11.心霊青年VS極悪教師
柔道の試合を見てるようだと思った。
「よせって。俺はこれから出社なんだ。時間ないんだよっ」
「いーから蓮、ちょっとそこの噴水のヘリにでも座ってろよ。そのお嬢さんと話してみっから」
ジリジリと一条が近づくと、高遠も同じ距離だけ横にまわり込むように、下がっていく。
「ちょっとですむのかよっ。このあいだ一晩中、俺の背中と喋り続けたイカレ野郎はどこのどいつだ」
「こないだのは、ばーさんだったから仕方ねーじゃん。耳遠いし話もスローでボケ気味だったしぃ。こんどは大丈夫だって。なんかすげー怖そうだけど、話せばイイ人かもよ」
「だからそれはおまえの頭の問題だろっ。ひとりでやってろ!」
「そーんなに怒るなよ。オレの繊細なハートがドキドキするよぅ? ほら後ろの人もちょっと興奮してきたよー。――あーもう、だから長引くんだって、いっつも言ってるでしょ。レン君っ」
腰に手をあて、一条が頬をふくらませる。
「――こっ、殺してぇ」
マジぎれ寸前の高遠が、こぶしをにぎる。
「そんな悪い言葉使っちゃダメでしょっ」
一気に一条が前にでた。
突進。
ひらりと高遠がかわし、ハデ男がたたらをふむ。ネックレスが金属音をならした。
「逃げるな蓮っ。おまえが殺されんだぞっ」
「うるさいっヘンタイっ。男に飛びかかって、なにが楽しいっ」
たしかに一条は満面の笑顔だった。
「だって。――いっつもクールな蓮がそんな顔するから……つい」
ビュッ。
と風を切る音がした。
続いてバシっと鈍い音。
高遠の蹴りを一条が右腕ではらった音だった。
(柔道じゃなくて、空手?)
続いて高遠の、素早い右手左手の連続突き。一条はうまくそれを受けながす。
「……すごっ」
ヤナギがぽかんと見とれている。
「ちょっ、ちょっと蓮ってば、マジになりすぎっ。――うわっ」
高遠の猛攻に、一歩さがった一条がよろめく。
とどめの一撃かと思ったら、脱兎のごとく高遠が逃げ出した。
――いや、逃げ出そうとした。
「どけっ!」
「わあっっ」
見とれるヤナギと正面衝突。
ヤナギも避けようとはしたみたいだけど、高遠が避けた方向も同じだったのだ。
二人はもつれあって転がった。
ほんとうに、ヤナギって……。
「――退屈しないよね」
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