表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

側室物語

作者: 忍龍

あるところに国があった


その国は、ある時を境に、周囲の国々を知略で瞬く間に吸収し、帝国となった

軍力も並々ならぬものを持つようになり、その圧力で戦わずして他国を平伏させ


その誇張でない事実に、世界中の人々は、その帝国の王を無血の侵略王と呼んだ



だが、その強大な帝国には、まだ次代を担う皇子が誕生していなかった…





「フェムヴェルド公、公のお嬢さんはたしかそろそろ17になるのではなかったかな」


「いやいやいや、私の娘は見かけばかりでまだまだ幼いものですよ、はっはっは!」


「そういうアヴルラナダ公のお嬢さんは21ではなかったかな?」


「うちはその、侍女と一緒になって護身術だなんだと武術にのめり込んでおりましてな!

 そのようなじゃじゃ馬娘、陛下にはとてもとても、げふんげふん!!」


「ディアグナムル公の娘さんはどうかね!」


「なにをおっしゃる、

 うちの娘は少々おっとりしすぎて切れ者の陛下は逆に苛々されてしまいますよ」


「「「あっはははははははは!!!」」」


「あははじゃないです!!」


「「「は、申し訳ありません!」」」



三公は素晴らしいほどに息を揃えて、自分の娘ほども年の差がある女性に頭を下げた

もう一人、四大公の一人としてサグハウィル公がいるが

彼は、息子しかおらず、先日とばっちりを避けて早々に息子に家督もろとも職務まで譲ってしまったのでここにはいない

その息子にも、娘はいるが まだ三歳、可愛い盛りである



「とにかくっ

 こんなこと続けていたら、わたし死んじゃいます!

 早く側室なり愛妾なり召し上げていただかないと、今すぐ、早急に!!」


「いやははは、なんのなんの、御正妃さまは三年も耐えておられるではないですか」


「大丈夫大丈夫」


「やればできます」


「無責任なこと言わないで下さい!!」



きぃ!と怒る彼女に、彼らはまたも はい!、と返事だけは立派に返す



「いやしかし、正直な話、まだ皇子が生まれなくても問題ないのではないですかな」


「そうですとも、御二方ともまだまだお若いのですし」


「左様、何の問題もないかと」


「問題は若いとか若くないとかじゃなくて過酷な負荷の軽減化です!!」


「は、はぁ、しかし

 そう言われましても、いままでも これはと思う女性を何人か招きましたが

 どれもこれも功を奏さないといいましょうか…」


「華麗に無視されておる次第でして」


「そんなことは分かっています!

 見た瞬間に心を奪われるとか、そういった魔導具や薬はないのですか?!」


「いやそれは…いわゆる、呪いというヤツでは?」


「それも承知の上です!

 このさいなんでもいいのです!!」


「何でもいいと仰いますが、流石に一国の王が色狂いというのも困ります」


「今だって似たようなものじゃないですか!

 ほんとにこのままじゃベッドの上でわたしの生涯が幕を閉じてしまいます!!」


「酷い言い草だねぇ、ちゃんと治癒と回復の術を掛けながら睦んでいるだろう?」


「身体は無事でも精神的疲れで身体までだるくなってしまうんです!!!」


「「「あ」」」


「え?」



三公は、びしっと一列に並び、臣下の礼をとった

彼らの目には、正妃の後ろの皇帝しか映っていない



「皇子はそうだね…あと三ヶ月ほど待ってもらおうか」


「は?」


「それは一体」


「どのような…?」


「妃は既に孕んでいる、魔術で空間的に保護しているんだ

 何せ、彼女曰くわたしは色狂いらしいから、あまり激しいと流れてしまうだろうからねぇ」


「なんと!」


「既に懐妊されておいででしたか!!」


「それはめでたい!!!」


「いや、めでたいっていうか…

 なんですかそれぇぇぇえええええええ!!!」


「鈍いね」


「鈍いですな」


「鈍ぅございますな」


「鈍すぎですな」



身体に外見的変化もないのに気付けるわけがないとか、そういったことではなく

単に、事態発覚から正妃の反応までの時間を指して彼らは言った



「何言ってるんですかわたしまだ13歳なのにぃぃぃいいいいい!!」


「12歳のわたしとは釣り合っていると思うよ」


「どうりでとっくに来ていい年頃なのに月のものが訪れないと思ったら!!」



きぃぃ!!と頭をがりがりと掻き毟る正妃を見て

三公は、彼女には一生月のものなどこないのだろうな、と確信した


次代の皇族が多いというのは後の騒乱の元にもなろうが

そこは主の采配でどうとでもなるだろう


子供のためにももっと仲良くならないとね、と引き摺られて行く正妃の後姿には切ないものがこみ上げるが

これも平和と繁栄の代価と思えば破格だと彼らは思う



「しかし、あれからまだ七年しか経っておらんのだなぁ…」


「あっという間でしたなぁ…」


「歳をとると時間の流れが速く感じるとは言うが」


「超特急ですな」


「超特急じゃな」


「知覚出来る速度を振り切っておるな」



三公は、彼女を得られるなら王になってもいいが、そうでないならこの国を滅ぼしてやる、と言った当時五歳の主を思い出した



「やはり、あの御方に教育を任せたのが良くなかったのかのう」


「しかし、王は今や立派な統治者ですぞ」


「欠点といえば偏執的な愛情表現だけですしな」


「人間やはり一つ二つの欠点があってこそとも言いますしな」


「「「あはははは!」」」



三公は、せめて正妃の為に滋養に良い食べ物を取り寄せよう

そう心に誓ったのであった




まぁ、最終的に言いたいことは、こうだ




「「「ウチの娘が目を付けられなくて本当に良かった!」」」

とっくに公開したと思ってたのに、これ書いたの去年…うぅぅぅぅ


因みにあの御方とは、おっきくたってちっちゃくたってのあの御方と同一人物

彼は色んなところで教育を施しています

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] そのくらいで子供産む人もいますけど、まだ体ができあがっていないイメージがあるから手を出した相手がすごく鬼畜に思うんですが、相手も若いんですよね、夫婦だからありってことになる…んですかね? こ…
2011/05/15 15:34 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ