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…冬物語…
作:かなん



29.あなた



我に返って、自分の放った言葉に後悔する。















『平次の事好き』






その言葉が頭の中をしぶとくリピートし、目眩が起こる。



まさか。



こんなタイミングで言うつもりなかったのに…!!











いくら冗談や、と言ったところで、今まで通りの関係に戻るのは無理な気がする。






でも、あたしが言った事を口実に、平次があたしの事どう思ってるか、聞けるんやないか。



いつもいつも、思わせぶりな態度で、あたしを悩ませてきた平次。








もしかしたら絶好のチャンスなのかも…?











やけど。


『どうとも思わへん、ただの幼なじみや』て言われたら、あたしどう生きて行けばええんやろ…











怖い。















「和葉…オレん事好きなんか…?」

「え…」



…今更なんなんッ

怖い。
怖いけど。



今こそ、今までの想いを聞いて貰えるチャンス。



もう伝える事も許されないと思った言葉を、声に出して伝えられるチャンス。









さっき逃げないって決めた。






あたしはもう逃げたない。





逃げへん…!!

















「そ、や………あたし…ずっと…平…次の事…が、好き…やってん…」



先程告白してしもた時に止んだ涙。
今は言葉を発する事に邪魔する。



「ずっと…ずっと…平次だけ…を、思って…生き…て来たん…よ…?」

「和葉…」


























あれ…?

ここどこ?

一瞬で目の前

真っ暗になった


でも

真っ暗なのに

あったかい


そうや

あたし

ずっと

ずっと

この温かさを

待ってたんや

この温かくを

独り占めしたくて

今まで

平次の事

思ってたんや



って事は…


この温かさって…












顔を上げた。



平次の顔があった。





そっかあ…


あたし、平次に肩抱き寄せられて…








目の前が真っ暗だったのは。














平次の胸の中におったからやったんやね。























「アホ、なんちゅー事言うねん」

ア、アホ?


「オレより先に言いやがってからに」


オレより先?


「よオ聞いとけよ…」












「オレも…和葉の事好きや」












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