挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ARCADIA ver.openβ≪Playing by Elz≫ 作者:Wiz Craft

〆 第一章 『旅立ち』

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

14/242

 S12 二つの選択

 それから休憩と談笑を挿みながらエルツ達は狩りを続けた。通常はあり得ない程の集中力を使うせいか、それから一時間半もすると、三人はへとへとに疲れていた。
 仕方なく村へ戻り、宿屋で部屋を取る三人。

「それじゃ、夕方まで自由行動にしようか。それぞれ皆やりたい事もあるだろうし。18:00になったらレミングスの酒場集合で」
「女神像前にしない? 酒場だと人多くて見つけにくいし」とスウィフト。
「確かに、そうか。それじゃ女神像前に18:00集合で」
「りょーかーい!」

 賛同する一同。

「それじゃ、また後で」

 話がまとまると一同はそれぞれ部屋へと散った。
 部屋に戻ったエルツはまずベッドに横になると、背中に冷たい汗の感触に飛び起きた。

「シャワー浴びよ」

 「ネイクド・オン」と唱えながらエルツは洗面所に移動すると、PBに浮き出たアイコンをクリックし、そのままシャワールームへと消えた。
 蛇口を捻り、温かい湯水を顔から受けながらエルツはこれからどうするかを考えていた。
 まずは道具屋へ行って先程取った素材を売る。一時間半という短い時間だったが、それでも狩れた岩蟹の数は十匹を裕に越えていた。ドロップ品として得たカードの枚数も少なくはない。
 もし、売れた値段の総額にもよるがお金に余裕があるようだったら武器屋と防具屋を覗いてみよう。余った時間はまだ行ってない村の北側の捜索に充てればいい。エルツはそう考えていた。

 宿屋を出たエルツは予定通り、道具屋へと向かった。時刻はまだ15:00を回ったばかりだった。道具屋に入ると、頭上で鳴く鸚鵡オウムに歓迎され、エルツは早速パーソナルブックを開いた。そしてポップアップしたアイコンを選択し、売却フォームを広げる。
 検出された品種は二種だった。エルツは今日入手したその全てにチェックを入れ、個数を入力する。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 売却品-売値(検出品種:2)

〆×2 シャメロットの甲羅 25 ELK
〆×7 シャメロットの肉 9 ELK

 ●売却する 113 ELK
 ●設定クリア

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 売値を確認し、売却ボタンを押すと、エルツは振り込まれた金額を確認した。
 <28ELK>だった所持金が三桁の<141ELK>になったのを確認すると、思わずエルツは顔をほころばせた。お金が増えて喜ばない者はいない。それは現実でもこの世界でも一緒だ。

「思ったより入ったな」

 エルツは手にした金額を持って、その足で一軒隔てた並びの小屋へと向う。高床の小屋の入り口に飾られた立て木には武具を象った文様が刻まれていた。
 中に入ると、そこには幾つもの武具が、エルツの前に姿を現した。小型の短剣、短剣と比べて刃先が伸びた長剣、突貫性に優れていそうな槍、短い柄に太い刃のついた見た目にも破壊力がありそうな片手用の斧、それから柔らかな弧を描いた弓と、いずれも銅製品と見られるそれらは所狭しとショーケースの中に並べられていた。
 武器防具屋。それはRPGをやる者ならば誰もが憧れる現実に存在して欲しいショップの一つだろう。現実でも然るべきところに行けば存在するらしいが、普通の生活をしている分にはお目にかかれない。見慣れないその光景にエルツは目を輝かせながらショーケースへと近寄っていく。

「剣に槍に弓もある。コーザが使ってた槍ってこれかな。カッコイイな」

 エルツはふとまたPBも開かずに品物に見惚れていた自分に気づき、慌てて取り出した。だが店内にはエルツを含めてお客は三人しか居ない。そう慌てる事もないか、エルツはそんな事を考えながらゆっくりとページを開き、そして購入フォームを広げた。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 購入品-買値(検出品種:5)

□×1 銅の短剣 49 ELK <E>
□×1 銅の剣 87 ELK
□×1 銅の槍 111 ELK
□×1 銅の斧 143 ELK
□×1 銅の弓 99 ELK

 ●購入する
 ●設定クリア

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 品目の前で腕を組むエルツ。買うならば[銅の剣]か[銅の槍]か、はたまた[銅の弓]か。
 弓と槍もいいが、ここは無難にスタンダードな長剣を買っておきたいところではある。品目名をクリックすると詳細情報が表示された。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

〆カード名
銅の剣

〆分類
武器-片手剣

〆説明
旅初めの冒険者にも扱いやすく作られた銅製の長剣。

〆装備効果
物理攻撃力+5

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 ふとエルツはそのまま店から出ると、隣の小屋へと足を向けた。小屋の中には麻の衣服が並び、ショーケース越しにエルツを迎え入れた。防具屋である。
 パーソナルブックを開いたエルツは早速その品目に目を通す。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 購入品-買値(検出品種:5)

□×1 旅人の帽子 36 ELK
□×1 旅人の服 51 ELK <E>
□×1 旅人のズボン 47 ELK <E>
□×1 旅人の靴 30 ELK <E>
□×1 兔石ラビットストーンの首飾り 25 ELK

 ●購入する
 ●設定クリア

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 防具屋で買える品種も五品。<E>という表示はおそらく『装備中』を指しているのだろう。つまり防具屋ではエルツがまだ装備していない品種は[旅人の帽子]と[兔石/ラビットストーンの首飾り]の二品という事になる。アイテム名をクリックするとアイテムの詳細情報が表示された。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

〆カード名
旅人の帽子

〆分類
防具-頭

〆説明
旅人が身に付けるための麻の帽子。

〆装備効果
物理防御力+1

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

〆カード名
兔石/ラビットストーンの首飾り

〆分類
防具-アクセサリ

〆説明
ウーピィの体内で生成される不思議な鉱物を加工して出来た首飾り。

〆装備効果
物理防御力+1

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 与えられた情報からエルツは自分が取るべき選択肢を割り出していく。
 [兔石の首飾り]については与えられた情報から読み取る限り、現在装備している[初心者講習卒業の証]の方が性能がいい。だから、この二店からエルツが購入対象となった品物は[銅の剣:87ELK]と[旅人の帽子:36ELK]の二品となる。そしてエルツの現在の所持金は141ELK。買えなくはない。だが、夕飯も含めこれからかかるであろう必要経費を考えると、この二品を揃える事はかなり思い切った決断であろう。
 この場合は、どちらか片方を選ぶのが自制心ある良識プレーヤーの選択である。
 どちらか一方を選択する場合、どちらを優先すべきだろうか。攻撃力を上げる事が得策なのか、防御力を上げる事が得策か。
 エルツはふと購入画面上で、次のようにチェックを入れた。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 購入品-買値(検出品種:5)

〆×1 旅人の帽子 36 ELK
□×1 旅人の服 51 ELK <E>
□×1 旅人のズボン 47 ELK <E>
□×1 旅人の靴 30 ELK <E>
□×1 兔石ラビットストーンの首飾り 25 ELK

 ●購入する 36 ELK
 ●設定クリア

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 防御力の上昇を選択したのだろうか? 迷わず[購入する]を選択したエルツはその足でそそくさと歩き隣の小屋へと舞い戻る。そして……

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 購入品-買値(検出品種:5)

□×1 銅の短剣 49 ELK <E>
〆×1 銅の剣 87 ELK
□×1 銅の槍 111 ELK
□×1 銅の斧 143 ELK
□×1 銅の弓 99 ELK

 ●購入する 87 ELK
 ●設定クリア

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 

 何の迷いも無く再び[購入する]をスイッチオン。この男に迷いという言葉は無いのだろうか。それとも俗に言う馬鹿なのか。希望の二品を手に入れて残り所持金[18ELK]。その数字を見てエルツは一人ほくそ笑んだ。

『二兔追って二兔を得る』

 この男の信条[ポリシー]はまさにそれだった。早速入手した武器防具を装備するエルツ。
 腰元には短剣よりもずっしりと重く存在感のある[銅の剣]、そして頭に被った麻の帽子をくいっと引っ張り、エルツは意気揚々と村へ戻った。

 時刻は16:15。まだ待ち合わせの時刻まで時間はある。
 村の北を目指して、エルツの姿は緩やかな木道の彼方に今ゆっくりと消えてゆく。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ