クリスマスの奇跡
「私の大好きな歌手で、マライヤキャリーという外国の女の人の曲です。
【恋人たちのクリスマス】」
ユカリが言い終るとピアノの伴奏が始まりました。
I don’t want a lot Christmas
There is just one thing I need
・ ・・・・・・・・・・・・
・ ・・・・・・・・・・・・
クリスマスに欲しいものはないわ
・ ・・・・・・・・・・・・・
・ ・・・・・・・・・・・・・
あなたに振り向いてほしい。
ユカリたちには、よく意味はわかりません。
お爺ちゃん、お婆ちゃんにもよく分かりません。
でも、ユカリの澄んだ声とヨーコたちのきれいなコーラスは、体育館の中をやさしい空気に包みました。
歌い終わると、しずかに拍手がおこりました。
拍手はだんだん大きくなりお客さんたちは立ち上がりはじめました。
みんなが立ち上がり拍手をしまいた。
大きな大きな拍手の音は、いつまでも続きました。
「みなさん。ありがとうございます。」ユカリは大きな声でいいました。
体育館はまた、しずかにユカリの次のことばを待ちました。
「ユカリちゃん。みんなで歌おうよ。ほら、ほかの合唱部の友達も来てくれたよ。」ユカリの肩にのった<ひよたま>がいいました。
ユカリが体育館を見ると、塾が終わって急いで見に来てくれた5人の合唱部の友達の顔がありました。
みんなうれしそうにユカリたちに拍手をしてくれています。
「みなさん。もう一曲歌ってもいいですか?」ユカリはお客さんに聞きました。
大きな拍手と
「アンコール」
という声が体育館にひびきました。
ユカリは、ヨーコに小さな声で言いました。
「他のみんなも来てくれたから、あれを歌おう。」
ヨーコは体育館のうしろにいる、今日歌えなかった5人の顔を見ながら言いました。
「私たち合唱部のみんなが大好きな曲をうたいます。聞いてください」ヨーコは、そこまでいうと舞台から下りて五人のところに走って行きました。
舞台にいるヨリエもノリコもアヤノもユカリも走って行きました。
そして5人の手を引っ張って舞台に戻ってきてヨーコは言いました。
「曲は【つばさを下さい】です。」
いつも練習のはじめにみんなで歌っていた曲です。
いま
わたしの
ねがいごとが
・・・・・・
つばさがほしい
・・・・
舞台にいた男の子たちも
体育館にいたみんなも
カズヨも
カズヨの肩に飛んできた〈ひよたま〉も
みんなで歌いました。
クリスマス会が終わりあと片付けをしていると、ヨリエが大きな声でいいました。
「みて、雪が降ってきたわ。ホワイトクリスマスよ。」
みんなは体育館のそとに走っていきました。
「ほんとだ、クリスマスの奇跡だね。」ユウジがユカリの隣にきて言いました。
ユカリは、小さな声で歌いました。
I don’t want a lot Christmas
There is just one thing I need
ユウジもユカリの顔をみながら歌いはじめました。
I don’t want a lot Christmas
There is just one thing I need
・・・・・あなたに振り向いてほしい。・・・・・・
ユカリとウウジを見ていると、
カズヨは歌の意味もよく分からなかったけど、
なんだか照れくさくなりました。
カズヨの肩にいた<ひよたま>が言いました。
「みんなが来てくれてよかったね。」
「そうだね。こんなに来てくれるうれしいよ。」カズヨは言いました。
「カズちゃんの頑張りが奇跡をおこしたね。」<ひよたま>がいいました。
「キセキ???」カズヨが不思議そうに聞き返しました。
「そうだよ。やさしいこころの人への神様からのプレゼント」<ひよたま>はいいました。
「今日はクリスマスだからね。」カズヨは笑いながらいいました。
「僕はそろそろお別れだよ。」<ひよたま>はいいました。
「どこに行っちゃうの?」カズヨはびっくりして聞きました。
「僕は、遠くに住むカズちゃんとユカリちゃんのおじいちゃんの庭にくるヒヨドリにたのまれて来たの。」
「おじいちゃんが、毎日えさをあげてるヒヨドリ?」
「そうだよ。おじいちゃんが二人のことを心配してるから見てきて欲しいってヒヨドリたのまれたんだよ。」<ひよたま>はいいました。
「そうだったんだ。」カズヨはおじいちゃんの顔を思い出してうれしくなりました。
「僕は、やさしい人の気持ちを運ぶのが仕事なんだよ。」<ひよたま>は言いました。
「さびしいけど、<ひよたま>を待ってる人はたくさんいるんだね。」カズヨは泣きべそをかきながら言いました。
「さよなら。」<ひよたま>はそう言うとカズヨの肩から空に向かって飛んでいきました。
その羽は、大きくなり天使の羽のようになりました。
飛んでいく<ひよたま>を見ながら
カズヨは、電話でおじいちゃんに今日の話をしようと思いました。
そして来年はおじいちゃんも呼ぼうと思いました。
おしまい
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