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異世界転生…されてねぇ!  作者: タンサン
第二章「異能編」
35/133

33話「ビルは崩れ去った」

 ビルがあまり壊れなかったので、前回のお話の後半を少しだけ書き換え、クロの戦いを終わらせませんでした(3月19日改定)。

 そのため、冒頭はクロの戦闘の続きからとなっています。申し訳ありません。


 謝罪から始まってしまいましたが、お楽しみいただけたら幸いです。







 ドロドロに溶かされた銃、動きを止められた自身とセフェクの体。そしてーーー


「ーーー巨大、ロボット……?」


 自分達がいるフロアを足蹴にして立ち上がる巨大ロボを見ながら、チエは驚愕する。

 隣で動きを止められているセフェクも、驚きのあまり言葉を失っていた。


「『溶解』に『捕縛』に『玩具』……。なぜ、なぜあなたが私達の異能を使えるのよ!?」


 それらの事実を見たチエは、声を荒げる。


「異能の複製?それとも、相手の異能を強制的に操作する能力!?」

「……ふむ。やはり、儂の能力は理解できなかったようだな」


 チエの言葉に、クロは首振りながら答える。


「いま『感知』で確認したが、1階では既に勝敗が決したようだ。お主達も降伏しろ。そうすれば、これ以上は何もせん」


 クロの言葉に合わせ、巨大ロボがチエとセフェクを睨む。


「トイ以上の『玩具』を使える上に、私の『感知』まで使えるなんて……降参よ。複数の異能を使える化け物なんて、私達の手に余るわ」

「俺も、降参だ」

「うむ」


 降伏した2人を見やり、クロは満足げに頷く。


「す、すげぇ……」


 その光景を見ていたソージは、感嘆の声を漏らした。

 そして、このような状況を作り出せる黒い猫が主人と慕う存在を思い浮かべ、畏敬の念を覚える。

 

「おっと、この人形を下へ降ろさねばいかんな」


 クロがそう呟くと同時に、巨大ロボはビルに掴まりながら器用に降りていく。

 そして、降りようとする巨大ロボのバランスに耐えきれず、ビルは崩れ去ったのだった。





 






「んっ……結城、くん?」


 目を覚ました雫は、意識が途絶える寸前に見えた光景を思い返し、その相手を探す。


「じずくーー!よがっだ、よがっだよぉー!」

「お姉ちゃん!?」


 しかし、目を向けた先に居たのは、泣きべそをかきながら抱きついてくるアカリの姿だった。


「無事か?」

「ソージくん」


 そして、その横にはソージの姿がある。

 アカリに抱きつかれながらも周囲を見渡し、雫は状況を確認する。


「ここは、私の部屋?」

「そうだよ!私達、助かったんだよ!」


 状況を飲み込めない雫は、アカリを見ながら首を傾げる。


「雫はディエスに捕まりそうになっているところを助けてもらって、私とソージは組織の支部から救い出してもらったんだってさ!実は、私もさっき目覚めたばかりで、詳しくは知らないんだけどね」


 現状を理解できていない雫へ、アカリはここまでの流れを説明した。


「ソージは詳しく知ってるみたいなんだけど、全然話してくれないのよ」


 そう言いながら、アカリはソージを睨む。


「俺は絶対話さねぇぞ。それが、俺らを助けてくれた方との約束なんだ」


 ソージはアカリの視線に屈さず、断固として意思を曲げない。


「こんな調子で話してくれないのよ。まぁ、ソージがここまで信頼する相手なら悪い人たちじゃ無さそうだけど……」

「あの人達なら大丈夫だ!問題ない!」

「「そ、そうなんだ…」」


 ソージの忠誠心に、2人は少しだけ引く。


「それにしても、組織から救い出してくれたって本当なの?雫に至ってはディエスに追われてたのに、そんな状況から助けられるなんて……」

「いやいや、俺達助ける時はランクA2人を相手にしてくれてたんだから、それくらい……あ、いや、なんでもねぇ」


 口を滑らせたソージの言葉に、雫とアカリは愕然とする。

 ランクAたった1人が相手でも、どれほどの脅威であるかを2人は知っているためだ。


「誰かはわからないけど、そんな凄い人がこの街にいたなんて。世間って狭いのね……」

「そうだね」


 アカリの感想に雫は頷く。


「とりあえず、ユイさん達に連絡とってからこれからの方針を決めましょう。私達を助けてくれた人が信じるに値する人なのかどうか、ユイさんなら情報を持ってそうだし」

「うん。私も、それが良いと思う」

「ユイさんにわざわざ聞かなくても、あの人達なら大丈夫だと思うけどなぁ……」


 ソージの忠誠心に若干引きつつも、2人はアカリの出した方針に納得するのだった。











「にしても、本当に雫ちゃん達を助けられるなんて、ビックリしたね」


 戦闘が行われていた仮設支部の監視カメラをハッキングし、状況を観察していたユイは、驚きの声を漏らす。


「全くだ。その高校生くんと黒い猫以外にも、化け物じみた強さの幼女やカラスまでいるとは思わなかった」


 ユイと同じくその映像を見ていたトウリも、その事実に驚愕する。


「それよりもユイ、大丈夫か?」


 そんな中、筆をしたためるユイの姿を目にして、トウリは彼女を心配した。


「大丈夫か?って何?トウリ失礼だよー。私だって手紙くらい書くんだからね!」

「手紙くらいって、書いてるの初めて見るぞ」


 それどころか、筆記用具を持つ姿すら初めて見たと、トウリは心の中で思った。


「もしかして、あの高校生くんへ送るつもりなのか?」

「ぎくっ」


 前回の電脳戦の相手が誰なのかはわからないが、幸助のスマホへハッキングを仕掛けた際にユイは攻撃を受けた。

 そのため、電脳戦への備えが万全でない今、ユイは幸助のPCやスマホへのハッキングを控えているのである。


「何を送るつもりなんだ?」

「変なものじゃないよっ。雫ちゃん達を助けてくれたら、報酬にしようと思って用意してたもの。なんやかんやで雫ちゃん達を助けてくれたみたいだし、私が持ってても意味ないから送ろうと思ってねん」


 以前、幸助のPCをハッキングした際にネットの検索履歴を盗み見していたユイは、報酬に値しそうなものに目星をつけていたのである。


「喜んではくれそうだが、同時に怖がられそうだな」


 ユイが封筒に詰める報酬を見て、トウリは苦い表情を浮かべる。


「他に報酬になりそうなものとかわかんないし。もう作っちゃったから、これを送るとするよ。それじゃっ、ポストに入れてくるねん!」

「ちょっ!『捕縛』」


 ポストへ投函するためにキャンピングカーから飛び出そうとするユイを、トウリはあわてて『捕縛』した。そして、手に持つ封筒を取り上げる。


「やっぱりか……ユイ、これじゃ届かないぞ」

「え?」


 ユイが出そうとしていた封筒には切手が貼られておらず、宛先すら書かれていなかった。


「あははー。手紙って、出した事ないから……」

「……教えるよ。それと、次からは俺の確認をとるようにしてくれ」


 電脳関連の知識は一流の技術者すら上回るユイだが、それ以外の知識や常識については非常に疎い。

 そんな彼女を、トウリはいつも通りサポートするのだった。






 投稿期間が空いてしまい、申し訳ありませんでした。

 前書き後書きが謝罪続きで、すみません。


 次回投稿は明後日の予定です。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ソージを無理矢理謝罪させた時もそうでしたが、アカリは何事も上から目線なのが気になる。「私が~してあげてるんだから〇〇しろ」「~させてあげる」理論?
[一言] 素直に思うことなんだが、こいつら誰なんだろう....
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