碧い月へ(25/36)縦書き表示RDF


事実です。
碧い月へ
作:フレーズ



星の大移動


それは、寒い冬だった。

多分一月十五日の夜の七時前後。

小学校低学年の私は、姉達と地区のどんと焼きに参加していた。

昼間、子供達が集めたワラや竹や篠を高く積み上げて三角錐の形を作り、お札やダルマを一緒に入れる。

夕方の六時頃に火を付けると、やがて火の粉が天を焦がす。

暫らくすると、私のすぐ上の姉が、北の夜空を指差しながら私に言った。

「あれ、何だと思う?」

その指先を見た私が何かを叫んで、皆が一斉に天を仰いだ。

その時、すでに斜め45度の角度まで来ていたのは、数百個〜数千個の流れ星だった。

その流れ星は、北の端から南の端まで、消える事なく腺を描きながら移動していた。

とても不思議な光景だった。

そして、神秘的な光景だった。

視界に入る空一面が、流れ星で埋め尽く去れていた。

まるで、いつ星の欠片が降ってきてもおかしくない状況だった。

流れ星は少しずつ数を減らしながら、南の山の二波の向うに消えていった。

「ホウキ星だ。不吉な事が起こる前兆だ。」

そんな老人の言葉に怯えながら、次の日の新聞を見ると、一面にその流れ星の写真が載っていた。

名前はホウキ星とは書いていなかったし、私達が見た数分の1の量だった。

私達が頭上で見た流れ星は、まるで大きな魔女が大きなホウキに乗って飛んでいるようだったから、ホウキ星と呼んでいた。

あれから、獅子座流星群とか、世間で騒がれる流星群をいくら見ても、殆ど感動しなくなってしまった。

あの時の星の大移動を私達は死ぬまで忘れないだろう。

その話が出る度に、姉は自慢げに言う。

「あの時、もし私が気付かなかったら、あなたも皆も見られなかったのよ!」

すると、私も負けずに言う。

「違うよ!あの時、お姉ちゃんの独り言に気付いて、私が騒ぎ出したから皆が見れたのよ!」

何はともあれ、家の姉妹の間では、あの流れ星発見は、私達の大手柄なのは間違いない。


因みに私は、南の空から北の空に移動する、緑色のガスバーナーのような大きな炎も見たことがある。

次の日の新聞を見ても、何も載っていなかったけどね。


本当に凄かった!











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう