしに構って来てたくせに。覚えてるんだからね……、昔からのこと。



──『覚えてる』?──

──『昔から
    のこと』?──



……何よ何よ、そしたらあたしってばこんなバカとのことをこの十数年ずっと覚えてたってこと!?
それじゃあバカみたいじゃない、あたしってば、あたしってば…………バカ、じゃない。
あたしは、きつく唇を噛み締めていた。


……それでも、あたしの脳裏には孝之のことが。
走馬灯のように、今までのことがグルグル回っていた。
そこにはいつも、あたしの隣りで笑っている孝之が……いた。
どうして……消えてくれないのよ。
孝之のことを思うだけで……胸がキュッと痛くなる。
こんな思い、消えてなくなればいいのに。


そう思うあたしは、ずっとうつむいていた。
だって……孝之の背中なんか見たくない。見たくないもの。


あたしのこと……本当に無視してるの?


何で無視してるのよ。


いつもみたいにこっち向いて。


一言ぐらい、かけて来なさいよ。


あたしを突き放すなんて……許さないんだから。





──ホタッ。


ペンを握って震えている手の甲に、熱い雫が落ちる。


そうよ。
こうしている為に、ここに来たんじゃない。
こういう思いをする為に、ここに来たんじゃない。
宿題なんて、二の次なのよ。
本当は、今日…………






「…………孝之ぃっ!!」
「ん、んあっ!?」


気付いた時、あたしは立ち上がっていた。
「……お腹……空いてない?」
「……え?」
うつむいたままだけど。あたしははっきりと言う。
「……腹減ってないかって聞いてんのよ……っ!」
「えっ……!? な、何……?」
……相変わらずリスみたいな顔してるわね。
いいわよ、それでも。
「……聞いてんのよっ」


孝之は少し黙って、
「あ……あぁ、大分時間経ったしな」
ってだけ。あたしをキョトンと見上げて。
でも、それだけで十分よ。
「……じゃああたしが何か作るからっ」
「な、な!? 何だよいきなり?」
いかにも、突然何だよっていう顔ね。でも止めても聞いてやんないんだから。
「五月蠅いわねっ! あたしが作っちゃいけないのっ……!?」
顔を見せないように……あたしはズカズカ台所を目指す。
「いや、そ、そんなことはないけどさぁっ」
今まで寝転がっていた孝之は、いくら慌てても這ったままで上手く追い付けない。
「そう言うなら文句ないわよねっ」
「いやな、作ってもあれだけど……台所はっ」
「いいからっ! 作らせなさいよっ!!」
……孝之の言葉なんて聞いてやんない。
何よ、ご飯は炊いてあんじゃない……。






それから、あたしは何をどうしたか覚えていない。
気付いたら、『何か』を乗せた皿を炬燵の天板にドンと置いていた。
「……な、何だよ……コレ」
「……見て分かんないっ? 味噌おにぎりよ」
そこらに出ていた材料がご飯と味噌だったから、という安直な理由で、あたしが作ったのはご飯を丸く握った上に味噌を塗っただけの、至極単純な味噌にぎりだった。
「…………」
孝之は、あたしのおにぎりをマジマジと見詰めている。
それはね? デカくて、味付けも味噌だけのカンタンなおにぎりよ? 形もこのあたしができる限りで丸くしたわよ? それでも文句つける気なの!?
あ〜、手抜きで悪かったわね!? 形が雑で悪かったわねっ!
でも食べなさいよ……、作ったんだからっ……!
「……コレ」
「……い、いいから食べなさいよぉっ!!」
孝之は、ハ、ハイッ、なんて情けない声出してすぐにおにぎりを鷲掴みにした。
あたしは黙って腕組みして、仁王立ちしている……顔を見られないように。
「……あ、美味い」
……何よ、お世辞でも言ったつもり?
「美味い、な。お前が作ったにしては」
そ、そんな上辺の褒め言葉なんかあたしには通用しないんだから……、つーか後半余計なのよ、それから頬張りながら言うのやめなさいよ……。
「……でも、少ししょっぱいな」
わ、悪かった……わねっ、しょうがないでしょ……っ。
だって…………。


「……未沙紀……お前、涙」
「……う、五月蠅い五月蠅いっ! 何バカ言ってんのよぉっ……!!」
そーよ、このあたしが涙なんか、涙、なんかっ……、涙、なんかぁっ……






「……、ゴメンっ!!」
「……?」
「……未沙紀、悪かったっ!」
……、な、何謝ってんのよ……?
「た、頼むっ! 許してくれっ!!」
いきなり、床に頭付けて土下座する孝之。
あたしは、訳が分からなくて口を開けたままぽかんとしている。
「……な、何、よ……何謝ってんのよ」
「未沙紀、黙ってたけど実は、忘れた訳じゃなかったんだっ、今日のこと」


 ──えっ……?──


「……覚えてはいたんだよ……、お前の誕生日」
「……、……」
「でも……小遣い少なくて、使える金なかったからプレゼント用意できなかったんだ! それで、気まずくて……」


──プレゼント……?  気まずくて……?──


「で、でも用意してない訳じゃないんだっ……、今日はプレゼントの代わりに、お前の好きな料理たらふく作って食べさせてやろうって思って……材料ぐらいは用意できたんだぞ? ホラ、あちこちに置いてある……そ、それと釜のご飯だって……」


……もう。
言い訳なんて無用よ。


「……あ゛うッ!!!???」その瞬間、さっきから震えていたあたしの拳、否、鉄拳は孝之の脳天に振り下ろされた。
「……な゛っ……!? な、何をっ……!?」
「……どう、これがあたしの怒りの鉄槌よ」
……威力は十分だったみたいね、思いっ切り頭押さえてるじゃない。カッコ悪。それは、バシィッっていい音したものね。
「……未沙、紀……?」
あたしの拳に頭が痺れてボーッとしっぱなしの孝之に隠れて、あたしはグイッと目許を腕で拭う。
「……それならそうと早く言いなさいよねっ」
「??」
「……オムレツにハンバーグにコーンスープっ! ちなみにソースはデミグラ!! これができたなら特別に免除してやるわよっ!」
そして。その宣言と共に、あたしはさっきの態度がウソだと思えるぐらいの笑顔を突き付けてやるのよ。
「……お、おうっ! 少し待ってろよっ!」
孝之も孝之で。一気にバカみたいな明るい笑顔になって立とうとする。


結局……何よ?
全部あたしの勘違いだったワケ?
あ〜、ハズカシイハズカシイ。これはこの後も孝之にはたっぷり重罰を課さないとね。人のこと……心配なんてさせるんだから。
あたしはその時……さっきとは別の『熱い何か』が、胸に、目の辺りに込み上げて来ていた。


「……あ、その前に」
「何よ?」
「……お前のおにぎり。残り食べて……いいか? 折角だし」
なぁに、笑顔で隠したってムダなんだからねっ。
「む、そう言うなら三分! 三分で食べなさいっ」
「さ、三分!?」
「それと! 免除条件に強制宿題丸写しも追加! いいわねっ!?」
少し驚いた表情したけど、すぐに『ヘイヘイ』って笑顔になる。
相田孝之っていったらこうよね。他に……考えられないわ。
あたしも、口元が思わずほころんだ。














ホントはね。
孝之がそばにいるだけで、あたしにとっては十分な誕生日プレゼントになるの。
今は、そうなんだって分かるのよ。
今日は、あたしを泣かせた罰でもっと欲しいんだけど……我慢してあげるわよ。
感謝……してよね。


以上、
『誕生日当日なのに何のアプローチもくれなかった幼馴染みに胸が苦しくなるツンデレっ娘』
『幼馴染みの誕生日当日なのに金欠でプレゼントが用意できず手作りの料理を代わりにしようとするもバレてどやされるのを恐れる男子』
の両名の話でした。……分かっていただけましたか?
初ツンデレっ娘! と言う程でもありませんが、この手のキャラをきちんと書いたのはこれが自分にとって初めてです。特に後半なんか、色々なものを参考にしたりしてなかったり。
『こんなの真のツンデレとは違うやいっ!』など、その他諸々苦情のある方々、どうもすみません。
自分も、この二三日前に味噌おにぎりを食っただけで思い付いた話がこんなになるとは……思ってもみなかったんですよ。ハイ。
とりもあえずも、最初は『女子が味噌おにぎりを好きな男子に食べさせる』というシーンだけが思い付いたんです。主人公は……どうするかなぁ、と思って一分後、『あ、ツンデレっていいかな』と思考が展開してこのようになりました。また勢いで書いた作品ですが、自分はすんなり書けたかなと思っております。……他人様の評価は置いといての話ですよ。
話自体は冒頭やあらすじでも述べた通りの、恋になる前の段階の恋物語といった感じで書きました。主人公の未沙紀も、アニメキャラまんまのツンデレっ娘というよりも、『クラスに一人はいそうな、気が強くて素直になれないハイテンション娘』といったイメージで描いてみたんですが(それも途中からある意味曲がっていますが)、皆さんはどう感じて下さったでしょうか。


何はともあれ、話の判断は読者の皆さん次第です。
好印象、悪印象、それはどちらでも構いません。ただ、この話を楽しめていただけたなら幸いなのです。













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