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第三次異世界大戦  作者: ヴァーリ
異世界侵攻編
23/46

P21 パンの無料配布

扉の向こうって何ですか?

空自の滑走路の端の方に、陸上自衛隊航空隊の区画があった。


空を舞う回転翼機があった。陸上自衛隊の偵察ヘリコプターであるOH-1だ。純国産のヘリコプターで、アメリカの横槍が入らなかった高性能ヘリコプターとして、陸上自衛隊に幅広く配備されている。


「鹿島さん、本当に本部はやれと言ったんですか?」


OH-1のコックピット前席に座る吉村は、上司でガンナーの鹿島に疑問を投げかけた。


「あぁ、今だに帝国とやらのトップと会話できてないんだ、向こうに対話の扉はオープンですよと伝えるのが目的だ」


「で、こんな敵地深くまで来たと」


OH-1は夕方、地面を這うように低空飛行しながら、イージニア帝国の帝都ラッセルへと向かっていた。この機体は特別機で、対空ミサイルを搭載する両翼に燃料増槽を取り付け、従来の航続距離を格段に伸ばしている。


山を越え、野を越える。途中に畑仕事をしている人間や、村が見えたが、無視して突き進む。


最後の山を越えた時、目の前に巨大な都が現れる。そこは、オーストリアの音楽の街ウィーンのような街並みだった。緑の斑迷彩塗装の陸上自衛隊の偵察ヘリが、主要道路に沿って飛行する。


「な、なんだあれは!?」


「て、鉄の鳥だ!」


機体下部に取り付けられていた箱のハッチが開く。


「よし、爆撃開始だ」


市民が建物から出て来て、偵察ヘリを指差す。すると、OH-1から紙吹雪が飛んでくる。たまたまそれを拾った宮殿の衛兵がいた。


「こ、これは……」


そこには、日本の国木である桜と、帝国の国木であるナファルと呼ばれるイチョウに似た木が、折り重なった写真だった。


「本部、こちらニンジャ。帝都へのパンの配布は無事終了した、帰投する」


OH-1は任務を終えると、旋回し飛び去った。OH-1は日本政府からの通達で、イージニア帝国の元首に対話を要求し、交渉の場まで引きずり出せと命令されていた。普通に拡声器で叫んでも、色々な意味で聞こえないと判断した本部は、帝都市民への反戦運動を活発化させる宥和政策を取ることに決めた。


それが、先ほどの写真だ。とある架空戦記のDVDを見ていた閣僚が急遽発案した方法だ。


一方、この写真を受け取った帝国政府は蜂の巣をつついたような騒ぎに陥った。

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