P29 洞窟のモンスター
未来戦艦もの書きたい……
エルフの村へと侵入してきたのは、第一ヘリコプター団の特殊作戦用輸送ヘリ、MH-47JAである。原型のCH-47JAの機首に気象レーダーに加え、機首左にマッピング/地形追従レーダーが備わっている。
そして、JA型の燃料タンクも拡張された。そして、ミサイル警報装置、レーザー警報装置、連続波ジャマー及びフレアを搭載している。
『1偵、こちらアカエダ。アオエダと共に目標地点デルタに接近中。どうぞ』
「こちら1偵、緑のスモーク地点に降下せよ」
『了解した』
2機のチヌークは広場にホバリングし、後部ハッチを開く。そこからラペリング降下してきたのは、新宿で活躍したあの部隊だった。
「Sの橋下です。セイバーと呼んでください」
「1偵の立川です。セイバーさん、目標は地下へと撤退しました」
「で、ここはもぬけの殻と」
橋下は周りを見渡す。そこには大勢のエルフたちが立っていた。その中央にいた高齢のエルフが杖をついて前に出てくる。その顔は他のエルフに比べてシワが目立つが、顔は変わらず美形であった。
「わしがこの村の長老です」
「長老、あなたは我々の行動に意義はありませんか?」
「意義などありません。我々は帝国に今まで理不尽な生活を強いられて来ました。あなた方が来てそれが解決するなら、我々は喜んでご協力します。まぁ、リィールの話がなければ、あなた方も敵対勢力とみなしてましたが」
そう言われると隣にいた女エルフ、リィールは頭を下げる。
「これから我々は残党勢力の排除に乗り出します。長老方にはなるべく外に出ないようにしてください」
「分かりました。では、ご健闘をお祈りします」
話を終えた自衛隊はとある場所へと向かう。村の奥にある崖の洞窟、エルフの村に駐屯していた帝国軍が逃げた場所だ。
「暗いな。アサシン、何か見つかったか?」
「セイバー、人が通った形跡があります」
「分かった。全員ナイトビジョンを装着」
洞窟の中を進む特戦群。中は坑道のようで、真ん中にポツンとレールが敷かれていた。周りからは水滴がポツポツと水たまりに落ちる音が反響する。
「セイバー、これを」
「迷った時は右だ」
7人はM4カービンを構えながらゆっくりと洞窟を進む。
「キャシャシャシャ」
「上だ!」
声に反応して全員が上を連射する。奇声をあげたのは奇怪な生物で、紫の体液を撒き散らして落ちて来た。
「触るな」
「何でしょうかこいつ」
「分からんが、後からまだ出て来そうだ。気をつけろ」
一同が再び進もうとすると、何かのうめき声が聞こえてくる。その方向へと進むと、何かを引きずる音も聞こえる。
「キャシャ……」
橋下が目を凝らすと、何かが人間を貪っている現場だった。それは人間を2人無理やり引っ付けたような化け物で、鉤爪のような歯が口にグルリとついている。
こちらには気づいていないようで、特戦群はその場を離れようとするが、やはり物事簡単には終わらない。
「た、助けてくれ!」
帝国兵らしき兵士が、化け物と特戦群の間で助けを求めて来た。化け物は声に反応し、後ろから手を伸ばすと、帝国兵の胸を貫く。
「はがっ!?」
そして、腕を縮めて引き戻すと、頭からかぶりつく。首からは噴水のように血が吹き出し、思わず目を背けそうだった。
「キシャア!!」
化け物は特戦群の存在に気づいたらしく、近くにあった斧を持って走って来た。特戦群の隊員はM4カービンの引き金を引く。化け物は弾を食らい何度も怯むが、それでも突っ込んでくる。
「グレネード!」
全員が目をつぶり、耳を塞ぐ。誰かがフラッシュバンを投げる。フラッシュバンの爆発で化け物は混乱し、その場で倒れこんでしまう。
「今だ!逃げるぞ!」
特戦群の隊員たちは出口へと向かって走り去る。予想外の敵に体制を立て直した自衛隊は、一時この洞窟を封鎖する。
今から練習!




