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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

スキンシップは嫌いじゃない

作者: とーな

 冬も過ぎ、春の暖かな風が吹き始めた頃。

 今日、中学の時に親の都合で引っ越した幼なじみが、帰ってきます。

 中学生の時からメールでやりとりをしていたのですが、どうやら向こうの中学にはあまり馴染めなかったようで、彼女1人だけこちらに帰ってきて、高校に進学するそうです。

 名前は、ゆうこ。

 私よりも背は高く、165cmくらいとゆうこは言ってました。

 写真で見たところ、黒髪を肩まで伸ばしており、目はパッチリと大きく、肌は、私と違い外でよく遊んでるので、健康的な肌色だったと思います。

 性格も明るく、元気で、いろんな人と仲良くなれる、と思っていたので、馴染めなかったというのがあまりにも不思議です。

 5分程たった頃、「今ついた」とメールがきたので、改札の方を見ていると、

「りーん!」

「ひゃあ!」

 後ろから急に抱きしめられた。

 その人はあははと笑いながら私の前に来る。

 写真で見た、ゆうこ本人だった。でも、何か違う。

 いつもと変わらない明るい笑顔、肩までの髪、パッチリとした目。

 ああ、胸か。写真でみたのより少し大きくなってる。昔は、小さかったのに。

 それよりも、

「後ろから抱きつかないでよ!びっくりするでしょ」

「いやぁ、あまりにも無防備だったのでつい」

「つい、じゃないでしょ」

 駅の改札前なので、当然人はたくさんいる。

 そんな中でこんなやりとりをしていると恥ずかしくなってくる。

「行くよ」

 私は、ゆうこの腕を少し強引に引っ張って歩く。

 そうだ、思い出した。いや、覚えてたけど、もうしないものだと思ってた。

 彼女のスキンシップ(セクハラ)。

 昔からよく、私含め周りの女の子に抱きついたり、服の中に手を入れたり。そんなことばかりしてた。

 そりゃあ馴染めないでしょうよ。

 私だって最初は物凄く驚いたもん。でも、それから話をして、仲良くなれたから許してるけど。

 それに、嫌ではないし。

 駅から出た後、話ながら家まで向かう。

 勉強のこととか、趣味のこととか、メールで話してたことを繰り返して、確認するように話を続けた。

 そして、気付くと家に着いていた。

 でも、話は止まらない。玄関から上がって、私の部屋に荷物を置き、リビングでジュースとお菓子を食べながら話を続ける。

 そんな中、こんな話になった。

「そういえば、まだセクハラは続けてるの?」

「セクハラって言うな。スキンシップだ」

「はいはい、スキンシップね。で、どうなの」

「あんまり、怒られちゃったし」

「怒られた?」

「うん。いつも通りやったらね、それは好きな人と嫌いな人がいるのよ。って」

 正論である。

「そりゃそうだよ。でも、気付いてくれて良かった。私なかなか言えなかったし」

「え・・・」

「もう慣れちゃってたからさ」

 周りの女の子たちも、ゆうこはそういうのが好きって知ってたから、誰も止めなかったし、たのしんでたとこもあると思う。

「そっか。そうだよね」

 少し、ゆうこの顔が寂しそうになった気がする。

 中学の時のこと思い出させちゃったかな。

「ごめん、嫌なこと思い出させるつもりじゃなかったんだ。ごめんね」

「ううん。私のせいだし。気にしないで」

 それからも話を続け、晩御飯を食べ終わった後。

 お風呂に入るよう親に言われたので、荷物の整理をするため部屋にいるゆうこに先に入るよう伝えに来た。

 こっちにゆうこの家はなく、高校生の間は私の家に住むことになっている。家もそんなに広くないので、私とゆうこは同じ部屋だ。

 寝る時はどんな話をしようかな。

 そんなことを考えながら部屋のドアを開ける。

「ゆうこ、お風呂先に入る?」

「りんからどうぞ」

 そのやりとりにちょっとした違和感を感じた。

「昔は、よく一緒に入ってたよね。お風呂」

 小学生の頃、時々家に遊びに来てたゆうことよくお風呂に入っていた。いつも、ゆうこから、

「一緒に入ろうよ、りんちゃん」

「そうそう。そう言ってた」

 懐かしいな~。

「本当に、一緒に入ろうよ」

「え、今?さすがにもう高校生だし」

 少しの沈黙の後、

「そうだよね。嫌な人もいるもんね」

 何か様子がおかしい。

 いつもとあまり変わらず明るいのに、どこか違う。ちょっと無理してる?

「どうしたの、ゆうこ。いつもなら抱きついて来たり、胸触ってきたりするのに」

 小学生、高学年の時、私の胸は少し大きくなり始めていた。それが面白かったのか、ゆうこはよく触ってきていた。

 あの時よりも、大きくなった胸を、ゆうこはまだ一回も触ってない。

 別に触られたいわけじゃないけど、何か変に感じる。

「だって」

 その後の言葉に、私は驚かされた。

「嫌なんでしょ。触られるの」

「え、そんなことないけど」

「だって、触られるのが嫌な人がいるって話になったとき、私も言えなかったって」

 違う、そうじゃなくて、

「だから、もうそんなことしないから。安心して」

 笑顔だった。

 悲しそうな笑顔。

「違うの!」

 そう叫んで、ゆうこに抱きついた。

「ごめん、言い方が悪かったの。私じゃなくて、別の子が、びっくりするからやめて欲しいって言ってたの。だから、誰にでもやっていいわけじゃない、って言いたかったの」

 そうか、私があんな言い方したから。ゆうこはずっと変だったのだ。

「私にはいいの!恥ずかしかったけど、でも、嬉しかったし、楽しかったから!だから」

 不意に言葉が止まった。

 ううん、止められた。

 顔がすぐそばにある。

 いい匂いがする。 

 唇が、触れて。

 私、キスしてる。

「ごめん、ずっとりんが嫌がってるとばかり」

「ううん。私の方こそごめん。今日、何か元気なかったからどうしたのかなって思ってたけど」

「また、触ってもいい?」

 と言いつつ、ゆうこの手は私の胸に。

「もう、触ってるじゃない・・・」

 でも、嫌な気分じゃない。

「高校生になって色々知ったから、もっとすごいことしちゃおっかな」

 いたずらな笑みを浮かべながら、胸に当てていた手を少しずつ下に下げていく。

 お腹、腰、太もも。

 そこまで下がって今度は太ももの内側から少しずつ上に・・・。

「ストップ!」

 ゆうこの手が付け根の近くで止まった。

「お風呂!お風呂入らなくちゃ」

 ゆうこは少し不機嫌そうに離れて言った。

「お風呂から出たら続きね」

 だから、こう返した。

「一緒にお風呂入らない?ゆうこちゃん」

「え?」

 恥ずかしくて、顔も熱くなって、すごくドキドキしてるけど。

 嫌な気分じゃない。

「うん!」

 最高の笑顔でそう答えてくれた。

「そんなに良かったの?ゆうこ」

「違う!久しぶりだから一緒に入ろうと・・・」

「とか言って、本当は期待してたり?」

「何を?」

「はやく、下に触ってほしい。って」

「思ってない!」


 2人の日々はまだ始まったばかり。 

 これからもきっと嫌なことや、喧嘩になることもあると思う。

 でも、2人でなら。

 きっと、楽しく過ごしていけると思う。

 たくさん触られても、大丈夫。

 

 スキンシップは嫌いじゃない。



短編です。

朝起きたら思いついたので書きました。


私の中ではR18な展開になったので、色々修正して書きました。

なお、お風呂の後は・・・

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― 新着の感想 ―
[良い点]  おぉ~、わっふるわっふる♪  直接的な描写をぼかしつつ、読者に期待させる感じが良いですねぇ~♪  ほっこりしました♪
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