愛する妻と息子へ
元気かい? こっちはまあ、何とか無事にやっているよ。ミシェル、お腹の赤ちゃんの具合はどうかな。順調かい? 早く君の元へ帰って、僕たちの赤ちゃんを抱きしめたいよ。ケビン、サッカーは上達したかい? 僕が帰るまでには、ちゃんとレギュラーになってるんだぞ。
それじゃあ、また手紙を書くよ。
アンディ
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カリフォルニア州の小さな街に住むミシェル・J・ジョンソンは、夫からの手紙を一通り眺めると、夫の手紙専用の木製カゴに入れた。
今日は日曜日。七歳の息子ケビンは、公園でサッカーチームの練習試合があっている。
普段なら応援に出掛けるミシェルだが、今は、もうじき産まれて来るであろうお腹の中の赤ちゃんの為に安静にしている。
少し遅めのランチにしようと、ミシェルはキッチンで沸かしていたコーヒーをカップに注ぎ、戸棚からシリアルを取りだしてソファーに腰掛けた。テーブルの上には、栄養満点のシリアルとフルーツ。
いつもと変わらない日々。一見平和そうな暮らしの中でも、常にミシェルの心の内には、表しようのない不安があった。それは、夫アンディのことだ。
アンディはアメリカ軍の兵士だった。そして、今は家族の元を離れ、遠く離れた地ベトナムで戦争をしている。
ミシェルがアンディの無事を確認できる唯一の手紙は、きまって一週間に一通送られてくる。その手紙には、アンディの近況や家族のことが事細かに書き記されており、アンディがいかに家族想いなのかがよく分かった。
しばらくの間、コーヒーをすすりながら、ミシェルが庭の芝生に生える植木を眺めていると、ビー……というチャイムが鳴った。息子のケビンだろう。ミシェルはコーヒーカップをテーブルの上に置き、泥だらけのユニフォームを着ているであろう息子を出迎えるためにドアを開けた。
「あらケビン、おかえりなさい」
「ただいまママ」
ケビンはドアが開くなり、いちもくさんに子供部屋に走っていき、汚れたユニフォームを脱ぎ捨てた。ユニフォームの青と赤は、この辺でも言わずと知れたブルーウルフズのチームカラーだ。
「今日の試合はどうだったの? 相手はジャイアントキングだったんでしょ、強かったんじゃない?」
「うん。6対4で負けちゃった。でも聞いてよママ! ボクが2点も決めたんだよ!」
「それはよかったじゃない! 頑張ったわね、ケビン。ちょうどクッキーが焼けるはずだわ、てを洗ってらっしゃい」
ミシェルは、返事をして洗面所に向かうケビンに微笑みかけながら、焼きあがったクッキーの香ばしい匂いのもとへ歩いていった。
「パパから手紙が届いたわよ」
「本当?!」
ミシェルがクッキーと一緒に手紙を差しだすと、瞳を大きくさせたケビンが嬉しそうに受け取った。ケビンは手紙を見終わるなり、ミシェルにこんなことを言った。
「ねえママ、パパはいつ帰ってくるのかな?」
無垢な瞳で見つめてくるケビンを抱きしめて、ミシェルは言った。
「ケビンも、パパが兵隊さんだってことは知っているでしょ?」
「うん。遠いところに、悪いやつらをやっつけにいってるんだよね」
「そうよ」
「でもいつ帰ってくるの? あした?」
「いいえ、明日は無理ね」
「だったらいつなの?」
興味深々に訊ねてくるケビンに、ミシェルは困ったように微笑んだ。
「そうねぇ……ケビンがいい子にしていたら、クリスマスまでにはパパも帰って来るかもしれないわよ」
「本当に帰ってくるの?! ボクぜったいにいい子でいるよ!」
パパが帰って来る! と、嬉しそうにはしゃぐケビンを見つめ、ミシェルは複雑な想いで飲みかけのコーヒーを口の中に流した。
******
――ピッ……ガガッ――
『第七歩兵部隊は基地に帰還しろ』
「了解」
無線機の命令に合図を伝え、アンディはほっとため息を吐いた。
「アンディ、気を抜くなよ」
周囲を警戒したまま、アンディの同僚のニコルが言った。アンディも、銃をかまえたまま相槌を返す。
「分かっているさ。家族のもとに無事に帰り着くまでは、嫌でも抜けないさ」
帰還の合図が出ても、決して気を抜く事は許されない。ここは、そんな場所だ。敵地ベトナムの北に位置するこの場所で、毎日多くの血が流れている。最前線で戦うアンディ達第七歩兵部隊もまた、常に死と隣り合わせの危険な任務を遂行しているのだ。
ベースキャンプ地に戻ったアンディは、今日も命があることを仲間と歓び合いながら、ミシェルから届いた手紙に目を通した。危険な場所にいるのにもかかわらず、アンディの顔から自然と笑みがこぼれる。
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親愛なるアンディへ
あなたが無事で本当によかった。そうそう、赤ちゃんの名前だけど、アマンダなんてどうかしら? きっと、あなたに似てやさしい子になるわ。それから、ケビンがチームのレギュラーになったわ。うふふ、あなたの応援のおかげね。それじゃあ、またあなたからの手紙を心待ちにしてる。愛してるわ、アンディ。
ミシェル
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アンディは手紙を読み終えると、大切に保管した。愛する妻と息子の近況を知ることができる唯一の手紙。
「アマンダ……いい名前だ。きっとミシェルに似てかわいい女の子になるに違いないな」
そう呟いて嬉しそうに一人にやけるアンディに、同僚のニコルが笑いながら肩をすくめた。
「いっぱしの隊長さんも、娘の前では単なる親バカだな」
「あぁ早く会いたいよ、愛しい愛しいアマンダに。お前もいい名前だと思わないか?」
「まあな。でも、まだ産まれてもないだろうに」
ミシェルの出産予定日はまだ少し先。気が早いアンディは、それでも嬉しそうにもうじき産まれてくるであろう愛娘の話を、延々とニコルに聞かせた。
******
「ケビンいらっしゃい! ほら、雪がつもってるわ」
ミシェルは、大きな声で子供部屋で眠るケビンを呼んだ。窓の外には、真っ白な銀世界が広がっており、路上にはすでに雪だるまを作る子どもたちで賑わっている。
「ほんとだ〜!」
ミシェルの声を聞きつけたケビンは、二階の子供部屋から下りて来るなり、青い上着を羽織って元気よく外に駆けだしていった。
「ケビン! 朝ごはんは?」
「いらない! お昼までにはもどってくるよ」
食欲よりも好奇心が優先したのであろう。走り回るケビンを見送りながら、ミシェルは微笑んだ。
もうじきクリスマス。近所の家々の庭は色鮮やかで綺麗なイルミネーションで飾りつけられている。そしてミシェルの家もまた、同じように、大きな木や家の壁に飾りがつけられていた。
ミシェルが上着を羽織って庭先の赤いポストのもとにいくと、中に新しい手紙が入っていた。アンディからの手紙だ。しかしどうしたのだろうか。アンディからの手紙は、三日前に届いたばかりだった。
ミシェルは心配になって急いでリビングに戻ると、ソファーに腰掛け封を開けた。
「あぁ、なんてこと……アンディ」
予期せぬ内容に、ミシェルは愕然と目を覆った。身体を温めるためにと沸かしていたコーヒーが、静まり返った室内に、ゴポゴポとやけに大きく音をたてた。
******
ミシェルのもとに手紙が届く数日前、アンディは上官から衝撃的な作戦内容を聞かされていた。
「サーチ,アンド,デストロイ!? そんな……!」
アンディは上から下された作戦に、抗議の意を示した。
この作戦は、村や森に紛れた北ベトナム兵を探しだし殲滅するという、いわば農村部の無差別攻撃だ。
「上からの命令だ。逆らう事は決して許されん」
上官はそれだけ伝えると、さっさとどこかへ行ってしまった。アンディは行き場のない感情に壁を殴ると、くそっ! と呟き、目を伏せた。
すぐさまテントに戻ると、作戦内容を隊員に伝え、そしてペンを握った。
「とうとうこの作戦が実行されちまうんだな」
二コルも、今度ばかりはと首を横に振った。
「奥さん宛か? 何を書く気だ? まさか、お別れの言葉じゃないだろうな」
「そうかもな。最も危険性の高い作戦だから……今まで包み隠してきたことを全部話す」
「……そうか」
やれやれ、とニコルは気を利かせてか離れていった。
ランプの、ぼんやりとした微かな明かりの中、アンディは紙にペンを奔らせた。
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愛する妻と息子、そしてもうすぐ産まれて来る愛娘へ
きっとこれが、僕からの最後の手紙になるだろう。すまない、ミシェル。実は君にずっと隠していたことがあるんだ。心してきいてくれ。君には後方援護だと嘘をついていたけど、僕は今、敵地の最前線で戦っているんだ。そして命令が下された。僕はそれに従うしかない。今だから包み隠さずに言う、その作戦で生き残れる可能性は極めて低い。君達を残して逝ってしまうかもしれない僕を許してくれ……
ミシェル、もう一度君のやさしい笑顔に触れたかったよ。ケビン、お前は男の子だ。いざとなったらママと妹をお前が支えてあげてくれ。最後にアマンダ……一目、お前の姿が見たかった。もし僕が無事に帰ることができたら、その時はおもいっきり抱きしめるよ。
どうか、僕の無事を祈っていてくれ。
アンディ
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アンディは書き終えた手紙に封をし、胸ポケットに入れてある家族の写真を眺めた。
グリーンの芝生の上で、楽しそうに微笑むミシェルとケビン。アンディはそっとキスを落とすと、手紙を握りしめてテントを後にした。
作戦は増援を待ち、明日の夜明けと共に速やかに開始される。それまで、アンディは祈るように夜空に煌く星を見つめていた。
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ミシェルは無造作に手紙をテーブルの上に散らしたまま、悲しみに泣きじゃくっていた。ミシェルの悲痛な叫びともつかぬ泣き声は、遊びから帰って来たケビンの耳にも届いた。ケビンは開けかけたドアノブを掴んだまま、不安そうにその場で固まった。
「……ママ?」
ケビンは恐る恐るミシェルの元に歩み寄ると、ミシェルの頬に自分の頬をすり寄せた。
「どうしたの?」
やさしく尋ねてくるケビンを、ミシェルはきつく抱きしめて言った。
「一緒にパパの無事を祈りましょう……ケビン」
「うん」
パパの無事ならいつも祈っているのに。と、アンディは不思議そうにミシェルを見つめた。
そしてふと、テーブルに置かれた手紙に視線を送る。ケビンはそっと手を伸ばし、手紙を見た。
難しい内容は分からないが、ケビンにも、アンディとはもう二度と会えなくなるかもしれないという事は理解できた。
「ママ!」
衝撃的な真実を知ったケビンは、ミシェルの胸の中で、大声を張り上げて泣いた。クリスマスになったら帰って来ると信じていただけに、ケビンは泣き叫び続けた。
やがて夜になったが、ケビンは泣き疲れてソファーにうずくまったまま寝息をたてていた。僅かばかり、瞼が赤く腫れている。
ミシェルは怖くてテレビをつける事さえ出来ずに、祈る気持ちで窓の外に見える星を眺めていた。まだアンディはちゃんと生きているだろうか……。考えれば考えるほど、悪い予感が頭をよぎった。
「お願いだから死なないで」
ミシェルの頬を一筋の涙が流れた。軍人の妻になった時に、覚悟は決めていたはずだった。いつかはこんな日が来るかもしれないと。それでも、いざ直面するとどうしても恐ろしくてたまらない。アンディを失う事が、こんなにも恐いなんて……
ミシェルは祈り続けた。夜明けを告げる朝焼けが空全体を包んでも、ミシェルが祈りをやめることはなかった。
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アンディ達アメリカ軍の作戦進行は既に始まっっていた。
アンディの第七歩兵部隊は、森の中を迂回する進路での侵攻を開始しており、数日間ひたすら身を隠しながら敵地を進んできた。
もはや気を抜く事など出来ない。張り詰めた緊張に流れでる汗の量は尋常ではなくなった。
と、その時。アンディの頭上の空を一機のアメリカ軍ヘリコプターが飛んでいった。そして、すぐさま激しい銃器音がしたかと思えば、ヘリコプターの攻撃が開始された。
「ベトナム兵が近くにいるぞ……気を抜くな」
「あぁ」
アンディは息を殺して素早く、そして慎重に前方を見据えた。少しでも音がしたならば、その方向に銃を向けた。
「……」
自分の心臓の鼓動が、ドクドクと速く小刻みに脈打つのが分かる。ひんやりとした汗が、背中を伝うのが分かる。やるかやられるか……。今、その耳に聞こえるのは自分の僅かな息使いだけ。
アンディの緊迫が限界に達したその時――
「ぐわぁっ」
「――!!」
突如聞こえた凄まじい銃器音、後方にいた隊員の叫び声、飛び散った赤い血液。
「敵襲だ! 撃てぇええええええ!!」
ガガガガガガガガ――! ガガ――! ガガガガガガガガ――……
激しい撃ち合いの中で薄れゆく意識の中、アンディは身体に刺すような痛みと熱を感じた。どこが痛いのかはもう分からない。徐々に……全てが……まっ……しろに……
……ディ……アンディ……!
「…………」
気が付くと、アンディは温かくやさしい光の世界に浮かんでいた。
今、微かに誰かが自分の名前を呼んだ気がする。この声は……
「……ミシェル?」
アンディがそうささやくと、光の空間にぼんやりとした人影がまるで幻影のように浮かんできた。人影はだんだんと近づいてきて、やがてうっすらとした微笑をたたえてアンディと重なるように消えていった。
フウッという眠気をさそう心地よい温風にいざなわれ、アンディは深い眠りへと落ちていった。
******
クリスマスの朝。ミシェルはいつもよりも少し早く目が覚めた。時計はAM6:30を告げており、何か胸騒ぎがする。どうにも嫌な事が起こりそうでならない。
そわそわしながらミシェルが窓のカーテンの隙間から庭をのぞくと、一台の黒い軍用車が止まっていた。
その時、来客を告げるチャイムが家中に鳴り、ミシェルの心臓の鼓動がドクン…ドクン…と大きく跳ねた。
ミシェルは慎重にドアノブに手を掛け、そしてゆっくりとドアを開いた。
「ミシェル・J・ジョンソンさんですね。私はアメリカ軍第七歩兵隊の二コル・アリソンです」
二コルと名乗った正装した男性は、神妙な面持ちで視線を落とすと、こう告げた……
「……残念です。貴女の夫は本当にすばらしい人でした。最後も、仲間を守って立派に戦いました」
それはアンディの死を意味する言葉……。アンディは、逝ってしまった……。
ミシェルは玄関に崩れ落ち泣いた。とめどなく流れる涙が、ポタポタと床を濡らした。
受け入れたくない。受け入れられない。こんな現実……
ミシェルの意識は、車の追悼のクラクションと共に遠ざかっていった――……
「――っ! …はっ…はあっ…はあっ…………夢…」
まだ薄暗い室内の中、ベットから身体中に尋常ではない量の汗をかいたミシェルが起き上がった。ベッタリと頬にはりついた髪の毛をはがしながら、荒い呼吸を繰り返す。
「…はあっ……はっ……なんて夢を…」
いまだに震える手で時計を掴むと、時計の針はAM5:00を指している。
今の悪夢で完全に意識は覚醒し、もう一度眠ることなどできない。なにより、再びあのような夢をみるかもしれないと思うと恐ろしくて眠れない。
昨日の大雪のせいで冷えきった室内。ミシェルは冷たくなってきた体を温めようと、キッチンでコーヒーを淹れることにした。
コーヒーが沸く間中、心細さを紛らわすために、最近は極力避けてきたテレビのスイッチを入れた。
この時間なら、なにか早朝放送があっているはずだ。
ミシェルがカチカチとリモコンのチャンネルを切り替えると、案の定早朝のアニメ放送があっていた。
「……トムとジェリーだわ」
かわいいネズミと悪さをたくらむネコのこの番組なら、少しなりともこの嫌な気分は紛れそうだ。
ついでに、ミシェルは沸いたコーヒーを両手で包み込むようにして持ち、背中に黄色い毛布をかぶって丸まった。
どのくらいこうしていただろうか……。ミシェルがふと窓の外に視線を向けると、わずかに朝焼けが差し込んできた。
――と、その時。
チャイムが鳴った。
ミシェルの心臓が、ドクン、と大きく脈打った。
もしかして…………。そう、胸騒ぎが再び押し寄せてきた。今度ばかりは……どうしていいかわからない。
「……どちら様…?」
ミシェルは意を決し、慎重にゆっくりと玄関のドアを開いた。
すると――
「ミシェル・J・ジョンソンさん宛てに小包が届いてます。サイン、いいですか」
ドアの外に立っていたのは、二コルでもなくアンディでもなく、宅配の男性だった。
ミシェルはほっと胸を撫で下ろすと、慣れた手つきで紙にサインを書いた。
「本当は昨日の昼頃につく予定だったんですけどね。大雪で交通が混雑してしまいまして」
宅配の男性は一言お詫びを口にして、次の配達へと忙しそうにいってしまった。
ミシェルは、ふと小包の差出人名を確認した。そして、その瞬間ミシェルの顔に安堵の笑みがこぼれる。
差出人は――――アンディ・L・ジョンソン
いてもたってもいられずに、ミシェルはその場に小包を下ろし、包装を丁寧に剥がしていった。すると、中には女の赤ちゃん用の毛糸製のニット帽と、男の子用のくつした。そして一通の手紙が入っていた。
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メリークリスマス!
僕達にとって、今年は最高のクリスマスになるよ。
もうじき、君のもとへ帰る。
アンディ
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ミシェルは目を疑った。そして、何度も何度も手紙の内容を読み返す。読み返すうちに、自然と胸いっぱいの涙があふれてきた。こんなにも嬉しい知らせに、心から喜びが込み上げてくる。
涙の粒が手紙の文字をぬらした。それと同時に、雪を踏む足音が耳に届く。顔をあげれば……ほら。
「ただいま、ミシェル」
おかえりなさい……アンディ。
――それは――
クリスマスの朝。ミシェルに届いた家族という名の最高のプレゼント。
END |