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第三次異世界大戦  作者: ヴァーリ
大規模作戦編
37/46

P34 つかの間の平和

誤解と偏見を生んでしまい、現職の自衛官の方々にはご迷惑をお掛けします。国家のために命がけのお仕事をしていただてる皆様には頭が上がりません。

異世界とこちらの世界を巻き込んだ大戦の勃発から1ヶ月。日本はイージニア帝国の首謀者確保作戦を終了し、世界各国も同様に作戦の終了を宣言した。


イージニア国(維慈尼亞)と日本は正式に国交を樹立、及び周辺国からの脅威からイージニア国を守るため日維安全保障条約を締結した。これによって、解体された新旧帝国軍は陸海空とも日本の指導のもとで再建され、イージニア陸軍、イージニア海軍、イージニア空軍の3軍が正式に発足する。


現在、門が大幅に拡張され、光ファイバーケーブルを引き、電話回線を確保した。驚くことに、イージニア国の復興のために日本各地から支援物資が送られ、まだ規模は小さいが、イージニア自衛隊基地の周りを中心に日本風の街並みが出来上がって来た。


イージニアの生活水準も大幅に改善された。これは、日本のNGOが中心となり、文化や技術の習得を手助けしたり。イージニア人の技術者を国内に招き、日本の技術を学んだりした。


イージニア国、ダウンアルファト市、国内最大の貿易商業都市として発展したこの街には、日本人やイージニア人、その他亜人も多く混在する賑やかな街となった。亜人と言えば、ここではエルフやドワーフなどが見られる。元は、地平線に向けてただ広がる平原のみであったが。


そんな街並みを1台の車が走り抜けていた。自衛隊の前線基地から休暇で実家に帰る予定の立川圭一1等陸尉である。この前まで2等陸尉であったが、これまでの功績が認められ、晴れて一階級昇進となった。黒塗りのセダンの助手席には、金髪の女性がコクリと寝息を立てて寝ていた。


サーシャ・エルバトロ・クラリス、元々は帝国軍の侵略部隊に追従していた魔女であったが、今は自衛隊に協力しており、密かに立川に恋心を抱いていた。ゲートに近づくと、歩哨の隊員が近づいて来る。


「おや、休暇ですか?」


「そんなところです」


「お気をつけて」


車はゲートをくぐる、そこはぐるりと30mはありそうな高い壁に囲まれた旧渋谷であった。ビル群は崩壊し、草木がビルや道路に生い茂っている。自衛隊渋谷基地、渋谷駅を中心とした半径1kmを壁で囲み、そこを軍事基地化した特別な場所である。


立川はそんな東京を離れ、新潟のとある田舎町へと向かう。周りが畑、その中にポツンと立つ一軒家が立川の実家であった。


「ここがケーイチの?」


「まぁ実家だ」


インターホンを鳴らす。すると、軽快な足音が聞こえ、引き戸がガラガラ開く。小学生ぐらいの少年が立川に飛びついて来た。


「おかえりおじちゃん!」


「おっ敬太、少し見ない間に大きくなったな」


「うん!おじちゃんこの人は?」


「初めまして、サーシャ・エルバトロ・クラリスと申します。ケーイチの付き添いでイージニア国からやって来ました」


「お姉ちゃん、もしかして異世界の人?」


「そうですよ」


「すごい!お母さん!圭一おじちゃんと異世界のお姉ちゃんが来たよ!」


少年はそう言って家の中へと戻る。


「あの子は?」


「俺の姉の子だ。まぁ立ち話もなんだ、上がってくれ」


立川の実家に入ったサーシャは驚いた。古い外装ながらも品のある家具、そして日本の文化である畳、障子、どれも綺麗に保たれていた。


立川の両親はサーシャを暖かく迎えた。少し前まで敵国人ではあったが、今は同盟国人、元々温和な性格でもあったため、彼らは快く受け入れた。


「圭一、あんたご飯はどうするの?」


「今日はここで食べるよ、明日は幼馴染たちに顔を出さないといけないしな」


「なら久しぶりに腕を振るおうかしら!」


母親の喜久子は張り切り、和食のオードブルを作ってしまう。その夜、親戚や仲のいい隣人たちを招き、ささやかな食事会が開かれた。サーシャは戸惑いながらも、立川の友人たち(主に女友達)と話が弾み、有意義な食事ができた。


「サーシャさん、お風呂入る?」


「お、お風呂って何ですか?」


「んーとね、沐浴みたいなものね」


美女、お着替え中……


スレンダーなボディをあらわにしたサーシャは、檜の浴槽へと浸かる。ツヤのある金髪は濡れないように頭のてっぺんで纏められていた。


ゆっくりと湯船に浸かる。湯加減は程よい感じで、長旅で疲れていたサーシャは心身共にリラックスしていた。


「気持ちいい」


帝国の軍属時代にはなかった体験、こうして親しい人たちと仲良く食事したのはいったいいつだっただろうか。そう考えながらお風呂を堪能していた。


「ダメだ」


「お願い、今日1日だけ」


とある一部屋、もともとは立川の自室だったため、今回の帰省期間の寝泊まりはこの部屋でするつもりだが、ベッドに座る立川の前にまくらを持って土下座する金髪美女。いくらなんでも2人きりで寝るのはきついと考える立川であった。


しかし、立川も男である。こんな美女に頼み込まれると、次第に自衛官としての信念が折れて来る。


「分かった、早く来い」


「ありがと!」


2人は密着しながら深い眠りについた。

次話から新章突入です。

次章予告「大戦が終わり、つかの間の平和。しかし、その平和は次の戦いの準備期間であった。敵は異世界の神、圧倒的力を持つ存在に、人間はどう立ち向かうか」

メッセージを送って来て下さった皆様、ありがとうございました。出来る限り早く返信したいと思います。

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