ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
  私の話。 作者:
七十九編
 聞いた話。

 想像してほしい。
 普段は知覚できないが、アナタの目の前にはシャム双生児よろしく首が二つで体中の穴という穴からドロドロとした液体を吐き散らかす化物がいる。
 所詮は想像の話だ。それに見えない、知覚できないということは、いないということと同義。
 だがもしも、そんな怪物が本当に存在しているとしたらあなたはどうする?
 精神科医から聞いた話。

 ある患者の男は交通事故で頭を強く打ってから奇妙なものが見えるようになっていた。幻覚だとかそういうものの類ではなく、人の形をしていない異形の化物が見えるのだという。
 男はそれを酷く怖がり、家からでなくなった。札を家中に貼り、怯えて引き篭る日々。彼女の妻はそれを酷く心配し、彼の元へと男を連れてきた。
 彼は一度、脳神経外科に行くことを勧めた。カウンセリングと投薬の結果、大分良くなったが男は診察に向かう途中、突如死亡した。
 なんの因果か、今度はその男の妻が彼の元にやってきて診察を受けることになった。
「旦那が死んだときのことが頭に残っていて……」
「失礼ですが、旦那さんはどうしてお亡くなりになったんですか?」
「……町を歩いていると、急に宙に浮いたかのようにつま先立ちをし始めて、次の瞬間には首の骨が折れていました。あれは、本当に見えない何かに殺されたかのように見えました。先生、本当に夫が見たものは夫の頭の中だけにいる生き物だったんでしょうか? 私には最近そうは思えなくて……」
「どう……でしょうね」

 もしかしたらアナタのすぐ近くにもそんな何かがいるのかもしれない。
 ただ見えていないだけなのかもしれない。

面白かったら、こっちもクリックしてやって下さい


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。