プロローグあるいは悲しき鈴木金太郎
嵐の夜であった。あったというか、嵐の夜である。晴れてはいない。だって、嵐がすごいもの。風やら雨やら。雷だってすごいぜ。
とある山の中。足軽・鈴木金太郎は、槍を振り回しながら馬と戦っていた。
「てめ。このやろ。暴れるな。暴れるな」
「ヒヒーン! ヒヒーン!」
履いていたナイキのシューズはすでに泥まみれである。せっかく戦用に買ったというのに、この馬野郎がゆうことを聞かないもんだから、金太郎は戦場に乗り遅れていた。
この馬は主君・もっこり陸奥利守一郎の愛馬キャシーである。まっしろなじゃじゃ馬レディ。
「早くしないと、もっこり公に怒られてしまう!」
金太郎は槍でキャシーを叩いた。
「ヒヒィィィィィィィン!」
キャシーが後ろ足で蹴飛ばした。
「ぐ、ぐはあああああああ」
金太郎は後方数メートル吹っ飛び木に激突した。
「ち、ちきしょう。馬の分際でよくも、よくも・・・・・」
もう勘弁ならん! と、金太郎はふところからナイフを取り出し、ブッ刺してやる! と、キャシーに突進したらば。
ゴロゴロピカーーーッ!
雷が彼を直撃し、ナイフから全身に向かって電流が走った。
「ぐぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ」
黒こげになった金太郎はぐったりして、すぐにバタリと、ぬるぬるの地面にうつ伏せに倒れた。
「ぷゥ」
けつから屁が出た。
「ヒヒィィィィィィィィィン!」
もっこり公の愛馬キャシーは主君のいる陣地に向かって猛スピードで走っていった。
雨はじょじょに止んできた。
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