P30 それぞれの戦場 米軍編(前)
久しぶりの投稿です!
でも、あれだけ開けててこの話は繋ぎみたいなもんです。すみません
アメリカにとってここまで似ているということは誤算だっただろう。アメリカの攻め込んだエンゼルバッツ王国は、地球でアメリカが煮え湯を飲まされ続けている国、アフガニスタンと全く同じだったのだ。
「へいジョン、出撃だってよ」
「オーライ、今行く」
ジョン・ラクトビッシュ上等兵は、友人のマック・フォーリー上等兵と共に、M16A4を持ち、対地雷装甲車MRAPに乗り込む。エンゼルバッツは待ち伏せ地雷型魔法を街中に仕掛けている。そのため、ハンヴィーなどの車両では簡単に破壊されてしまう。やはり、IEDに対抗するために作られたMRAPなどの方が生存性が高い。
「ジョン、西の城が攻略寸前だそうだ」
「あの難攻不落の城がか?高さ50mの城壁なんてジャパニーズアニメ並のスケールだろ。んで、どうやって攻略してんだ?」
「ストラトスフォートレスの絨毯爆撃さ」
それを聞いたジョンは「なるほど」と納得する。確かに、軍は当初より航空戦力を中心に
送り込んでいた。それは恐らくエンゼルバッツに竜騎兵以外の有力な航空戦力がないと判断していたためだろう。
「西の城衛都市は焼け野原らしいぞ?」
「ざまぁみろ、俺たちにケンカ売るからだよ」
2人の乗るMRAPは、同部隊の車両と共に街を進んでいた。助手席に座るジョンは屋根の銃座に着く。
「敵襲!」
突然、火球が空から降り注ぐ。車列はその攻撃に耐え、すぐさま反撃へと移る。M1A2エイブラムスの主砲が火を吹き、家屋の屋根で魔法を詠唱していた魔法使い達を木っ端微塵に吹き飛ばした。
「路地に警戒しろ……」
その時だった。路地から何かを担いだエンゼルバッツの市民が、エイブラムス戦車の横っ腹に体当たりする。すると、大爆発が起こり、エイブラムスはキャタピラが吹き飛ばされ、動けない状況になった。それを待ってましたとばかりに車両に魔法が降り注ぐ。
「Shit shit shit⁉︎」
「マジかよ⁉︎動けないぞ⁉︎」
戦車が前を塞ぎ、動けなくなった米兵達は、自分たちの車両から降りると、めぼしい建物の中に避難する。
「救援がいる!誰か本部に通達してくれ!」
「了解!」
「誰か二階を制圧してこい!」
ジョンがM16を構えながら階段を上がる、すると、廊下のドアが突然開き、刃物を持った女性がジョンに襲いかかる。
「死ね!悪魔!」
「くっ⁉︎」
刺突を間一髪で避けたジョンは、銃床で殴り倒す。そして、サイドアームを引き抜き、銃を構える。しかし、相手が女性ということで、ジョンは引き金を引くのを躊躇する。
「よ、よくも私の亭主を!」
女性は立ち上がり、よろけながらも刃物を構える。ジョンはたじろぎながらも、ハンドガンを構え、女性の足に一発撃ち込む。
「はうっ⁉︎」
「すみません、あなた達に恨みはないんです」
再び、銃弾を撃ち込み、女性を射殺したジョンは、自分の犯してしまった行為に後悔する。撃ち殺すほかに彼女を救う手段もあったはず、しかし彼は殺しを選択した。
「ママッ!どうしたの⁉︎起きてよ!」
2人の男女が女性に駆け寄る。ジョンは2人に事情を説明しようとするが、マックに引きとめられる。
「ここら一帯の敵勢力は制圧した。俺たちに帰還命令が出た」
「俺のせいで、俺のせいで彼女は、あの子どもたちは……」
「おいジョン、気にするな。帰ろう」
「あ、あぁ……」
基地に帰ったジョンは軍医に心的外傷後ストレス障害と診断され、回復するまで前線を離れることになった。
大会期間中なので次話更新遅れます!




