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 S10 月夜の舞闘祭 ルール説明編
 美しい月夜。雲一つ無く、一点の霞なく地表に届く月明かりに照らされて、舞闘祭の参加者は次々と広場へと躍り出る。
 広場では他に一グループの冒険者達がフリー対戦を楽しんでいたが、いくらか離れたところに陣取れば問題は無さそうだった。

「フリーバトルだから体力も減らないし思う存分やれるな」とドナテロ。

 そう言えば、ユミルが言っていた。普段は広場は自由戦闘という形を取り、このエリア内ではいくらダメージを受けてもHPが減らないと。

Change(チェンジ Armor(アーマー) トルーパーズベスト」

 そんな掛け声がメンバー内から上がり始める。見るとそう声を上げたリーベルトは普段着で着ていた綿の装備から、戦闘用の褐色の厚い革装備へと衣装替えをしていた。
 それに続いてフランクも掛け声と共に同様の装備へと姿を変える。

「何だよあいつら本気でやるつもりか」とドナテロが笑って呟いた。

 ドナテロは綿装備にエルツ達もよく見慣れた銅の槍を手に持っていた。

「お、懐かしいな〜その装備!」

 昼に見た、赤と黒を基調とした法衣に身を包んだスニーピィ。

「お前新入り潰す気か。リレイファ装備じゃねぇか」
「だって、これしか無かったし」

 そんなドナテロとスニーピィを他所にエルツはさっきの衣装換えの事が気になっていた。

「さっきのリーベルトさん達どうやって装備変えたんですか?」
「そうか、Voice(ボイス) Command(コマンド)知らないのか」
「ボイスコマンド?」

 聞き返したエルツにドナテロはふと持っていた銅の槍を掲げて見せた。

Change(チェンジ Weaponウェポン 銅の剣」

 ドナテロの掛け声と共に光の粒子に包まれ消えてゆく銅の槍。その引き換えに現れたのは銅の剣だった。

「ボイスコマンドって言って、その名の通り、声でゲームコマンドを実行できるんだ。『CHANGE-装備部位-装備名』で変更できる」

 そんな便利なコマンドがあるとは露知らず、そういえば記憶を遡ればコーザとの戦いでそんな掛け声を聞いた気がする。

CHANGE(チェンジ WEAPONウェポン 銅の剣」

その言葉と共に現れる銅の剣をエルツはしっかりと握り締める。

「これって戦闘中でも使えます?」

 その質問にドナテロはニヤリと笑った。

「勿論使えるぜ」

 一同はそれぞれの武器・防具を携え、広場のフリーフィールドへと足を踏み入れる。
 円状に並ぶWHITE GARDENの面々。

「あれ、オルガさんは?」

 ドナテロは剣を槍を器用にくるくると回しながらそう声を上げた。

「オルガさんなら部屋残るって」とスニーピィ。
「なんだよ、一人酒か。まぁ、しゃーないか」

 そして、ドナテロの槍の回転がふと止まる。

「それじゃ、これより新入歓迎会記念、名づけて!」

 夜空に向かって高く差し出される槍先。

「『月夜の舞闘祭』を開始する」
「何だそのネーミング」とせせら笑うスニーピィ。

「ルールは到って簡単。このフィールド内ではHPは減らない。つまり、果てるまで闘う」
「果てるまでって……」と失笑するスウィフト。

 ドナテロはパーソナルブックを開きながら、さらにルールに付足しを加えた。

「さらに、降伏した者、気絶した者、場外になった者は敗者とする」

 敗者という言葉に一同は皆顔を上げた。
 敗者という言葉が出た以上、この戦いには勝者が出るという事だ。

「勝者には賞金有です?」とリーベルト。
「あとで全員から参加費300ELK徴収。勿論新入りはタダ」とドナテロの言葉に「300ELKか、結構痛いな」という声が聞こえた。

「でも、ドナテロ。これって結局Lv高い者が有利じゃない?」

 そのスニーピィの意見は尤もだった。確かにこのルールはLvが高い者が強者である事には変わりない。高Lv者VS低Lv者の構図になった時、その相関図は偏る事は明白だった。
 そんな意見を予測していたかのようにドナテロは不敵な笑みを浮かべる。

「まあ、聞けよ。誰が個人戦って言った」

 その言葉に面をくらった表情を見せるスニーピィ。

「もしかして……チーム戦?」
「ピンポーン!」

 チーム戦、それは予想もしていなかった展開だった。

「確かに、それならバランス取れるかも。ドナテロにしては名案。いつ思いついたの?」

 視線を振るスニーピィに「今」とドナテロは一言告げた。

「さて、注目の組み合わせだが、まず抽選をしてもらう。詳細は今メール送った」

 その言葉に一同が一斉にパーソナルブックを開く。
 点滅しているメールランプ。
 エルツは意気込んでメールの内容をチェックする。

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 差出人 Donatello
 宛先  Chopper,Elz,Franc,Kevin,Lins,Reebelt,Shuraku,Sneepy,Swift,Will,Yumiru

 題名  月夜の舞闘祭

 本文  ○抽選方法

     ▼抽選一組
      Chopeer Lv3
      Elz Lv3
      Lins Lv3
      Swift Lv3

     ▼抽選ニ組
      Kevin Lv8
      Shuraku Lv5
      Will Lv5
      Yumiru Lv7

     ▼抽選三組
      Donatello Lv18
      Franc Lv15
      Reebelt Lv15
      Sneepy Lv20

    【1】各組でA〜Dの抽選アルファベットを取得
    【2】取得した抽選アルファベットに応じて組分け

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「なるほど、抽選か。このアルファベットはどうやって決めるんです?」
「各組話し合い」

 リーベルトにドナテロがそう返す中、一同はメールを見て頷くと、それぞれの組に分かれ始める。メールの内容がいまいち理解出来ない子供達にユミルがまとめて説明を始める。

「なんかこんなワクワクしたの久々だな」
「小学校の席替え思い出す」

 そんな言葉を交わすエルツとスウィフト。

 そして、それから数分後。対戦の組み合わせが決定した。

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 ■Aチーム『Sword(ソード Manマン
  ○Elz Lv3
  ○Will Lv5
  ○Franc Lv15

 ■Bチーム『3Sトリプルエス
  ○Swift Lv3
  ○Shuraku Lv5
  ○Sneepy Lv20

 ■Cチーム『Trickerトリッカー
  ○Lins Lv3
  ○Yumiru Lv7
  ○Reebelt Lv15

 ■Dチーム『Striker(ストライカー
  ○Chopper Lv3
  ○Kevin Lv8
  ○Donatello Lv18

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「面白い組み合わせですね。チームBとDは要注意だな。チームAが今一火力不足か」

 リーベルトの言葉にフランクが少し肩を落とす。
 そんなフランクの様子を見てエルツが言葉を掛ける。

「フランクさん、頑張りましょう!よろしくお願いします!」
「ああ、よろしくエルツさん」

 エルツとフランクが固い握手を交わす横で騒ぎまくるウィル。

「まあ、運も実力のうちってね。さて、それじゃ俺も本気装備に変えさせてもらうか」

 Voice Commandと共に光り輝くドナテロの身体。

 そして一同は円形を組み互いの顔を見合わせる。

「勝負は一回きり。勝っても負けても遺恨は無し。死力を尽くして闘い合おう」

 そして、ドナテロが槍を振り上げた。

「それでは一同構えて……」

 作戦を練る時間は充分取られた。
 後は文字通り、死力を尽くして闘うのみである。

「はじめ!」

 月夜の下で舞闘祭の幕が今切って落とされた。
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