第3死 白猫
「なんで俺がこんなこと……!」
こんなことを言うのには、理由がある。
何故なら、入院していた、しかも、さっき会ったばっかりの少女(寝ていたという特典付き!)を連れてきたからだ!
「何故かって? お前が私の下僕だからだ」
「……そーかい、そーかい」
言い返すのがめんどくさくなって来た。
何故こいつはこうも人をムカつかせるのが得意なんだ?
「う、ん……」
連れてきた少女は寝返りをうった。
多分、もうすぐ目覚めるだろう。その証拠に目蓋がピクピク動いている。
やがて、それはゆっくりと開き始めた。
「ァ、き……ラ?」
少女は俺の腕を掴み、寝言のような囁きが辺りに小さく響いた。
その時の俺は訳が分からなかった。
何故、俺の名前を
シッテル?
「おお、起きたか。予想より結構早かったな」
「……ぇ?」
まだ寝ぼけているのか、目が半開きになっていた。
目を擦り、自分以外の人間がいることに気づいたのか、パッチリと目を開けた。
「え、あ、あ、あの……?」
「いい、何も言うな。親にはちゃんと言っておいたぞ? うちの仕事に雇うから、泊まり付きで仕事をするとな。後、お前が入院したことは誰も知らん。
良かったな?」
雛罌粟の話が早口だったからか、少女は目を泳がせている。
そりゃ、そうなるよ……。
「おい、アキラ。もう遅い、お前も休め」
「は? 何だよ、いきなり?」
「や・す・め!!」
大きい声で怒鳴るもんだから、はいはい、と言ってそのまま外に出た。
一回、少女に目を向けると笑顔を向けてきた。
『あはは、アキラってばドジだな〜』
声?
誰かの……?
「おい、早く行け」
「……わーってるよ」
雛罌粟の声ではっとし、そのまま歩みを再開し廊下に出た。
中では話す声がする。あいつも苦労するだろうな、と他人事のように考えた。
「たく、休めってもなー……、ん?」
備え付けられた窓を見ると、そこには一匹の白い猫がいた。
外では雨が降っているらしく、猫の体はずぶ濡れだった。
「おいおい、大丈夫かよ……」
俺は慌てて窓を開けた。
すると猫は逃げると思ったが、簡単に俺に捕まった。
「大人しーな、お前」
猫を抱え部屋に戻り、とりあえずタオルで猫の体を拭いてやった。
嫌がると思ったが、大人しくタオルで拭かれていた。
後、腹が減ってるかもと思い、テーブルにあるクッキーをやってみた。
「おお、猫ってクッキー食うんだな」
ささいなことに驚き、クッキーを平らげた猫を冷えないように猫をベットに置いた。
一応、タオルも。
「さて、寝るか。……明日もうちょっと立派なもん、食わせてやるからな」
**
『光、起きてるんでしょ! ねぇってば!』
『うっせぇぞ、闇!』
『だって、光起きないんだもん。それに、そんな大声で私の名前叫ばなくてもいいじゃん』
『闇は騒がしいからこんなんで十分なんだ』
『意味不明ー』
『コラぁー! あんたたち!!』
『やっべ、虚無だ! おい、闇!逃げるぞ!!』
『っちょ、光!!』
『待ちなさい、光ー! 闇ー!!』
名前が、思い出せない。
あいつらは、誰だ?
ダレダ?
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