一、
世の中には得て不手とするものもあり、それをもたないものもいる。
そして、同じように世の中には世の中が何気に面白いと感じる人と面白くないと感じる人もいる。この主人公は後者のほう・・・・つまり、世の中を面白くないと思っている人物で、特別な家系に生まれた少年であった。彼の将来の夢は“全人類の敵になること!!”である。しかし、世の中には例外と言うものあり、前に記したとおり・・・得て不得手があるものだ。
少年は目覚め、今日も世界の敵になることを誓った・・・・心の中で。
「・・・・よし、今日も一日がんばるぞ!」
決意改め少年は窓を開けて空気の入れ替えをし、飛んでいく鳥を眺めた。こんなことをいつまでもしていたって世界の敵にはなれないかもしれない。
「兄貴!朝ごはんできたよっ!!」
いつものように彼の義妹はうるさく扉を開けて侵入し、朝食を告げるのだった。少年はそのことを嫌っており、
「蕾!そんなことをしたって俺はうるさいだけだ!!」
といってやるつもりなのだが今日も・・・
「あ、そうなんだ・・・まぁ、朝早くだからもう少しだけ静かに言ってくれない?」
というしょぼいものに収まるのであった。因みに、彼が義妹の兄貴になった一年後ぐらいからそのようなことを思い始めていたのだがそんなことをいったことはこれまで一度も無い。
「うん!今日も私が作ったんだぁ!!」
毎日母親は朝食なんて取らずに家を出て行くので当然のように残った者達が作ることになっていた。そして、近頃はずっと彼の義妹さんが料理を作っている。兄貴にお褒めの言葉をもらうためである。
「何?そんなの当然だろう!俺だって家事はやってるんだ!!」
少年は確かにそんなことを思っていることもあるのだが自分では料理を作ることが出来ないのでそれは思っちゃいけないことだといつも思っており、言うのだった。
「そうか・・・それなら楽しみだよ。」
そして、彼は夢が“全人類の敵”なのでこうも付け加える。
「今度、料理を僕に教えてくれないかな?ほら、独り立ちしたら自炊しないといけないからね。」
当然、夢をかなえるためにはまずは独りから始まるものだ。とりあえず飯を食わなくてははじめられないのだ。しかし、義妹はそれを許さない。
「教えないよぅ!教えたら兄貴、すぐに独り立ちしちゃうもん!!」
「むぅ、さすが我が義妹・・・兄貴の考えなどお見通しか・・・。」
完璧に勘違いをするような性格で、脇が甘い。更に付け加えるならこの少年は人をめったに疑わないのだ。騙されたことにも気がつかない。はっきりいって実現できそうに無い夢は寝ているときに見たほうがいいのではないかとお勧めする。
「今日の朝食はねぇ・・・目玉焼きとお魚さんなんだよっ!」
「おいおい、高校一年生にもなって“お魚さん”はどうかと思うぞ?それに俺、お魚さんは嫌いだ!!絶対に食わん!!」
と彼は言うことが出来ない。消極的な性格なのだ。
「あ〜そうなんだ・・・僕、魚はちょっと・・・・。」
「大丈夫!私が食べさせてあげるから!!」
「・・・わかったよ。自分で食べれるから・・・。」
こうして、少年は今日もこつこつ自分の夢に向かって休み休み歩いて目指していくのだった。彼が夢をかなえる日は来ないと思われる。
「・・・おいしい?」
「ああ?こんなのできて当然だ!!」
朝の朝食・・・勿論彼はそんなことをいえない・・・というより、相手を傷つけるような言葉は絶対に言わない。性格上、そういう性格なのだ。
「うん、おいしいよ。」
「わぁ・・よかったぁ。」
なんともまぁ、駄目な“全人類の敵”だ。くだらないな。そんな彼も高校二年生。去年までは真新しい学ランとかばんを引っさげて学校に通っており、今でも特に変わらない。変わったものはクラスと勉強の中身ぐらいだ。苦手科目の数学が今年も彼に牙をむくだろう・・・・中間テストなんて嫌いだと彼は常に心の中で叫んでいる。
「じゃ、行ってきます。」
「お父さん、いってきまーす!!」
彼らは朝の儀式のように写真の人となった父親に挨拶をする。彼の父親は変わった一族の末裔で少年もその運命と言うかなんと言うかそんなものを受け継いでいた。
この世界はおかしい。だが、中から見ている分にはおかしくないのだ。年がら年中、桜吹雪が起こっており、毎日お花見ができる。どこから降ってくるのかもわからない花吹雪に誰も疑問を抱かない。そして、この世界は普通なのだがおかしいところがある。
「や、今日も仲良く登校かな?」
「あ、剣冶・・まぁ、義妹を学校に連れて行くことぐらい出来るよ。」
「そういう意味で言ったんじゃないんだけどね?まぁ、それはいいとして平和で何よりだ。」
「むぅ、私はもっと兄貴と・・・。」
この世界はどこかおかしい・・・・というのも、めちゃくちゃだった。
気がつけば怪獣が町を歩いていたり・・・・得体の知れない何かが犯罪を犯したりといった事があるのだ。神様がいるのなら完璧に適当に作り上げた世界だと決定付けても構わないだろう。どこからも文句は出ないかと思われる。出たとしてもこれだけのおかしいことを突きつけられたら間違いなく裁判で勝てる。
「つぉら!!なんじゃ,おぬしは!!」
「ぶぁぁぁ?なめとんのか、おんどりゃあ?」
高校へと向かう途中、彼らは口げんか(既に殴り合いを開始している。)をしている学生を見た。どちらも筋骨逞しく、見た目高校生には見えない。
「全く、悪い世の中だ。」
「・・・蕾、剣冶・・・先に学校行ってて。」
「また・・・兄貴、怪我して帰ってくるんじゃないの?」
「大丈夫だよ。」
「蕾君、君の兄貴の事を信頼してあげなよ?」
「・・・わかった。」
少年は二人にかばんを預けてその喧嘩している二人に歩み寄った。
「・・・高校生にもなって朝っぱらから喧嘩をするのはどうかと思うよ?」
「おおん?おどりゃのめはくさっとんのか?」
「わしらは中学生じゃ、ぼけぇ!!」
「・・・・失礼。」
少年は自分より頭二個分ほどでかい相手に頭を下げた。少年の背が低いわけではない彼はだいたい百七十センチぐらいはある。
「おどりゃ、邪魔した覚悟はできとるさかないなぁ?」
「覚悟、せいやぁあ?」
「・・・・君たちは誰かを傷つけて楽しいかい?僕は嫌だね。」
「おおん?正義の味方、きどっとんのか?」
「力こそが正義じゃ、ぼけぇえ!」
なんともまぁ、おかしい連中である。それを平然と見ている少年もおかしいのだが・・・・
それから十分後、そこには二人の中学生が仲良く気絶していた。
「・・・全く、はじめから仲良く出来のならそうすればいいのに・・・。」
彼らの体は濡れており、それを見下ろしていた少年のこぶしも濡れていた。彼は、その水をふき取ると走り出した。
「・・・・遅刻かな?」
そう呟いた少年の耳に遠くから気の抜ける学校のチャイムが聞こえたのだった。そして、少年はその後も“人類の敵”を目指しながらも人助けをしながら学校に向かい、先生に叱られたのであった。そして彼は思う・・・・
「よし、明日は先生に嘘をついていないことを証明するために助けたおばあさんを悪いけどつれてこよう。」
嘘をつけばいいのに・・・いや、その前に困っているおばあさんを見捨てて学校にくれば遅刻もしないのに彼はそんなことを考えないのであった。彼が目指すのは当然、悪役だ。だが、彼はまっすぐな性格なのである。そんな彼の名前は村雨 時雨その名前をイニシャルで呼ばれまくって中学生の頃にからかわれたこともあるのであった・・・・。
「・・・今日の宿題は“夢”という作文か・・・・よし、正直に夢を書こう!!」
こうして、その次も彼は先生に叱られるのであった。〜終〜
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