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第三次異世界大戦  作者: ヴァーリ
異世界侵攻編
22/46

P20 耳長族

「榊原くん、君はこいつらをどう見るかね?」


「どうって須藤1佐、これは何処からどう見てもエルフじゃないですか?」


「エルフねぇ……」


「1佐、仮にでもここは異世界です。我々の常識は通用しませんよ?」


「だったな」


執務室に転がる死体を見つめるのは、第一戦闘団の団長である須藤1佐と、キツネの煌、榊原情報官である。榊原は、エルフが基地を襲撃したという情報を聞き、駆けつけてきた。


「生き残りはいますか?」


「本当に奇跡だ。外に急所を外れて苦しんでいる奴がいた……まさか榊原くん、そいつから情報を聞き出すとか」


「言いますよ、案内してください」


須藤はため息を着くと、基地の医務室へと榊原を案内する。入り口にいた警務隊員に危険物を持っていないかチェックされ、入室する。


そこには、輝くような金髪を肩まで伸ばした美しい女性エルフが、看護師からの介護を受けながら食事をとっていた。


「これはこれは、美しい妖精さんがえらいツラしてますねぇ」


榊原のその言葉に、女エルフは拳を叩きつける。おぼんが揺れ、スープがこぼれる。


「今のは酷いんじゃないですか!?」


反論したのは意外にも、エルフを介護していた看護師だった。


「部外者は出てくださいねぇ、あんたには用はないですから〜」


「そういうことだ、すまないが出て行ってくれないか?」


看護師は明らかに不機嫌になりながら退室する。残ったのは、須藤と榊原とエルフの3人である。


「私は榊原って言います。おたくの名前はなんでしょうか?」


「…………だ」


「聞こえませんね?えぇ?負け犬ですって?」


榊原がそう言うと、エルフはそばにあった食事用のナイフを取り、榊原に思いっきり刺そうとした。


「これはこうやって使うんですよ?」


榊原は刺して来た右手を抑えると、ナイフを取り上げ、手の指と指の間の板を突き刺す。


「くっ!?」


「はっきり言いましょうね?お名前は?」


「……リィールだ」


「リィールさんね……、んじゃ簡単に聞きますが、今から答えてもらう質問にきっちりと答えてもらわない場合、我々はエルフを敵対生命体と判断し、見つけ次第殺すか捕虜にします」


「な、なんだと!?」


「逆に、協力してくれれば何も危害は加えません。どうですか?良い案でしょう?」


エルフは設定上、プライドが高いと描かれている。その上、同胞を大切にすると聞いた榊原は、上手く彼女を釣る。


「分かった……いいだろう」


「じゃあ早速ですが、あなたは何で基地を襲撃したんですか?」


「帝国兵に命令されたんだ」


「ほう?」


「私の村には帝国軍が駐屯している。彼らは同胞を人質に取り、私たちを無理やり戦わせている」


榊原はなるほどねぇと頷く。


「ようは、エルフの村を救ってほしいと?」


「そうだ」


「なるほどねぇ……須藤1佐」


「なんだね?」


「部下をお借りしたい、第1偵察隊を私の指揮下に置いて下さい」


須藤にそう言った榊原の顔は、今年で1番不気味だっただろう。

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