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安息日



 翌朝の悠斗の目覚めは普段と比べて遅かった。


 それと言うのも昨夜スピカに「最低でも明日一日は絶対に体を酷使するようなことはしないで下さい! 約束ですよ!」と釘を刺されてしまったからである。


 どうやらスピカの回復魔法では傷口を塞ぐことは出来ても、怪我そのものを完治させることは出来ないものらしい。



(スピカのやつも……心配性だよな)



 悠斗としては戦闘に支障が出るほどの痛みは感じていないのだが、スピカの気遣いを無下にするのも気が引ける。


 このような経緯を経て――。

 休養を取ることを決めた悠斗は、討伐クエストに行かずに街をぶらつくことにした。



 ~~~~~~~~~~~~



 以前にオークの屋敷で手に入れたアイテムを競売にかけてから既に48時間が経過している。


 悠斗はその代金を受け取りにギルド公認商店に訪れていた。

 アドルフは悠斗の姿を見かけるなり気さくな口調で声をかける。


「おう。久しぶり。兄ちゃんのことをずっと待っていたのよ」


「競売に出した品なのですが……換金できています?」


「おうよ。バッチリさ! 兄ちゃんは運がいいね。たまたまその日は他に目ぼしい品がなくて沢山の問い合わせがあったのよ」


 すかさずアドルフはテーブルの上に金貨を1枚置いて。


「まずは《コボルトの煙管》の落札額の1万リアだ。こいつはまあ……およそ相場通りってところだな。成金趣味のオヤジたちに愛好家が多いから価格が安定しているんだ」


「……おぉ。ありがとうございます」


 たかだか煙管1個に1万リアの値段が付くとは思わなかった。

 悠斗は思わずそのテンションを上げる。


「そして次に《伝説のオークの宝剣》だが……こいつは滅多なことでは市場に出回らないレア装備でね。どうなることかヒヤヒヤしたが……最終的には70万リアの値段が付いたよ」


「70万!?」


 悠斗はテーブルの上に積まれた70枚の金貨を目の当りにして驚きで声を上げる。

 

 けれども。

 それも無理のない話であった。


 日本円に換算すると700万円に相当する額がたった1個のアイテムに付いたのである。

 伝説のオーク……侮りがたし。


「これだけの金が一気に手に入ったんだ。装備を整えるのも良いが、俺としては奴隷を買うことをオススメするよ」


「奴隷……ですか」


「ああ。稼ぎの良い冒険者たちは、奴隷を連れてクエストに出かけることが多いのは知っているかい? 奴隷をパーティーに加えれば色々なクエストが効率的になるからね。それに酒場でパーティーを組むのと違ってアイテムのドロップに揉める必要がない」


「……なるほど」


 既にスピカという奴隷がいることについては、アドルフには黙っておくことにした。

 何故ならば、つい一昨日まで初心者用の装備を買っていた人間が、奴隷を連れ歩いているのは不自然に思われるのではないかと危惧したからである。


 スピカには事情を話して宿屋で待機して貰っている最中であった。


「奴隷を買うならギルド公認の店をオススメするよ。奴隷ビジネスは闇が深いから信頼の置ける店に行くのが良い」


「……!? ギルド公認の店なんてあるのですか!?」


「ああ。それだけ冒険者にとって奴隷っていうのは需要が高いってこった」


「…………」


 悠斗は日本とのカルチャーギャップに驚愕していた。

 公の施設が奴隷の売買を公認するなど日本では考えられないことである。

 

 けれども。

 この世界ではそれが認められている。



(ならば金さえあれば……合法的に美少女たちとの奴隷ハーレムを築くことが出来るということなのか!?)



 悠斗の元々の手持ちは18550リア。

 ここに競売品の売却収入を加えた72万8千550リアが現時点での悠斗の全財産であった。


 これだけの額があればスピカのような逸材を買うことが出来るかもしれない。


 悠斗は奴隷としてのスピカに不満がある訳ではない。

 最近ではむしろ何処までも健気なスピカに対して深い愛情を感じていた。


 けれども。

 それとこれとは別問題。


 異世界でハーレムを築くことは何ものにも代えがたい男のロマンであるのだ。


(……いや。そもそも別に俺は後ろめたいことをしている訳ではない。パーティーの人員を増やせばそれだけ安全に討伐クエストをこなすことが出来る。これは……他でもないスピカのためでもあるのだ)


 悠斗は自分自身にそう言い訳すると――。



(目指すは……100人の美少女との奴隷ハーレムだ!)



 アドルフに紹介された奴隷商館にダッシュで向かうのであった。



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