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ARCADIA
作:Wiz Craft



 S23 仲間への想い


 その日の深夜、エルツの身を心配し疲労困憊の身体を引きずり街へと戻ってきた仲間達は、一足先へ街に戻っていたエルツとDIFOREにて再び合流を果たしていた。皆、エルツの元気そうな笑顔を見ると、ほっと胸を撫で下ろした様子だった。

「ほんとにもう二度とあんな無茶しないで下さいよ」

 アリエスの叱咤にエルツは、親に叱られる子供のように頭を下げた。

「とはいえ、あの状況ではエルツさんのあの行動が無ければ、全滅してたのも事実。本当に、エルツさんには感謝の言葉が見つかりません」

 アリエスの言葉につられるように皆が礼を述べ始める。そんな様子にエルツは少し恥ずかしさを感じ顔を伏せた。
 薄暗い店内に灯る燭台の光に照らされながら、一同は改めて仲間達の姿を確認し合う。

「ごめん、自分の誘いで皆に悪い想いさせちゃって」
「とんでもない、お兄様、そんな言葉二度と口にしないで下さい」

 ポンキチの言葉に、エルツは思わず口を噤んだ。

「私達は皆、エルツさんの誘いに自ら行きたいと思って参加したんですから。それに、あれは不慮の事故です。あんな事が起ころうなんて誰にも予想できなかった。なのに、誰が責められると言うんですか」

 テーブルの上の燭台の炎が静かに揺らぐ。その向こうで、アリエスは真剣な眼差しをエルツに向けていた。

「そうだよ、エルツくん。気にする事はないよ。むしろ、僕らは皆、君に感謝してるくらいなんだからね」

 トマの温かい言葉に救われて、エルツは顔を上げた。

「格好良かったよ、エルツさん」

 そう言って微笑むユミル。その隣でミサとペルシアも温かな眼差しをエルツに向けていた。

「どうやら、今回の一件で、お兄様は女性陣の評価も大きく上げちまったみたいですね。全くどこまで計算だったんですか?」

 そんなポンキチの冗談めいた言葉に皆が笑みを零す。

「でも、今回の一件で感じとれた事は本当に貴重な経験でしたよ」とアリエス。
「うん、そうだね。仲間に対する強い想い。確かに、僕らはそれを感じ取る事が出来た」

 少し臭いトマの台詞に微笑を携えながら頷く一同。

「普通の既存のMMOじゃ、こんな感情は味わえませんでしたよ。仲間が死んで、こんなに感情を揺り動かされたのは初めてです」

 アリエスの言葉にエルツは優しく笑い返した。

「でも、本当に死ぬわけじゃないしさ、ちょっと深く捉え過ぎじゃない?」

 その言葉にトマが微笑を浮かべながら頷く。

「そう思うだろ?僕もそう思っていたんだ。君が死ぬ、その時まではね」

 トマの言葉に無言で尋ね返すエルツ。

「所詮、ゲームの中、死んでも何度でも生き返れる。そう簡単に考えていた。だけどね、実際に君が死んで、結晶化されたあの君の姿を見た時に感じた、何とも言えないあの感情。あれはただのゲームの枠を越えていたよ。この世界で感じられる死にはリアリティがある。君が死んだ時に、皆が抱いた感情、それは紛れも無く純粋な悲しみや後悔だった。事実、君が死んだ時、ポンキチくんは一人でまたトロイに殴りかかりに行くところだったんだよ」

 その言葉にふっと微笑を漏らすポンキチ。

「お恥ずかしい限りで」

 ポンキチのその姿はエルツ自身、クリスタルの中から全て見ていた。

「やっぱり、仲間が死ぬのは……辛いですよ」

 訪れる静寂。
 そして今一度、一同は互いの顔を確認し合い微笑みを漏らす。
 そんな、静寂を打ち破るかのように、口を開くユミル。

「また皆でピクニック行きたいね」

 ユミルの言葉に笑顔を見せる一同。

「近いうちに、またこのメンバーでどこか行きましょう」
「そうですね、是非。不甲斐ない姿を見せた挽回もしたいですし」

 アリエスにミサが同意する。

「今から楽しみです」

 またいつもの愛らしい笑顔を見せるペルシア。
 そんなかけがえの無い仲間達と紡いだ、新たな思い出。
 また、今回の一件は、エルツにとっても皆にとっても大切な記憶となった。







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