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第三次異世界大戦  作者: ヴァーリ
大規模作戦編
35/46

P32 全面衝突〜中編〜

「起きろぉ曹長」


目の前に昔はやったヒーローのソフビ人形がちらつかされる。


陸上自衛隊主力戦車、10式戦車の砲塔の上で居眠りしていたのは、富士教導団の機甲部隊に所属する伊達清次陸曹長。本来なら敵地に向かうまで仮眠していたつもりだが、どうやら伊達達の乗る10式の車長は寝かせてくれないらしい。


「あと5分で戦闘地域だ、気合入れていくぞ」


「まだ5分ありますよ3尉。こちとら昨日から寝不足で死にそうなんです」


「おいおい、全ての部隊の教師たる教導団隊員が寝不足?なまってるなぁ、返ったら腕立て500ね」


「うげっ、殺生な……」


上司の神蔵由人3等陸尉は、ケラケラ笑いながらハッチを閉めて車内に戻る。周りを見渡す、何両もの10式戦車に加え、陸自の装甲車の96式装輪装甲車やAAV7、15式装甲戦闘車などが多数連なっていた。


『こちら指揮車、全車に告ぐ。我が部隊はあと5分でバイラム高原に到着する。我々の目的は、帝都奪取を任務とする普通科部隊の安全な輸送、及び敵勢力の排除だ。輸送車には傷跡一つつけるな』


「聞こえたか曹長、そこから降りてきて砲手席につけ」


伊達はM2重機関銃が備え付けられた砲塔上部から中へと入り、砲手席へとつく。そしてモニター越しに外の様子を確認する。


「いた、1時方向に敵、距離800」


『全車停止、隊列を組み直せ。C4Iシステムを作動、戦術データリンク開始』


すると、伊達の覗くモニターの右上に、周辺の地図と敵の所在が記される。これは、上空から偵察しているUAVからの情報を、システムを搭載している車両が共用しているのだ。これにより、どの車両が敵と接触しても、他の車両に敵の情報がそのまま伝えることができる。


『逆V字隊列で微速前進、砲手は砲撃用意』


「いそげ伊達、遅れるな」


「了解、APFSDS弾装填完了。3尉、初弾命中ですよね?」


「そうだ、一撃必殺百発百中、目標を発見次第全力で叩き潰せ、サーチアンドデストロイだ!」


伊達は旧帝国軍の地竜と呼ばれるドラゴンに照準を合わせると、躊躇なくトリガーを引く。主砲から発射された砲弾は、一直線に地竜に向けて飛翔する。そして、地竜の堅固な鱗を貫き、爆散させた。


「初弾命中!」


「おいおい、機動力も防御力もT-72みたいなやつだな、俺たちの敵じゃねぇよ」


「敵弾、来ます!」


ドシンと車体が揺れる、しかしどこも異常が見られない。どうやら地竜から放たれた火球ブレスは10式の装甲には通用しなかったようだ。


「やってくれたなおい?トカゲ野郎」


神蔵3尉の額に青筋が浮かぶ。


「踏み潰せぇ!!」


伊達の10式は瀕死状態の地竜に乗り上げ、キャタピラを左右逆に回転させ、ぐちょぐちょに踏み潰して行く。


「3尉!11時方向より新手!オーガです!?」


緑の巨人、オーガが走ってくる。すると、オーガが手に持っていた棍棒を放りつけてくる。棍棒は側面を向けていた2号車のキャタピラに直撃する。なんと、棍棒が爆発したから驚きだ。


「2号車が!」


『こちら2号車、キャタピラがやられた。修理が完了するまで援護を!』


『全車聞こえたな?2号車が行動不能だ、4・5号車は2号車の支援、俺の1号車と3号車は遊撃だ』


「こちら2号車、了解」


各車両がそれぞれの持ち場へとつく。そして、全車が一斉に空へスモークを撃ち放った。


「サーマルビジョンに切り替えろ」


了解ラジャー


何も見えなかったモニターが熱源探知式へと切り替わる。オーガの形をした熱源体が真っ白の煙の中でも丸見えだった。


「いいな、こっからは一方的なワンサイドゲームだ。遠慮はいらない、蹴散らせ」


徹甲弾を装填し、砲身をオーガへと向ける。撃ち放たれた徹甲弾は、オーガの腹部を直撃し、大きな風穴を開けて無力化した。伊達は次々とオーガを処分し、ついに最後の一体を駆逐する。


「こちら3号車、敵対勢力の排除を確認」


『こちら1号車、2号車はオオトリが回収に来る、これより港町ハイゼンへ向かう』


伊達たちは大爆発の起きた港町、ハイゼンへと進行する。

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