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第三次異世界大戦  作者: ヴァーリ
大規模作戦編
30/46

P28 救助作戦

今回は長いです

フィトュナス・ペルクナテスの王宮は帝都のまさに真ん中に存在する。フィトュナスは並べられた豪勢な食事に手をつけながら、どうやって日本を戒めようか考えていた。


その時、大きな爆発が外で起こった。食器が揺れ、テーブルから落ちて割れてしまう。


「何事だ!」


「南西の砦が襲われています!」


「敵は⁉︎」


「ニホン軍です!」


フィトュナスは慌てて外を見る。すると、王宮の南西から何か大きな鳥が飛んでくるのが見えた。


「鳥か?それにしてはデカイな」


すると、鳥の後部が開き、中から何かが飛び出す。その光景は、まるで鳥が空に花を咲かせた様なものだった。


「報告します!南西砦が壊滅!ニホン軍が王宮に迫っています!」


「何⁉︎じゃあ、あれはニホン軍か?」


「敵は翼人からなる空中部隊を保有しているのでは?」


「そんな事はどうでもよい!今は帝都の兵を全て王宮に向かわせろ」


そんな事は出来るはずがないと側近たちは思う。帝都の兵士は各地に分散配置されている。もし、王宮に向かわせるとしたら、多大な時間を損失してしまう。それに、各地の警備がおろそかになってしまう。そうなれば、普段から王室の圧政に苦しむ民衆が反乱を起こすかもしれない。


「陛下!第三次防衛線が突破されました!」


「何をやってる能無しが!死ぬ気で守れ!」


その頃、C-5から降下した50人の第一空挺団は、王宮に向けて走っていた。彼らは一般市民に危害が加わらないように最新の注意を払いながら街を進む。市民たちは彼らの姿を見て、まるで飢えた肉食獣を見るような眼差しで見守っていた。


「目標はカラトナス氏とアーリア氏の救出だ!アルファチームは中へ!ブラボーとチャーリーは退路の確保!」


隊員たちは空挺用の89式やMINIMIを持ち、王宮のそばまで来ると、立ち止まる。


「前方200mに敵重装歩兵」


「迂回するぞ、まともに戦っている暇はない」


その場にC4爆弾を設置し、路地を抜ける。後を追おうとした重装歩兵隊が爆発に巻き込まれ、空挺団を見失ってしまう。


「くわっ!?」


建物の上から飛んできた矢が隊員の1人に運悪く当たってしまう。隊員は太腿に刺さった矢を引き抜こうとするが、隊長がそれを止める。


「くっ、くそぉ!」


「抜くな!それは返しが付いてる!無理に抜こうとすれば傷口が開く!」


「誰かこいつを物陰に運べ!」


手の空いている隊員が負傷者を運ぶ。残った部隊は城壁を登り、ロープで王宮内部へと侵入する。それに気付いた近衛兵たちは空挺団に切りかかろうとする。


「撃てっ!撃てっ!」


内部に侵入した空挺団は地下牢を目指す。



ポツポツと滴が落ちる。


「あ、アーリア……」


カラトナスの視界は反転している。両足を縛られ、宙から鎖で吊るされている。彼は拷問で失っていた意識を取り戻し、目の前の妹に呼びかける。


「に、兄さま……私、頭がクラクラします……」


妹は両手を後ろで縛られ、水溜りの中に座らされている。妹の髪はツヤをなくし、生気すら感じられない。


「大丈夫……か?」


「はい……何とか、兄さまは?」


「俺は心配いらない……にしても、あの野郎も大したことしてくれたな……我が子に」


そう、彼らは実の父親から拷問を受けたのだ。アーリアはそのせいで精神が不安定になりかけて、カラトナスは左手が麻痺してしまった。


「何者だ!ぐはっ⁉︎」


「侵入者だ!」


その時、牢屋の外が騒がしくなる。一旦喧騒が止むと、堅固な扉が吹き飛んだ。


中へ入って来たのは陸自第一空挺団の隊員たちだった。


「アルファチーム目標を確保!」


「アーリア殿下!カラトナス殿下!ご無事でありますか⁉︎」


隊員たちに助けられた2人は、状況が理解できず唖然とする。


「あなた達はジエイタイの?」


「そうです、お2人を救出にきました」


「こちらアルファチーム、ブラボー、チャーリー、状況はどうか?」


『こちらブラボーチーム!敵の攻撃が激しすぎます!急いでください!』


「と言うわけです。急いでここから脱出します。早くしないと帝国軍の援軍が到着してしまいます」


すると、隊員たちは何も言わず2人を担ぎ上げる。空挺隊員は周りをしっかりと囲み、外へと脱出する。


「伏せろぉ!」


その瞬間、彼らの頭上を火球が通過する。放ったのは帝国軍の魔法使いである。退路を確保していたブラボー、チャーリーチームは果敢に応戦していた。


「脱出部隊の到着は⁉︎」


「もう来ます!」


「全員この場を死守せよ!」


王宮の階段で一進一退の攻防が続けられる。


『こちらスペック隊、航空支援を開始する』


AOH-10が30mm機関砲を連射し、随伴のUH-60JAがドアガンでけん制する。


『オオトリ現着!早く乗ってくれ!』


チヌークより一回り大きなオオトリが目の前に着陸する。隊員たちは2機のオオトリに分譲する。


「離陸するぞ!何かに掴まれ!」


パイロットの声に、隊員たちはお互い支え合う。ヘリの前には帝国兵が回り込むが、傾けられたローターに切り刻まれ血飛沫と化す。


離陸、一気に高度を上げたヘリ部隊はイージニア基地へと帰路につく。


「こちら一空よりエイジェックス、作戦完了。担架が必要だ」


『こちらエイジェックス、了解した。医療チームが待機中』


講和派救助作戦は成功する。

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