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最終舞台は華やかに
作:国沢裕



チャプター・6 京一郎


「……何、奴は一家皆殺しの目にあった事件の生き残りで、犯人が捕まっていないって? そんな事件なら新聞の全国紙に載るだろ? それに未解決なら、なおさら繰り返し話題にものぼる。一度も聞いた事ねぇぞ」
 俺も思わず声を出して言ったが、夢乃が首を横にふって答えた。
「その、土居さんって人がその土地の陰陽師の権力者にあたるのと、私の父も絡んでいるのかな……。報道が押さえられて地方の新聞にしか載らず、それもあまり大きな記事にもならなかったって。警察関係者以外にはジプシーの存在も知らされていないって」
 そんな事が出来るのだろうか。……奴が生き残っているのがバレたらまずい事でもあったのだろうか。または、さらに狙われる可能性などがあったって事か。
 そして、俺は今の話で一番気になった事を聞いた。
「まさか、その犯人って言うのが、例の我龍って奴じゃないだろうな」
「それはないと思う。我龍の年齢は私達と同じ位だそうだから、その当時なら六歳か七歳位でしょう。それに犯人は複数犯だって言われていたそうよ。私が直接話をしたのは土居さんの息子で、ジプシーの従兄弟になるわね。確か彼も私達と同じ学年で、勝虎かつとらって名前だった。ジプシーが初めて家に来た時に、土居さんと一緒について来ていたの。あの時は大人とジプシーだけが部屋で話をしていて、私と彼は別の部屋で待っていた」

 大人同士の話と言うことで、別室で少しの時間だが夢乃は勝虎と一緒に待っていた。こういう場面での顔合わせだったので、弾む内容は話題にしなかった。勝虎は根がいい奴らしく、ひたすら小学校時代を一緒に過ごした従兄弟の心配だけを口にしていた。
 ただ、勝虎が言った台詞の中で、特に印象深いものがある。
『聡は事件のせいか、生き急ぐというか死に急ぐというか、今はそんな感じがするんだよ。そう、我龍って奴も会った時に同じ雰囲気がした。聡はあいつと会った日から変わったよ』

「って事は何だ、ジプシーは、その従兄弟と一緒に我龍と会ったのが、最初で最後の一回って事だな」
「私もその時は、我龍って人がジプシーの中で、そこまでの重要人物だとは思わなかったから、それ以上の詳しい話を聞かなかったんだけれども」
「その会った時に何かがあったとしたら、その従兄弟に聞けばいい事だが」
 俺は夢乃の眼を見返して言った。
「俺達に、そこまで踏み込む権利はねぇな」
 夢乃の話は大体終った。
 なので俺は、今の話を頭の中で整理しつつ、ほーりゅうを見た。
 案の定、怪訝な顔をして、俺に説明を求める眼をしていた。話の押さえ所がわかっていないのだろう。ほーりゅうには比喩などを使わず、直球で言う方がいい。
「つまりジプシーは、一家皆殺しにされた事件の生き残りで犯人は捕まっておらず、その犯人ではないし理由もわからないが、我龍という男を敵視しているって事」
 無言で数回頷くほーりゅう。そこまでは解っているようなので続けていった。
「奴に、事件と我龍に関する事を連想させたり聞いたりするな。わかった?」
「……オッケー!」
 ほーりゅうは両手で頭の上に輪を作る。この軽さ、本当に話の内容を理解をしたのか、俺はちょっと不安になった。







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