第13話 恋心
「・・・・・・ぅん・・・?」
神楽は夜中やっと目を覚ました。隣を見ると、隊服のまま布団にも入らず寝ている総悟がいる。神楽は目を丸くした。
「うおっ!」
「・・・・・・ん・・・・」
その声に、総悟が反応する。神楽は慌てて、口を押さえる。
(ここ何処アルか・・・?こいつの部屋?)
きょろきょろと辺りを見回し、最後に再び総悟を見た。
(子供みたいな寝顔アル・・・。睫毛長い・・・。髪の毛もサラサラネ・・・。)
神楽はいつの間にか、総悟の髪を触っていた。
(こいつはいつも私にケンカ吹っ掛けてくるネ・・・。でもこいつに会わない日は、つまらなくてイライラする・・・。私はこいつが見回りの時間に合わせて駄菓子屋に行く。そうすると、こいつは必ず現れるネ。そうすると私は嬉しくなるアル。心臓がドキドキして、顔が火照ってくる。さっき総悟に助けてもらった時もそうだったネ・・・バクバク、バクバクして心臓がパーンってなりそうだったネ。)
総悟の髪を撫でつつ、またも心臓の高鳴りに戸惑いを見せている。
「またネ・・・。また心臓がバクバクしてるアル・・・何アルか?病気アルか?」
「そいつは恋ってやつでさァ。」
「ビクッ!!」と体を揺らすと神楽はいつの間にか目を覚ましていた総悟を見る。
総悟の大きな瞳は、真っ直ぐと神楽を見ていた。
「いつから起きてたアル?」
「結構前から・・・。」
「何ですぐに目を開けないアルね!」
「折角、髪を撫でてくれてるから・・・。」
神楽は顔を真っ赤にして「あわわわ!!」と手を後ろに隠す。
その様子を見ていた総悟は、体を起こし神楽の蒼くて大きな目を覗く。
「なっ・・・何アルか?!」
「俺は・・・神楽の事が好きだ。」
「・・・っっっ!!!なっなっ何言ってるアルか!!!」
「何って、告白でさァ。」
そう言って総悟は神楽の手を引き、抱き寄せた。
「放せっっ!!」
「ヤダね。」
「もう死んじゃうアル!!!心臓がパーンってなって死んじゃうアル!!!」
総悟は、バタバタと腕の中で暴れる神楽を必死に抑えている。
「ちょっとは大人しくしやがれ!!」
神楽の怪力を物ともせずに、神楽の体を押し倒す。
ビックリして大人しくなった神楽に、総悟は優しくキスをした。
蒼くて大きな瞳はさらに大きく見開かれ、大人しくなった神楽を確認した総悟は口唇を離した。
「何するネ!!!」
「Aでさァ・・・。さっき知りたがってたじゃねぇかィ。」
「!!!」
「イヤだった?」
神楽はしばらく考えて、ゆっくり首を振った。
「イヤじゃなかったアル・・・。」
「そうかィ。」
総悟は穏やかに微笑んだ。その顔を見て神楽はさらに顔を火照らせる。
神楽の腕を放すと、神楽は上半身を起こした。すると、総悟がゆっくりと口を開く。
「最初・・・お前は気に入らない奴だった・・・。町で会う度、旦那と2人で俺と土方さんにケンカふかっけてきて、「なんだこいつ!」って思ってた。でも、だんだんお前の事が気になってきて、お前が駄菓子屋に行く時間を見計らって見回りに出た・・・。」
そこまで聞くと神楽は、「はっ!」とした。自分とまったく同じだからだ。
「そこにお前がいないと、イライラして山崎に当り散らした。お前が旦那にいつもくっついてて、「銀ちゃん、銀ちゃん」って楽しそうに笑ってると、むかついて邪魔したくなった。もうその時には、神楽の事が好きだったんだよなァ・・・。」
そう言いながら、総悟は縁側の障子を開けた。するととても大きな満月が部屋を照らした。
「だからお前が誘拐された時、居てもたってもいられなかった。助けに行った時、意識が朦朧としていたとはいえ、お前が旦那と間違えた時には泣きそうになったんだぜィ・・・。そして、ドサクサに紛れて俺の名前を覚えさせた・・・。お前が素直に俺の名前呼んでくれた時、愛しいと思った。」
総悟は縁側を眺めながら、ゆっくりと話をした。
神楽は、総悟の横に移動してチョンと体育座りをした。そして口を開いた。
「私も、お前は気に入らない奴だったネ・・・。でも何でかすごく気になって、総悟が見回りの時間を見計らって、駄菓子屋に行ったアル。そこに総悟が来ないとイライラしたネ・・・。公園に行って、よっちゃんをボコボコにしたネ・・・。でも、なんでこんなにイライラしたのか分からなかったヨ・・・。総悟に会うたび、心臓がバクバクして顔が熱くなって、それはきっとテンションが上がっているからと思ってたネ・・・。」
そこまで言うと、神楽は総悟の顔を覗き込んで無邪気に笑った。
「私も総悟が好きネ・・・。」
総悟の顔がみるみる赤くなる。そんな総悟を見て、神楽は
「真っ赤アル・・・。」
「うるせィ・・・。」
「照れるな、照れるな。」
「それ以上言うと、最後までするぜィ?」
総悟は「ニタァ」と笑った。
「最後って何アルか??」
「知りたい?」
「知りたいアル!」
「教えてやんねぇ。旦那にでも聞いてみな。」
「ブーブー」とつまらなそうな神楽を覗き込み、総悟はまたキスをした。
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