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ARCADIA ver.openβ≪Playing by Elz≫ 作者:Wiz Craft

〆 第五章 『双華祭』

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 S9 VS Magician of Red

 真っ白な光に包まれた後、次第にホワイトアウトしてゆく視界。
 身体が宙に浮くような無重力感覚に捉われた数秒後、純白の世界は変遷を遂げていた。
 その圧倒的な光景を前に言葉を失い、ただその場に立ち尽くすエルツ。
 そこは見渡す限りの大宇宙だった。点々と散らばる小惑星とその合間で輝ける無数の星々がまるで流星のように視界前方から後方へと流れてゆく。浮遊感はいつの間にか消え、エルツは淡い白光を放つ直径二十五メートル程の魔法陣の中に立っていた。
 そして、その魔法陣の中心にそいつは奇妙な格好で佇んでいた。
 頭を垂れて、腕を腰後ろに引きまるでお辞儀をするような姿勢でエルツを迎え入れる道化の姿。

「あいつが……オートマタ」

 赤を基調とした道化着に身を包んだそのオートマタを前にふとエルツはPBを開いた。説明では、この戦いでは装備はシステム側で自動設定されるとそう記されていた。ならば戦う前に装備の確認をしておくべきだろうと、そう考えたのだ。

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〆エルツ ステータス

レベル 9
経験値 ------------ 0/100
ヒットポイント ---- 140/140
スキルポイント ---- 34/34

物理攻撃力 -------- 23(+1)
物理防御力 -------- 21(+6)
魔法攻撃力 -------- 10
魔法防御力 -------- 10
敏捷力 ------------ 14

ステータス振り分けポイント----- 0
→ポイントを振り分ける
※再分配まで<0:00/24:00>


〆現在パーティに所属していません

〆装備 

武器 -------- ファイアロッド

頭 ---------- トライアルヘッド
体 ---------- トライアルスーツ
脚 ---------- トライアルトラウザ
足 ---------- トライアルブーツ
アクセサリ ---SPリジェネレイター

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 装備を確認し、首を捻るエルツ。
 装備変更画面が開けない事から武器・防具はどうやらここではこの装備に限定されるらしい。
 武器はファイアロッド。この扱いは何とか大丈夫だろう。ファイアボールはトロイ戦でも使用した事も有り、多少扱いには慣れている。下のトライアル装備というのは、このイベント限定の防具だろうか。見たところ頭から足までセットで物理防御力が+6されているようだった。その効果は初期装備である旅人シリーズと同程度である。問題はアクセサリのこのSPリジェネレイターというアイテムだ。これは一体どんな効果を持っているのか。アイテムをクリックして詳細表示へと移る。

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〆カード名
SPリジェネレイター

〆分類
防具−アクセサリ

〆説明
特殊技術で製造された機械装置。装備者のSPを自動生成する効果を持つ。

〆装備効果
10秒間に1SP自動回復

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「SPを自動回復するアクセサリか」

 ヒーリングで回復できるSPが20秒間に1SPである事を考えると、これは飛び抜けた効果だった。しかも、ヒーリングのように休む体勢に入らずとも戦闘しながらSPを回復する事が出来るのだ。

「多分、このイベントでの限定アクセサリなんだろうけど。いいな、このアイテム欲しいな」

 そんな事を呟きながらPBを閉じるエルツ。
 10秒間に1SP回復するという事は、5分間では最大30SP回復するという事だ。これは出し惜しみをせずにどんどん魔法を撃った方が良いだろう。
 視界の中では頭を垂れ礼をしたままのオートマタには変化が現れ始めていた。空中から現れた大きなぜんまいがオートマタの背中に吸着し、そしてゆっくりと螺子を巻き始める。螺子が巻かれる度に前傾姿勢だったオートマタの身体がゆっくりと起き上がり始め、そしてエルツとその視線を合わせた。

――戦闘開始か――

 エルツが戦闘開始を認識すると同時にオートマタは赤い鉱石のついたロッドを振り上げ、身体周りに顔の大きさを裕に超える火球を滞空フロートさせた。

「あれは……ファイアボール。って事はあのロッドはファイアロッドか」

 無言のまま不気味な微笑を浮かべたオートマタは、火球を身体周りに滞空フロートさせたまま再びロッドを持った腕を振り上げる。すると、空中に漂い現れた赤い炎が絡み合い再び火球が発生する。すると現れた二つの火球をオートマタはまるでお手玉のように両手の上で弄び始めた。

「ファイアボールを同時に二つ……しかもこんな使い方」

 驚きを隠せないエルツの前で、赤鼻のオートマタは大きくロッドをエルツ目掛けて差し向ける。同時に放たれた一つの火球。
 突然の攻撃に慌てて身をかわし、その場に転げるエルツ。だが、転げながらエルツはオートマタの奇怪な動きを目にする事になる。ロッドを翳したオートマタはくるりと身体を回転させると再びエルツに向けて残されたもう一つの火球を解き放ったのだ。
 体勢を崩したエルツにとって、その攻撃を避ける術は無かった。火球の直撃を食らって炎上するエルツの身体。慌てて魔法陣内で転がり必死に炎を食い止めるエルツの前で、再び赤鼻のオートマタはロッドを振り上げる。
 生成される火球を前にどうする事も出来ないまま転げ回るエルツ。やっとの思いで火を消し止めたエルツが起き上がると、そこには再び二つの火球を纏ったオートマタの姿があった。
 再び振り降ろされるロッド。飛んできた火球を前に再び間一髪で身をかわすエルツ。だが、すぐそこに第二球が放たれる。

――くそ、かわしきれない――

 体勢を崩した身体を再び振り上げて、身をかわすエルツの右足を再び火球が捉え炎上する。必死に足を振り上げ、炎を振り払うエルツ。しかし、その間に再びオートマタは火球滞空の体勢に入る。

――このままじゃやられる。いったん距離をとって仕切り直さないと――

 そう考えたエルツは駆け後退り、オートマタから大きく距離をとる。
 ファイアボールの射程については以前調べた事がある。確かその射程は八メートルだったはずだ。つまり、その距離さえ保っていればダメージを食らう事は無い。だが、それは同時に、こちらもファイアロッドを装備している以上、攻撃の手段を持たない事になる。となるとやはり近づかなければならないだろう。だが、近づけばまたあのファイアボールの二連撃を受ける事になる。

――あのファイアボールの二連撃をどうにかしないと――

 エルツは距離を探りながら必死に踏み込むタイミングを伺っていた。
 案の定、八メートルの距離を保っている間はオートマタもその火球を身体回りに滞空させたまま攻撃して来ない。

――どうする、どうすればいい――

 エルツが悩み立ち往生していたその時だった。周囲に流れていた流星群の動きが次第に衰え輝く星々が静止する。その中で、機械的な動きを続けていたオートマタの周囲から火球が消失し、その動きもまた止まる。
 その状況にエルツが当惑していたその時だった。突然身体が白く発光したかと思うと、魔法陣だけを残して世界が変転し始める。目まぐるしく世界が回り始め、気がつくとそこには見慣れたスティアルーフの港の風景が広がっていた。
 周囲に溢れる冒険者の人込みの中で、エルツはそこで自らのイベントが失敗した事を認識する。
 そう、それは言うまでもなく完全なる敗退だった。
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