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再会



 オリヴィア・ライトウィンド

 種族:ケットシー

 職業:村長

 固有能力:なし



 ケットシーの村の中で1番大きな村長の家に足を踏み入れると、見覚えのある顔がそこにあった。



「キ、キミは……?」



 悠斗の顔を見た途端。

 オリヴィアは読んでいた本を咄嗟に床に落とすほどの衝撃を受けることになる。


「えーっと。お久しぶりです。オリヴィアさん」


「そ、そんなことは見なくても分かる! どうしてキミが此処に!?」


 ケットシーの村の村長――オリヴィア・ライトウィンドは、悠斗に対して淡い恋心を芽生えさせていた。


 それというのも盗賊団《緋色の歪》のリーダーであるタナカ・カズヤから暴行を受けそうになっていたところを悠斗に助けてもらった経歴があるからである。


 悠斗と離れてからもオリヴィアの恋心は消えることはなかった。


 だがしかし。

 村を守るためのリーダーである村長という職業である自分が、各地を転々と渡り歩く冒険者という職業の男と結ばれるのは難しい。


 そういった事情もあってオリヴィアは、村に籠りながらも自らの気持ちを抑えていたのである。



「まさかキミ……私のことを貰いに来てくれたとでも言うのか……?」



 混乱したオリヴィアは悠斗に向かって突拍子のない言葉を口にする。


「落ち着いて下さい! 俺が来たのはグール退治の助っ人のためですよ!」 


 想定外の方向に暴走を始めるオリヴィアに対して、悠斗はツッコミを入れるのであった。



 ~~~~~~~~~~~~



「そうか……! そういうことだったか! しかし、キミがきてくれるとは夢にも思わなかったよ……!」 


 それから。

 悠斗から詳しい経緯を聞いたオリヴィアは、平静を取り戻すことになった。


「ユウトくん。詳しい話は、ルナから聞いていると思うが、我々の村は未曾有の窮地を迎えている。突如として現れたグールたちによって村の人間が何人も攫われてしまっているのだ。

 実を言うと奴らの巣については既に目星がついている。ユウトくんには明日にでもルナと二人でグールたちの討伐に向かって欲しい」


「……分かりました。えーっと。とこでそのルナのことなんですけど」


 何が原因なのかは定かではないが、悠斗はルナから嫌われていることを確信していた。


 明日の仕事に向けて一つでも不安は解消しておきたい。


 悠斗はそこでルナ・ホーネックという少女についてオリヴィアに色々と尋ねることにした。



「そうか……。そんなことがあったのか」



 悠斗から事情を聞いたオリヴィアは、何処か納得した面持ちであった。


「しかし、ルナがユウトくんのことを嫌うのも無理はない話なのかもしれん」


「……どういうことですか?」


「ああ。我々の村は見ての通り子供が少なくてね。ルナにとって同世代の子供はリリナしかいなかったんだ。彼女からしてみればユウトくんは、大切な友人を奪って行った憎き相手ということなのだろう」


「…………」


 付け加えるのであれば――。

 ルナが冒険者を志すようになったのは、リリナのことを村の外に連れ出してやりたいという想いがあったからである。


 逆恨みとは分かっていても、悠斗に対するルナの心証は芳しいものではなかった。


「けれども、キミの心配には及ぶまい。ルナはあれでいて素直な良い子だからね。きっとユウトくんとも直ぐに打ち解けることが出来るさ」


「だといいんですが」

 

 悠斗としてはせっかく善意で受けた仕事に水を差された気分であった。


「……と、ところでユウトくん。今日はこの後、何か予定があるのかね?」


「いえ。特にないですが」


「そうか。そうか。もう日も暮れている。今夜は是非とも我が村に泊まっておくといい」


「分かりました。御言葉に甘えさせて頂きます」


 オリヴィアの言う通り今日はもう遅い。

 夜の森を歩くのは危険が付きまとうので泊まっていった方がいいだろう。


 悠斗が快諾すると、オリヴィアは妙にソワソワとした覚束ない様子になるのであった。



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