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弱点属性を見極めよう



「ご主人さま! レッドスライムの弱点は水魔法です! 水魔法を使えばそこにいる魔物を倒せるかもしれません!」


 火魔法を吸収して肥大化したレッドスライムを指差してスピカが指摘する。


「なるほど……」


 スピカの指摘を受けた悠斗は右手を翳して呪文を唱える。



(ウォーター!)



 直後。

 悠斗の右手からは勢いよく水が噴射される。


 魔法のコントロール技術を向上させた悠斗はその威力を最大に調整していた。



「ビ~ギ~!」



 水魔法を浴びたレッドスライムは、モクモクと白煙を上げらながらも断末魔の悲鳴を上げる。


 結果。

 最終的にレッドスライムの薄皮とその中心である核だけが、その場に残った。


 戦いに決着が付いたことを悟り悠斗はホッと胸を撫で下ろす。



 ~~~~~~~~~~~~



「驚きました。ご主人さまは《火属性》の魔法も使うことが出来たのですね!」


「恐れ入ったぞ! 主君は《火属性》と《水属性》の魔法を同時に扱いこなす《デュオ》の魔術師であったのか!」


 戦いの様子を窺っていたスピカとシルフィアは悠斗に対して尊敬の眼差しを送っていた。

 

 何故ならば――。

 トライワイドにおいて1人の人間が使用できる魔法は基本的に1属性と定められているからである。


 例外的に2属性の魔法を操る人間はデュオと呼ばれており、1万人に1人の確率で生まれてくるとされている。


 更に言えば――。


 3属性の魔法を扱う人間、トリニティは100万人に1人。

 4属性の魔法、カルテットは1億人に1人。


 といった具合にその希少度は100倍増しになっていく。



「ああ。うん。そのことなんだが……」



 こういうのは口で説明するよりも実際に見せた方が早いだろう。


 そう判断した悠斗は《ファイア》・《ウォーター》・《ウィンド》・《ヒール》の4種類の魔法を次々に使って見せることにした。



 ~~~~~~~~~~~~



「「……!?_」」


 スピカとシルフィアは自らの眼を疑わずにはいられなかった。

 まさか自らの主人が1億人に1人の割合でしか生まれてこない《カルテット》の魔術師であるとは思いも寄らなかったからである。


「凄いです! ご主人さま! 凄すぎです!」


「……恐れ入ったぞ! まさか生きている内に《カルテット》の魔術師に出会うことがあるとは思っていなかった」


 二人の言葉からは興奮の色が窺えた。


「まあ。今のところ戦闘には役に立ちそうにないのだけどな」


 悠斗が苦笑しながら告げるとシルフィアは即座に否定する。


「そんなことはないぞ! 特に炎属性の魔法は、5大属性の中でも一番戦闘で役立つことで知られている。たしかに主君の武術は凄まじいものがある。

 けれども、相手の弱点属性次第では、単純な物理攻撃よりもダメージを期待出来る魔物もいるだろう」


「弱点……か……」


 先程のレッドスライムとの戦闘で痛感した。


 今までは全く意識していなかったが、これからは少し考えてみる必要があるのかもしれない。


「ああ。そう言えば聞いていなかったな。シルフィアは何属性の魔法を使うんだ?」


「私の属性は《風》だな。魔法属性は両親から遺伝する場合が多いから……私の場合は一族揃って《風属性》だ」


 シルフィアの言葉の隅からは自嘲の念を感じ取ることが出来た。


「もしかして《風属性》の魔法って、この世界ではハズレだったりするのか?」


 悠斗が尋ねるとシルフィアはコクリと首肯する。


「ああ。風属性には……炎属性のような攻撃力も、水属性のような汎用性も、聖属性のような利便性も、呪属性のような希少性もないからな」


 言ってシルフィアは腰に差した刀を抜く。

 

 シルフィアが剣を振るった直後。

 その先からは鋭い風の刃が発生する。


(これは……俗に言うソニックブームっていうやつか……)


 半月の形状をしたソニックブームは7メートルほど飛んで行ったところで消滅。

 その威力はシルフィアの体から離れるほど落ちているようであった。


「私が使える魔法はこのくらいだな。見ての通り……魔物を一撃で屠るような威力はない。使い道と言えばせいぜい1対1での戦闘における牽制程度だろう」


「……なるほど」


 どうやら風魔法はそれ単体では、色々と使いどころが難しいらしい。

 4種類の魔法を所持している悠斗ならともかく、生まれ持った魔法が風属性の1種類だけだと不満の1つでも零したくもあるだろう。


「ああ。でも飛び道具から身を護るには風魔法って何かと便利なんじゃないか?」


 尋ねるとシルフィアはおもむろに首を縦に振る。


「たしかに……攻撃性能は低い分、防御魔法として風魔法は優秀かもしれないな。敵の放った弓矢くらいなら強引にその軌道を曲げることが出来る」


「なら問題ないな。元々このパーティーの攻撃役は俺だ。言っただろ? シルフィアの役目は仲間を護ることだった。風魔法……シルフィアにはピッタリじゃないか」


「……!? そうか。たしかにそういう考え方も出来るな」


 悠斗の言葉はシルフィアの胸にストンと落ちる。


「主君には感謝せねばならないな。私は今しがた……生まれて初めて風魔法を授かって良かったと思うことが出来たよ」


 シルフィアは憑き物が落ちたかのような晴れやかな笑みを浮かべていた。



 ~~~~~~~~~~~~



 それから悠斗たちは適当にダラダラと狩りを続けた後。

 本日の遠征を終えることにした。



 バット ×8

 レッドスライム ×8

 ブルースライム ×7



 今日一日で討伐した魔物の数である。

 検証目的で遠征をしていた分、討伐数は低めであった。


 最終的なステータスは下記の通りである。



 近衛悠斗

 固有能力: 能力略奪 隷属契約 魔眼 透過 警鐘

 魔法  : 火魔法 LV3(22/30)

       水魔法 LV3(1/30)

       風魔法 LV3(20/30)

       聖魔法 LV2(5/20)

 特性  : 火耐性 LV3(1/30)

       水耐性 LV3(0/30)

       風耐性 LV2(14/20)



 火耐性と水耐性のレベルが2から3に上昇していること以外は取り立てて変化は見られない。


 討伐した魔物の数と習得した経験値が一致しないのは、能力略奪の発動条件を検証していたからである。


 本格的な金策は明日から開始することにしよう。


 そう判断した悠斗はエクスペインの街を目指すのであった。




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