表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生…されてねぇ!  作者: タンサン
第四章「一般編」
67/133

64話「花園リサ」



 幸助の通う高校は階層によって学年分けがされており、1階は1年生、2階は2年生、3階には3年生の教室が配置されている。

 別の学年の階層に行ってはいけないという決まりはないが、基本的にその学年の階層以外の階に別学年の生徒が居ることは少ない。


「おい、あれって……!」

「キャーッ、今日ってリサ先輩の登校日だったんだー!」

「すげぇ!本物はやっぱかわいいなぁ」

「1年生の階に何の用なんだろう?」


 だが、この日だけは違った。


「ねぇ君。1年E組ってここで合ってる?」

「あ、合ってます!ここです!あと、ファンです!いつも応援してます!」

「ありがとっ。これからも応援よろしくね」

「は、はい!」


 とある女生徒を追って2学年や3学年の生徒のほとんどが1学年の階層である1階へと集まってきていたのだ。


「確か、黒髪で中肉中背で……もしかしてあの子かな?」


 茶髪のショートで可愛い顔立ちの小柄な女生徒。そんな彼女は好奇の目に晒されながらも、平然とした表情で1年E組の教室へと入っていった。





「みんな何があったんだろう?」


 昼休み。石田と滝川と一緒に教室でお昼を食べながら昨日のことを考えていた。

 予定では昨日、委員長やソージ達が家に訪ねてくる筈だったのだが、急遽中止になったのだ。

 あわよくば委員長達から知らない術を教わったり雫さん達の異能を習得できたりしたらいいなーと思っていたのだが……そんな邪なことを考えていたから中止になったのかもしれない。

 邪念よ去れ!


「数多の陰謀渦巻く夜の街『すすきの』。元裏世界の住人がその真相を語る……か、あんまりいい記事ないなぁ」


 俺が邪念を払っていると、滝川がスマホをいじりながら残念そうな表情でそう呟いていた。


「そんなに気を落としてどうしたんだ?いつもならそういう話を喜んで語ってくるのに」

「違うんだよ。俺が好きなのはオカルトネタなの。幽霊とか宇宙人とか未知の現象とかが好きなの。人同士の陰謀や策略なんかはどうでもいいんだよ」

「なるほど、わからん」


 石田とそう言葉を交わした滝川は、再びオカルトネタを探すためにスマホをいじり始めた。


「なにか面白い事でも起きないかなぁ」

「いやいや、平穏が一番だろ」

「結城が平穏というとフラグにしか聞こえないな」

「確かに、これは面白い事が起こりそうだ!」


 なんだと?確かに高校生活が始まってから平穏とは程遠いイベントばかりだけれども、まさに一昨日変な刀を手に入れたばかりだけれども、今まであまりにも異常過ぎただけだ。

 そもそも、そんな非日常イベントがひょいひょいと起ることの方がおかしい。頻度で考えればもう一生平穏でもおかしくないくらいのイベントをこなしていると思う。


「お話中のところごめんね。君が結城幸助くんかな?」

「はい、そうですけ……ど!?」


 びっくりした。振り向くと、茶髪ショートの美少女が立っていた。はじめましてだが、この人の事は知っている。2年A組の『花園リサ』先輩だ。

 委員長や月野姉妹と肩を並べるほどの人気を誇る美女であり、学生でありながら現役のアイドルとして活躍している本物の芸能人だ。


「うわっ、凄い人集り」


 廊下を見ると尋常じゃない数の野次馬が集まっている。

 芸能活動を行なっている関係から登校日が極端に少ないため、彼女を一目見ようとして人の群れができているようだ。


「良かったー、少しいい?ちょっと話したい事があるんだけど」

「あ、はい、大丈夫です」


 花園先輩に手を引かれ、そのまま教室の外に連れ出された。

 さすがは芸能人。人集りには慣れているようで、周りの目など一切気にしていない。ま、俺は凄い気にしちゃうんですけどね。疑問の視線が2割で殺気の視線が8割だな。

 

「ぜ、全然面白くねぇ!」


 滝川のそんな叫びを聞きつつ、花園先輩に手を引かれた俺は教室を後にした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[一言] 基本的にその学年の階層以外の階に別学年の生徒が居ることは少ない。 言い回しが複雑だが数字を代入すると 基本的に一年の階層以外の階に2·3年が居ることが少ない 明らかにおかしいことになって…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ