名探偵 桜庭拓儚 〜無名の手紙〜縦書き表示RDF


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名探偵 桜庭拓儚 〜無名の手紙〜
作:海風 波音


トントン、トントン……。トントン、トントン……。
誰かがドアをノックする音で目が覚めた。
まだ、寝起きでダルイ体を起こし、玄関の方へと向かう。
覗き穴から見てみると、人の姿はない。
誰かのいたずらか? と思い、寝室の方へと戻っていこうとすると、トントン……。とまたドアをノックする音がした。
今度こそ!と思い
「誰だ〜!」と怒鳴りながら、バンッ!と乱暴にドアを開けた。
でも、誰もいない……。
周りを見渡しても、隣の家の犬がいるだけで人の姿はない。
犬か? と思ったりしたが、鎖に繋がれていたので人の姿はない。
風か? と思ったりもしたが、その日は雲一つない快晴で風もまったく吹いてなく、蒸し暑い日だった。
……そしたら、誰だろう?
僕は、ものすごく不思議だった。
周りには人の姿もなく風もなく、鎖に繋がれている犬だけ……。
謎は深まるばかりだ。
考えても考えても犯人はわからず、僕の頭は掻き回される―――
どうしようもなくなった僕は、ひとまず家の中へと入ることにした。
ドアを開けようとすると、さっきまではなかった郵便受けに一通の手紙が入っていた。
何だろう? と思い、差出人を見てみると書いていない……。
宛名を見ると、ちゃんと“桜庭 拓儚殿”と丁寧な字で書かれてある。
でも、よく見ると宛先が書かれていないし、切手も貼られていないしで、おかしいことばかりだ。
きっと誰かが、直接僕の家の郵便受けには何も入って入れたのだろう。
けど、このことには一つ疑問がある。
僕が家から出た時には、郵便受けには何も入っていなかったのだ。
そして、僕はずっと家の前でウロウロしていた―――
つまり、誰かが僕の家の郵便受けに手紙を入れに来たのだと言うなら、必ずわかるはずだ。
でも、郵便受けに入れに来た人はおらず、手紙だけが突如に現れていた。
だから、凄く不思議だし凄く驚きもする。
この現象は、トリックなのか…それとも自然現象なのか……。
謎は秘められたままだったが、まずは手紙を読もうと思い、家の中へ入った。
そして、ベッドの上にゴロンと横になり、糊つけされているところからゆっくりと開けた。
真っ黒な便箋に白い字で書かれている。
挑戦状みたいで怖い……。
だが、違うとわかっていたのであまり恐怖心はなかった。
だって、挑戦状を送る人が自分の名前を書くのを忘れるだろうか。
忘れないだろう。だからだ。
そして、恐る恐る文を読むとこう書かれていた―――
桜庭 拓儚殿
近所で貴方の噂を聞きました。
どんな謎も解ける、名探偵だそうですね。
そこで今日からの一週間で、私を誰だか当ててください。
ヒントなどは、随時お送り致します。
一つ目のヒントは、貴方のみじかな人です。
と言う手紙だった。
一体、何がしたいのかわからない……。
僕を試そうとしているのか? そう思い、初めてきた。
名誉を汚さないためにも、頑張るぞ!と気合いを入れる。
でも、まだヒントが少なすぎてまったくわからない。
なので、まず郵便受けへ行き、何か証拠が残っていないかを検索することにした。
周りの隅々、探しても一向に何も見つからなかった。
諦めかけて、今日はやめようとすると封筒の中から一本の髪の毛が顔を出していた。
きっと犯人が、誤って入れてしまったのだろう。
そして、その髪の毛を手のひらに乗せると、少し薄茶色で細い髪の毛だった。
髪の長さから言って、女性だろう。
これで、性別はわかった。
しかも、僕はあまり女友達が多くなかったので、探すのは容易だ。
そこで、考えてみることにした。
薄茶色で髪の長い女性……。
五人の女性が頭に浮かんだ。
一人目は、山村 恵里。僕と同じ大学に通う二十歳だ。
彼女とは、授業の時たまたま隣になって友達になった。
二人目は、佐々木 綺里。僕のアパートの二階に住んでいる二十六歳の看護士さん。
同じアパートと言うこともあり、親しくしてもらっている。
三人目は、桜庭 千鶴。僕の妹だ。
僕と同じアパートに住んでいて、高校一年生だ。
四人目は、春野 心。大学の理科の教師。
先生には、よく相談にのってもらっている。
五人目は、新藤 沙羅。小さい頃からの幼なじみ。
僕の家までは、一時間近くかかる。
この五人のうちの、誰かが手紙を出したのだろう。
でも、一体誰なのか……。
あれこれ考えているうちに、夜中の一時になってしまった。
今日は、このぐらいにしておいて、明日に備え寝ることにした。
妹の千鶴が一時だと言うのに、帰宅していないのが心配だったが、きっと友達の家に泊まってくるのだろうと思い、部屋の明かりを消して就寝についた。

手紙が届いてから二日目―――
僕は、早朝に届いていた手紙を読み、頭を悩ませていた。
つい、一時間前の六時。僕は玄関で物音が聞こえて目が覚めた。
手紙か!と思い、体を起こし玄関へと向かうとそこには千鶴が立っていた。
「何だよ……。千鶴かよ」と愚痴をこぼすと、千鶴がムッとなり
「何だよって、何よ!それよりはい。兄ちゃん宛てに手紙届いてたよ」と白い封筒を手渡してきた。
僕は、ハッとなり
「ありがと」と言って、千鶴の手から白い封筒を奪う。
そして、自分の部屋へかけこみ、封筒を開いた。
目を追うように見ると、そこにはこう文章が書かれていた。
まだ私のことがわかっていないようですね。
やっぱり名探偵の桜庭くんでも無理かな?
わかり次第、メールください。
今日のヒントは、私は女です。
と言う内容だった。
“今日のヒントは、私は女です”
すでにわかっていること……。
でも、僕は五人の中から三人に絞りだすことが出来た。
それは、手紙内に書かれていた“名探偵の桜庭くん”と言う文章だった。
何故だかわかるだろうか。
そう、僕のことを桜庭くんと呼ぶのは山村・綺里さん・春野先生の三人だからだ。
もし、千鶴なら兄ちゃんだし沙羅だったら拓儚―――
ちょっとづつ、謎が解けてきた。
明々後日……いや明後日には、完璧にわかるだろう。
そしたら、約束の期限一週間に間に合う。
この日僕は絶対に勝つことを心に決めた。

手紙が届いてから三日目―――
この日は、大学に行かなきゃダメだったので大学へと行った。
そこで、僕はまた新たに犯人を絞りだすことが出来た。
これは、休み時間―――
男友達の川崎 智也と話していた時だった。
あることで、山村 恵里の話になった。
智也が言うには、山村は一週間前親の都合でこの大学を辞め、海外へ行ったそうだ。
だから、今回のことは山村はありえないとみた。
だって、海外からどうやって切手も貼られていない手紙を届けることが出来るだろうか。
100パーセントに近い確率で無理だ。
これで、残りは綺里さん・春野先生との二人だけになった。
そして、今日は家に帰っても一日中手紙が来ることはなかった。

手紙が届いてから四日目―――
刻々と時間は、過ぎていく……。
残り期間は、三日しかない。
そこで、今まで来た手紙をもう一度よく見直してみることにした。
今まで来た二通の手紙。
よく見ると封筒には、どちらも小さな穴が開いている。
でも、今は関係ないのでほおっておくことにした。
そして、よく文章を読むと“まだ私のことがわかっていないようですね”と言う文章。
どうして僕が、まだわかっていないで悩んでいることがわかるのだろうか……。
あっ…わかったぞ。たぶん、あの人だ!
そう思い、その人の家へと向かいチャイムを鳴らす。
すると
「は〜い」と目を擦り、やはり眠たそうにしながら出てきた。
「桜庭です。手紙の犯人、わかりましたよ……。少々、難しかったですが解くことが出来ました」と自慢気に言った。
やはり僕の推理はあっていたらしい。
顔が吊り上がっている。
そして
「何の話か知らないけど、どうぞ」と言い、家へ上がらせてもらった。
僕は話を続けた。
「まず、一日目。手紙が来た時です。僕は、ずっと外にいたのに勝手に手紙が現れた……。そこが凄く不思議でした」と少し間をとりながら、ゆっくり語りかけるように話す。
すると
「大変でしたね」と犯人は何の素振りもなく言う。
「そして、二日目。新しい手紙が届いた。でも、犯人はこの手紙でたくさんの過ちをしてしまったんです」と続ける。
犯人は、少しビクッと体を震わせ
「そうなんですか。マヌケな犯人さんだこと」と自分のことを罵っている。
でも、今はそんなことはどうでもいい。
次々と話を続けた。
「まず、名探偵桜庭くんと言う文章です。僕が挙げていた人物の中に、桜庭くんと呼ぶ人は三人しかいなかったんです。そして、三人の内一人は海外にいて違う。切手の貼っていない手紙なんて、届きませんからね」とどんどん犯人を恐怖のどん底に落としていった。
それが効いたのか、犯人はビクビク怯えている。
構わず話は続ける。
「そして、最後の二人って時に悩みました。どちらかってことをね……。でも、簡単なことだったんですよ。まだ私のことがわかっていないんですねと言う文章でね。だって、身近にいる人じゃないとわからないことなんですから!」と声を張り上げて言う。
すると、犯人は
「ヒーッ」と奇声を発した。
でも、僕は続けた。
「三日目に手紙が来なかったのは、貴方が夜勤で家にいなかったからでしょう? だから、今は目を擦って眠たそうにしている。しかも、その日は物音一つしませんでしたからね」と、もう言うことなしの言葉を吐き捨てた。
けど、犯人は今だに認めず
「そしたら、急に手紙が現れたって言うのはどう説明するのよ!」と少し涙ぐんでいる。
もちろん、そのことも推理してあったので、丁寧に説明した。
「それはですね。糸ですよ。封筒に小さな穴を開けて、針と糸を使って吊し、僕の郵便受けに入れればいいだけですからね。それが出来るのは、ただ一人。……二階に住んでいる佐々木 綺里さん、貴方しかいないんですよ」と決めゼリフを言った。
すると、さすがの綺里さんもこれには反抗出来ずに
「参りました」と膝まづいて言った。
僕の勝ちだ!
今回も謎を解くことが出来た。
後から、綺里さんにどうしてこんなことをやったのかと聞いたら、笑ってごまかされた。
真実はわからなかったが、僕は僕なりに楽しめたからよしとしよう!
また、新たな難問題が僕を待っている。
これからも、たくさんの謎を解き、将来的には名探偵になりたいと思っている。
これから、待っている謎のために僕はひたすら解いていき続けるだろう―――


今回は、間に合わず少し遅れてしまいました(>_<)













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