おっさん
亀が倒れてるおっさんを揺する。
「ううん。ううん。おっぱいやだあ。おっぱいやだあ」
何の夢を見ているのだ。
しかし、妙に共感できる寝言だ、ともっこスケは思った。
竜宮城の門からイカとタコがやって来た。
「おいこらお前ら何をしとる」
「いやその」
もっこスケと亀はおっさんとコブラを指して何とかしてよと言った。
「何だこのおっさん」
イカがおっさんのケツを叩いてみた。
「ううん。ううん。おっぱいやだあ。おっぱいやだあ」
まだ寝言を言ってる。いったいどんな夢を見てるんだ?
「しかしこんなとこで寝られたら営業妨害だ。何とかせにゃ」
タコがおっさんを持ち上げて背負った。
「とりあえず、警備室に連れていこう」
イカがコブラをつかんだ。
そのまま門の中へ入っていった。
もっこスケと亀はミシシッピ姫を待っていた。
すると、向こうから犬が泳いできた。
「あ。てめ。朝の」
「あ。お前か」
犬は二人の前に止まった。
「何しとんだお前」
「お前らこそ」
犬はしげしげと二人を見つめた。
「ひょっとしてお前らも竜宮城でディナー?」
「うん。お前も?」
「うん。わしはよく来るよ」
「へえ」
犬もお客で来るとはなかなかおもろい料理屋だな。
「今、待ち合わせしてんだよ」
犬はびくった。
「ひょ、ひょっとして朝の娘かい?」
「うん。そうだよ」
犬はあわてた。
「わしぁあの娘っこは苦手じゃあ」
すると、案の定。
「お待たせェ」
向こうから亀が泳いでくる。
上にまたがってるのは、そう、ミシシッピ姫だ。
犬が、ひゃああ、と叫んだ。
ミシシッピ姫を乗せた亀は三人の前に止まった。
「待った?」
「ううん。今きたとこ。みっちゃんも亀タクシーで来たの」
「うん。そうだよ。あれ。お前は朝の」
「ひゃああ」
犬はびびって頭を押さえてぷるぷる震えた。朝、空手チョップされたのがよほどこたえてたらしい。
「なによもう。別に悪いことしてないんだから殴らないよ」
「ほんとに?」
犬はほっとして腕を下ろした。
「ねえ。みんなでディナーしよっか」
「え。ボクらもいいんですか?」
「いいよ。いいよ。ね。もっちゃん」
「うん。みっちゃんがいいならボクはいいよ」
「やったああ」
亀たちは大喜びだ。
でも、犬はちょっとびくっていた。朝の空手チョップが少しトラウマになってるようだ。 |