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ARCADIA ver.openβ≪Playing by Elz≫ 作者:Wiz Craft

〆 第一章 『旅立ち』

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 S16 Lv up<レベルアップ>

■双華の月 炎刻 15■
>> Real Time 4/21 14:32
 あれからシャメロットを狩り続ける日々が続いた。一日のうち狩りが出来る時間は限られている。体力的にも一日休みながら四時間半、それが今のエルツ達の限界だった。何しろ狩りをしている最中は全力運動である。一匹の獲物を狩る、それがどれ程大変な事かは、狩りを続ける事によってより深く一同は理解していた。
 Lv上げを開始してから既に三日目に突入していた。明くる日も明くる日も、岩蟹と戯れる日々、だが不思議と飽きる事は無かった。RPGで一般的に『Lv上げ』と呼ばれる行為は興味無い者からしてみればただの苦痛な『作業』である。実際にゲーム好きな者の中にも、この作業を好まず一般的にチートと呼ばれる不正ツールを用い、時間短縮する者も少なくない。だがエルツはそんなチートには逆に意味が無いと考える。与えられた環境の中で、最大限楽しむ事に意味がある。確かに不正ツールを用いてゲームの作業を省き、結果だけを求める事は効率がいい。そして、出来上がったセーブデータを友人に見せ称賛を貰う、はたまたネットでこれだけ自分は進んでいる、と攻略サイトで廃人振りをアピールする事は気分はいいだろう。だがエルツは他人に自らの成果を見せる事にそれ程の価値は見出さない。勿論、そういった気持ちは否定しないし、それも一つの楽しみ方なのだろうとは思う。現に時間のない社会人が、そのゲームを気にいったものの、時間がなかなか割けず、エンディングを見るために止むを得ずツールを使う事だってあるだろう。そういった行為は安易に否定できるものではない。要はエルツにとって重要な事は自分自身がどれだけ、そのゲームを楽しめたのか、そこにあるのだ。重要なのは『結果』ではなく『過程』。それがエルツのゲームを楽しむ上での信条ポリシーだった。ただ毎日、三十匹強の岩蟹を狩るこの行為をいかに楽しむか。そこに意味があるのだ。
 だが幸運な事に、そんな心構えを持たずとも、この世界での狩りというシステムは冒険者に充分な喜びを与えてくれる。それが、いかに素晴らしい事か、エルツは改めてこのゲームの世界に存在している事に喜びを感じていた。
 そして、そんな喜びに拍車を掛けるかのように、待ちに待ったその時はやってきた。

「はっ!」

 掛け声と共に、銅の剣で転ばしたシャメロットの腹を切りつけると、シャメロットが粒子化を始める。

「今日、何匹目?」
「わかんない、もういちいち数えてないよ」

 スウィフトにエルツが笑ってそう答えたその時だった。
 突然、エルツの身体が煌びやかな光に包まれる。足元から頭上目掛けて大量に立ち昇るその光の粒子。

「なんだこれ!?」

 エルツがそう声を漏らした時には、同時に爽快な効果音が辺りに鳴り響いていた。
 その視覚効果エフェクトと効果音に思わず皆の視線がエルツに集まる。

「これってもしかして」

 エルツの脳裏に一つの言葉が過ぎる。

「レベルアップ!?」

 パーソナルブックを開き慌ててステータスを確認するエルツ。

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〆エルツ ステータス

レベル 2
経験値 ------------ 0/100
ヒットポイント ---- 105/105
スキルポイント ---- 13/13

物理攻撃力 -------- 10(+6)
物理防御力 -------- 10(+7)
魔法攻撃力 -------- 10
魔法防御力 -------- 10
敏捷力 ------------ 11

ステータス振り分けポイント----- 3
→ポイントを振り分ける
※再分配まで<0:00/24:00>

〆装備 

武器 -------- 銅の剣

頭 ---------- 旅人の帽子
体 ---------- 旅人の服
脚 ---------- 旅人のズボン
足 ---------- 旅人の靴
アクセサリ --- 初心者講習卒業の証

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「おめ〜!」

 駆け寄ってくる皆にエルツは笑顔で礼をする。

「ありがとう」
「ステータス上がった?」とスウィフト。

 エルツは自らのステータスを見つめながら答えた。

「HPとSPは上がったけど、他のステータスは上がってないな。代わりに何か振り分けポイントとか云うのが現れた」
「何それ?」

 エルツの言葉に一同がエルツのパーソナルブックを覗き込む。

「本当だ、何だろそれ」
「分かった。多分……これをこうすると」

 エルツはそう言ってステータス画面上の『ポイントを振り分ける』をクリックした。

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〆ステータスP分配

物理攻撃力 -------- 10 ▼▲
物理防御力 -------- 10 ▼▲
魔法攻撃力 -------- 10 ▼▲
魔法防御力 -------- 10 ▼▲

<残り3P>

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 誰に習うわけでもなく、画面を見れば各ステータスの右についている三角マークで手に入れたステータスポイントを振り分けられるという事は予測がついた。
 その事に気づくと同時にエルツはある重要な問題に頭を悩ませ始める。
 そう、それは『ポイントの振り分け方』である。ステータスポイントの振り分けが、この先の命運を担う事は目に明らかだった。一体どういう振り分け方が、効率が良いのか。
 腕を組むエルツ。一度振り分けたら、もう戻せない可能性もある。だが、この前の画面のステータス画面には再分配に関する記述があった。だからエルツはその点については若干安心していた。

「う〜ん、どうしようかな」

 満遍なくステータスポイントを振るか、それとも一点強化するか。ここでは一般的に考えられる振り分けのメリットを考える他無かった。前者の場合は、穴の無いステータスアップによって特に不利な局面を生み出さない平均的な能力を手に入れられるだろう。だが、平均的な能力とは弱点が無い反面、突出した能力も無い。つまりその平面性こそが最大の弱点と言える。器用貧乏とは良く言ったものだ。それに対し、一点強化型は、局面によって爆発的な能力を発揮するタイプだ。具体的なその用途はまだ見えないものの、おそらくその理屈は間違っていないとエルツは確信を持っていた。
 となれば、選択は二択である。そして、今後暫くは狩る対象がシャメロットである事を考えると、自ずと自らが取る選択肢は絞られてきた。
 硬い防御力を誇るシャメロットに対して、エルツが取った選択肢。それは……

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〆ステータスP分配

物理攻撃力 -------- 13 ▼▲
物理防御力 -------- 10 ▼▲
魔法攻撃力 -------- 10 ▼▲
魔法防御力 -------- 10 ▼▲

<残り0P>

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 物理攻撃力に特化した一点集中型。
 エルツの割り振ったステータスを見てスウィフトがぼそっと呟いた。

「何かその割り振り方、脳筋ぽいよ」
「脳筋言うな。これでも結構一生懸命考えたんだぞ」

 そんな二人のやりとりにチョッパーが水筒の水を一口飲み口を開く。

「のうきんってなに?」
「脳味噌筋肉って事だよ。チョッパー。でもあんまり迂闊に人に使っちゃダメだよ。脳筋の人って、自分が脳筋だと自覚してないケースが多いから、きっと怒る人いるからね」

 スウィフトの言葉にチョッパーは目をぱちくりとさせた。
 その様子に微笑みをもらす一同。

 そんなやり取りを交わしながら、再び一同はまた自らのレベルアップを目指して汗を流し始める。
 澄み切った青空の下で、そこには懸命に蟹と戯れるエルツ達の姿があった。
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