ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
23th:episode〜あたし〜


「じゃあ………また明日」

「はい…、ありがとうございました」

もう11時を過ぎるところ。

結局、ただ商店街を歩いていてこの時間。

それだけ1人になりたくなかった。
美緒は笑っていたけど、内心は僕より不安定だろう。


「泣かないでね」

「はい、わかってます」

美緒は最後まで笑顔をつくっていた。












「おはようございます…」

「おはよ…」

美緒がすごい眠そうだ。


「優樹さん、すごく眠そうです」

僕もだったな…



「学校行きたくないな…」

「サボリはだめですよ」

「うん」

美緒は強いなぁ…
なんてそんなことを思う。






教室に入る。
机に顔を乗っける。


「…」

やっぱり冥が来てない…


「おう優樹」

慎吾はやっぱり元気だ。

「そういや冥来てたぞ」

「ホントに!?………というか昨日の見てた?」

「ははは」

慎吾は全部知ってるみたいだ。
というか僕のことで知らないことはあるのだろうか。


「で、どこにいたの!?」

「昇降口で普通にみんなと話してたぞ」

「…え…本当に?」

前は休んだりしてかなり落ち込んでたのに…


「なんで来たんだろうな」

慎吾はうっすら笑みを浮かべて言った。
何か知っているのだろうか。



〈おはよー〉

女子が数人入ってきた。

「!?」

その中に冥がいる。
見たところ元気そうだ。

まぁ元気でよかった…
なんでかは気になるけど…
冥は授業中も普通に過ごしていた。
1カ月前に戻ったみたいだ。









昼。
僕はいつも通り階段前に行く。……はずだった。
教室から出ようとした時、袖をつかまれる。

「!?」

振り返ると冥がそこにいた。

「冥…」

目の前にいる冥は、昨日のことなどなかったように笑っていた。
「ごはん、どうするの?」

ごく普通に話しかけてくる。

「いつも通り…」

「そっか…」

冥はほんの少し残念そうな顔をした。

「そうだよね…」

「…ごめんね………冥…」

「謝らないでって。もう優樹はいつもすぐ謝る…」

冥は少し微笑む。

「冥…」

「早く美緒ちゃんのところに行ってあげな」

「え?」

「彼女なんでしょ?」

「ちょっ!!」

あきらかに冥がおかしい。
昨日、あんなことがあったのに…

「冥…どうしたの…?」

「……………そこ聞く?」

ダイレクトに聞きすぎただろうか。
冥は複雑な顔をしていた。

「ま、不思議に思ってしかたないね」

「………」

「実は私、言われたの…。
「今、一番苦しんでいるのは優樹だ」って」

「え…」

誰だろう…?
慎吾?
うん、慎吾しかないな…


「あたし優樹のことは何でも知ってる気でいたの…。でも、あたし思い込んでただけだね…」


つらいのは僕じゃなかったはずなのに…



「あたし………わかったから…」

「………」

「だから、今は美緒ちゃんのところに行ってあげて…」

「………うん」


僕は無性に謝りたくなった。
けど、謝ってはいけない。
そのまま教室を出る。

「優樹」

「?」

教室から冥の声。

「まだ……………あきらめてないからね……」

「……うん」


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。