お冷
さてさてみんな(ミシシッピ姫・もっこスケ・亀二匹・犬)で楽しいディナーですよー。
この竜宮城、ちょいと変わった料理店。回転寿司のように料理がベルトコンベアに乗って流れてくるのだ。
もちろん、寿司ではない。いろんな料理が流れてくる。ラーメン、カレーライス、マーボ豆腐、シチュー、ピザ、クリームぜんざい、ハンバーグ。
もちろん、赤字経営である。だって、ラーメンとかすぐ伸びるから誰も取る人がいなかったらすぐ捨てなきゃいけない。あと、カレーライスとかシチューとかあったかい料理もね、すぐ捨てなきゃいけない。
なぜこんなシステムになったのか?
そんなことは私は知らない。
世の中には知らない方が幸せなことがたくさんある!
でもこの五人(ミシシッピ姫・もっこスケ・亀二匹・犬)はかなり食いしん坊なので次から次へと平らげていった。
ウエイターのわかめがやって来た。わかめだから何か薄っぺらい。
「お冷はいかがでしょうか?」
「ちょーだい」
「僕、あったかいお茶がいいな」
「わしも」
「かしこまりました」
わかめのウエイターは厨房に戻っていった。
そして、もっこスケたちの席に戻ってきた。
「お待たせしました」
「ありがとう」
コップの中をのぞいてみた。
「なによ、これ」
ミシシッピ姫が怒った。
「水入ってないじゃん!」
犬や亀も湯のみの中を覗いた。
「ほんとだ。何も入ってない」
「どういうことなのよ!」
ミシシッピ姫はカンカンだ。
「あのお客さま。失礼ですが当店は水の中にあるので、ですので」
「へ?」
よく見ると湯のみの中に何も入ってないのに茶柱が立ってる。
「わ。すげ」
「そういうことね」
ミシシッピ姫は納得した。
と思いきや。
「ふざけないでちょうだい!」
コップの中の水(?)をウエイターのわかめにぶっかけた。
つもりだったが、水の中なので、かかってるのかどうか、よくわからない。
わかめはクネクネしながら「困りますようお客様。困りますようお客様」と半泣きだ。
「ふざけた店ね。もういいわ。ウエイターさん。わたし、オレンジジュースが飲みたいわ。持ってきて」
「あ。僕、ウーロン茶」
「わし、ビールね」
「わたしたちも」
「かしこまりました」
わかめはまた厨房に戻った。
そしてもっこスケたちの席に戻ってきた。
「お待たせしました」
「あ。ども」
グラスの中をのぞいてみた。
「なによこれ」
ミシシッピ姫が怒った。
「オレンジジュース入ってないじゃん!」
亀たちもジョッキの中をのぞいてみた。
「ほんとだ。何も入ってない」
「どういうことなのよ!」
ミシシッピ姫はカンカンだ。
「あのお客さま、当店は水の中にあるので、ですので」
「え?」
よく見ると何も入ってないのに亀たちのジョッキに泡が出てる。
「わ。すげ」
「そういうことね」
ミシシッピ姫は納得した。
と思いきや。
「ふざけないでちょうだい!」
ビール瓶をつかむとわかめの頭目がけて振り落とした。
「うぎゃあああああああああああああああ」
犬やもっこスケたちは恐ろしくてプルプル震えている。
「ふざけた店ね、もういいわ。ジュースはいいから、お冷を持ってきてちょうだい。至急よ」
わかめは血まみれになりながら床をのたうち回っていた。
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