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 S14 VS Moocat<ムーキャット>
 広大な原野に足を踏み入れて二十分程。澄んだ空気が見せる青空の下に、緑色が広がり、そこには多くの野生動物達の姿が見られた。
 とりわけ三人の目を引いたのは草原の草花を齧る小さな兎のような生物。
 尻尾に三十センチメートル程の真白な綿玉をつけた、その愛らしい生物は、エルツ達の姿に気づくと食事を止め、その長い耳をピンと張りながら三人の動向を窺がっていた。
 Woopyウーピィ)である。その純正な尾から採取できる綿は、この世界では低Lv用の法衣の材料として用いられる。先日、魔法屋『LUNA LEE』でリンスが目を奪われた装備はこのモンスターから得られる材料で作られるものであった。

「可愛い」

 可愛いモノに目が無いリンスにとって、このモンスターの存在はまた一つ狩りの対象が一種減った事を示す。それに伴い、エルツ達もまたこのモンスターへの攻撃を諦めるのだった。

「参ったな。ドナテロさん達は、初めはWoopy(ウーピィ)狩りがいいって言ってたけど、これじゃ攻撃出来ないよな」
「全くだ。もっとこう攻撃しやすい不細工なモンスターがいりゃいいんだけど」とスウィフト。

 そんな会話をする一同の前を通り過ぎてゆく小さな影がまた一つ。

Mooムー Mooムー

 その不可解な存在にエルツ達は声を上げる。

「猫?」とエルツ。
「猫が『ムームー』なんて鳴くか」

 容姿は猫。体中をオレンジ色の斑点で覆われた、茶毛のその生物は。エルツ達の存在に気づくとピタリと足を止める。

「なんだコイツ」

 エルツがその生物に対してふと腰元の剣に手を掛ける。
 その隣でスウィフトはパーソナルブックを開いてMapscanを開始していた。

Moocat(ムーキャットだって」

 威嚇体勢に入るムーキャットを前に、エルツが剣を引き抜く。

「しかもこのモンスターLv4だって。うちらよりLv高いぞ!」

 その言葉と同時に目の前の小さな影が跳躍する。
 鋭い爪を持って襲い掛かってくる影を咄嗟にかわす三人。

Mooムー Mooムー!」

 声を荒げるムーキャットを前に、一同は一斉に武器を構える。

「畜生、アクティブモンスターか。やるしかないか!」

 スウィフトが槍を引き構える。対象目掛けて、勢いよく突きつけられた槍先は空を突いた。
 目にも素早い動きで、ムーキャットの反撃がスウィフトの肩元にヒットする。

「大丈夫かスウィフト!」
「大丈夫、でも……こいつ速いよ!」

 エルツ達は素早く草むらに身を隠したムーキャットの姿を必死に追う。周りに居たWoopyは皆危険を察知したのか、蜘蛛の巣を散らすように逃げさっていた。

「どこいった……」

 エルツが周囲の気配を窺がっていたその時、突然背後の草むらからエルツに飛び掛ってくる小さな影。
 背中を思い切り引っ掛かれたエルツは前のめりに膝をつく。

「くそ、こいつ!」

 慌てて、剣を振るうがそこにムーキャットの姿は無い。まるで嘲笑うかのように、尻尾を立てて鳴き声を上げるムーキャット。

「まずいよ、動きが速くてついてけないよ!」

 スウィフトが叫んだ。
 咄嗟にエルツは持っていた銅の剣を腰にしまう。その動作にスウィフトとリンスは驚きを隠せない。

「エルツ、何やって……?」

 そして、当惑する二人の前でエルツは掛け声を上げた。

「Change Weapon 銅の短剣ブロンズナイフ

 光り輝くエルツの腰元から銅剣が消え、代わりに銅の短剣が姿を現す。

「そうか、そういう事か!」

 エルツの姿に、スウィフトもまた手持ちの武器を短剣へと切り替える。その様子に当惑するリンス。

「相手の動きが速いなら、もっとも攻撃速度が速い武器に切り替えるまでさ」

 スウィフトの言葉にリンスも頷き、手持ちの武器を短剣へ。

Mooムー Mooムー!」

 泣き喚くムーキャットを取り囲むように三角陣トライアングルをつくり、その間合いを狭めていく一同。追い詰められてゆくムーキャットに今一斉に一同はその刃を突き立てる。
 ムーキャットの反撃を浴びながらも決して怯む事無く逃がさないように一同は懸命に刃を振るった。ライフエナジーが立ち昇る中、粒子化を始めるムーキャット。

「やった……」

 そのあまりの苦戦に一同は思わず尻をついた。

「でも、またパーティ組んでないから経験値入らないよ」

 そのスウィフトの言葉に肩を落とす一同。
 だが、幸いにも一枚のカードを落とした事が、せめてもの労いとなった。

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〆カード名
ムーキャットの爪

〆分類
アイテム-素材

〆説明
Moocatムーキャット<レクシア大陸エイビス平原全域に分布し生息する野生猫>の爪。

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 新大陸での狩り第一戦目にして、一同はこの大陸での狩りの難しさを知る事となったのだった。
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