第5話 第5番倉庫
「やっぱり、そうでしたか。夜兎の力が手に入る事が、立証されましたか。これは早急に高杉様に連絡しなくては!」
武市は部下から実験結果を受け取り、嬉しそうに言った。そして、電話を手に取った。
「高杉様ですか?武市です。実験結果が出ました。やはり夜兎と交わる事で、その力は手に入るようです。」
「そうか。娘はどうした?」
「まだ、眠っております。少し薬を使いすぎましたが、大丈夫でしょう・・・。」
「すぐ戻る。」
「はい、わかりました。」
武市は受話器を置いた。その横では、神楽がやつれた顔をして眠っていた。
◆
武市の連絡を受け、高杉がアジトに戻ったのは日が落ちてからだった・・・。
「お疲れ様でした。準備はすでに出来ておりますが、いかがなさいますか?」
武市とその部下達は、高杉の出迎えをした。高杉は、
「起きたのか?」
「まだ眠ってますよ。起きると暴れるんです。」
「そうか・・・。一服したら始める。」
「わかりました。」
そう言うと高杉は煙管をくわえた。
「フー・・・。お前ら、外で見張ってろ。進入しようとする者は斬れ。」
「誰も来ないと思いますが・・・。」
「来るよ・・・。あいつ等は。」
立ち上がった高杉は、武市等を外に出るようにと顎で促した。
中にいた人間は外に出た。高杉は神楽の寝ている台に腰掛け、神楽の髪を撫でながら言った。
「夜兎に生まれてきた事を恨むんだな・・・。」
煙管を銜えながらしばらくの間、神楽を眺めていた。
そしてゆっくりと煙管を置き、神楽のチャイナ服に手を伸ばした。すると、
「う・・・ぅん・・・。」
「起きたか?」
「あ・・・お前・・・。」
「憶えてたのか・・・。今日もでっかい月が出てるゼ。」
「高・・杉・・・。」
「じゃじゃ馬姫が一転、捕われのかぐや姫だな・・・。」
「うるさいネ・・・早く外すアル・・・。」
「武市がお前に固執するのがわかるな。魅力的な体をしてる。」
高杉は神楽の頬から首筋を指でなぞった。
「やめるアル!触るな!!」
「お前は俺の物になるんだよ。」
そう言いながら、神楽の首を片手で絞めた。神楽の細い首を掴むのは、片手で十分だった。
「ぅぐ・・・」
「大人しくしてれば、すぐに終わらしてやる。」
「ぅ・・・放・・・せ・・・。」
「大人しくしろと言ったはずだが?」
高杉の冷徹な目を見て神楽は凍りついた。
その時、
「ドォォォン!!」
と、爆風と共に倉庫の扉が吹っ飛んだ。その煙の中から出てきたのは、沖田総悟だった。
すでに、外にいた武市達を蹴散らしてきた総悟の体は傷だらけだった。首を掴まれたままの神楽は総悟の方を向き
「た・・・す・・・け・・・て・・・」
精一杯、口を動かした。
「高杉ィィィィィ!!」
あまりにも青白い顔をした神楽を見て、総悟は瞳孔を開き叫んだ。
「真選組か・・・。一人で乗り込んできたのか・・・いい度胸だな。」
「うるせぇ!そいつから離れろィ!!」
「それはできねぇな。」
「だったら無理やり引き離してやるまでだ!」
「ククッ・・・そんな体で、何が出来る?」
沖田は、柄を握り高杉に向かって剣を抜き飛び掛った。
「カキィィィン!!」
高杉も剣を振り抜き、沖田を弾き飛ばした。
「ッッて・・・」
「外で暴れすぎた様だな。そんなんじゃ、姫は救えないぜ。」
「うるせぇ・・・。そいつは姫なんてタマじゃねぇんだよ!」
総悟は立ち上がって再び剣を構えた。
「今度はこっちから行かせてもらうぜ!」
高杉は容赦の無い猛攻をかけ、総悟は壁際に追い詰められた。
「悪いが、これで終わらせてもらう。」
その言葉と同時に、高杉は総悟の刀をなぎ払った。そして総悟の菊一文字が宙に舞う。
「ッく・・・。」
「さぁ、どうするよ?真選組の沖田隊長さんよォ。」
高杉の刀が振り上げられた・・・。
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