もっこり公の陣地にて
「もっこり公。敵の数は二百万との報告がありました!」
もっこり公は監督用のチェアに座りながらメガホンを振り回してしかめッ面している。
「くそゥ。現在の名古屋市の人口並みの大軍じゃねェか。うちは、一万人だぞ。どうやって勝てちゅうねん」
参謀の佐々木好宗が、もっこり公に灰皿を差し出しながら意見を述べる。
「もっこり公。いいですか。敵は確かに二百万と数は多いです。しかしながら、奴らの大半はGLOYファン。コンサートに行く途中の奴らを引っ張ってきただけというではありませんか」
「なるほど」
GLOYというのは戦国時代きっての人気バンドである。
「一方、こっちは、元自衛官が半数もいるのですぞ。数より質です。勝てぬわけがありませぬ」
「ふむ」
もっこり公は腕を組んだ。
「しかし、好宗よ。お前はGLOYファンの恐さを知らん。奴らはGLOYのためならば平気で人を殺すほど熱狂的なのじゃぞ。それでも勝てると申すのか」
「御意。GLOYのコンサートは戦のあとにあるのでそれまで奴らはただのおとなしい一般人なのです。コンサート始まってからは人が変わりますけどね」
「ふーん。そういうもんかねェ」
とにかく、もっこり公としては、怯える兵士たちを何とかして奮い立たせねばならない。
「よし」
もっこり公はメガホンで好宗の頭を叩いた。
「敵大将の首をとった者には、イラク旅行にペアで招待するぞ」
シーンとなった。
好宗はそっと耳打ちした。
「主君。イラクは今人気ないですよ。米軍も逃げたいほど治安が悪いそうで。ドバイとかにしたらどうですか?」
「う、うむ。そうじゃな」
主君は咳払いした。
「みなのもの! 敵大将の首を討ち取った者にはドバイ旅行じゃ。ペアで三泊四日じゃ。よいか!」
「わあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
みんな大喜びで槍を高く突き上げている。単純なコが多いネ。
とその時、おそるべきニュースが入った。
陣地の真ん中に設置してあるテレビでキャスターがしゃべっている。
「今夜未明、推定二百万人と言われる田中軍が何者かによって消滅させられました。くり返し報道します・・・・・」
「な、なにい」
「ど、どういうことだ」
「うそー」
陣地内がざわついてきた。
ニュースではこう続く。警察の調べによると、UFOの仕業であると。そしてCIA筋の情報によるとそのUFOが次はもっこり公の陣地を目指していると。
こりゃやべえ!
兵士たちはパニックに陥った。
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