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VS タナトス2



「……さて。まずはワシの掌の中で踊ってもらおうか」


 タナトスは宣言すると、自らの固有能力《魂創造》を使って地面の中に魔力を注ぎ込む。


 すると、その直後。

 地面の中に埋めていた人間の死体は、魂を持ってグールとして生まれ変わる。


 肉体に魂を宿す《魂創造》のスキルは死体と魔力があれば無限にグールを生成することを可能にしている。


 生み出されるグールの戦闘能力は、生前の人間の力に依存する。


 そういう事情もあってタナトスは、自らの野望を果たすべく常に優れた肉体を持った人間を求めていた。




「「「グルルル」」」



 

 気が付くと、囲まれていた。

 タナトスは殺した人間を地面に埋めて腐敗させることで、グールの力を高めていたのである。




「殺れ!」




 タナトスが命令を下すと、地面の中から出現した20体を超えるグールたちが一斉に悠斗に飛びかかる。


 全ての格闘技の長所を相乗させることをコンセプトとした《近衛流體術》を習得した悠斗は、ロシアの軍隊格闘術、システマの達人であった。

 

 現存する格闘技の中でも極めて稀な1対多の戦闘を想定して作られたシステマを極めた悠斗であれば、集団戦もお手の物である。


 システマ特有の相手に狙いを定めさせない流麗な足運びは、集団で襲い掛かるグールたちを翻弄し続けた。



「はぁぁぁ!」



 全ての格闘技の長所を相乗させることをコンセプトとした《近衛流體術》を習得した悠斗は、《柔道》においても非凡な才能を有している。


 その中でも悠斗が最も得意としていたのは《空気投げ》と呼ばれる技である。


 足腰にはまったく触れずに、体の捌きだけで、相手を投げ飛ばすこの技を実戦的に使いこなす悠斗はグールたちの猛攻をいなし続ける。



(す、凄い……!? これが本当に私たちと同じ……人間の動きだというの……!?)



 初めて悠斗の動きを目の当たりにしたルナは戦慄していた。


 若くしてシルバーランクの地位に上り詰めたルナは、周囲から《武神》と呼ばれるほどの実力を有していた。


 けれども。

 そんなルナの目から見ても悠斗の戦闘能力は、比較する対象が全く見つからないほどのものであった。



「ふん! ちょこまかと!」



 それから数分後。

 戦いの均衡はタナトスの手によって破られることになる。


 頼りの無いグールたちに痺れを切らしたタナトスは、自身の保有する《影縫》のスキルを用いて影の中に溶けていく。



(消えた……!?)



 悠斗は突如として視界から消えたタナトスのことを警戒しながらも、グールたちからの攻撃を防ぐ。



「死にさらせ!」



 影縫のスキルによって悠斗の背後を取ったタナトスは、手にした鎌を振り上げて悠斗に向かって斬りかかる。


 巨大な体躯に寄らずタナトスの動きは機敏であった。



「クッ……」



 タナトスの攻撃が、悠斗の肩を掠めて血しぶきを上げる。

 反撃を試みようとする悠斗であったが、肝心のタナトスは影の中に溶けていき姿を現すことはない。



(……これは厄介だな)



 自身の身体能力を大幅に向上させる《鬼拳》を使用すれば、タナトスのスピードに負けることがないだろう。


 だがしかし。

 悠斗の《鬼拳》は長時間使用すれば、自らの命を落としかねないキケンな技でもある。


 せっかく《鬼拳》を発動しても、影の中に隠れられてしまうと余計に事態が悪化しかねない。



(……仕方がない。勝つために手段を選んでいられる状況ではないよな)



 悠斗はタナトスを倒すための道筋を頭の中に描きながらも、襲い掛かるグールの攻撃を躱し続けるのであった。






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