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オーギーの手記より(抜粋)

作者:久乃 銑泉
※注・出だしがなんか痛々しいですが、全編通してこんなノリではありません。
安心して(?)お読みください。

 『螺旋砕破スパイラルブレイカーっ!!』

 『大海幻打オーシャンイリュージョンっ!!』

 ズギャララバギドガーン・・・という音と共に、巨大な横倒しの竜巻と、逆巻く水の拳がぶつかり合った。
 激しい逆回転同士の衝突に一瞬視界が塞がれるが、どうやら竜巻の方が僅かに強力だったらしい。
 巻き上がった水の壁を突き破り、ほぼ変わらぬ速度でこちらへと向かってくる。
 しかし、それは予測済み。
 予め分かっている直線軌道ほど対処しやすいモノはない。
 左足を半歩右に踏み出し、最小限の動きで竜巻を回避。
 続いて踏み込んだ足を軸に・・・

 『氷海斬脚ヒュージングレッガーっ!!』

 ・・・右足を思い切り振り抜いた。
 その軌道は、幾本もの氷塊として実体化する。
 一瞬空間に浮遊停止した氷の刃たちは、既に必殺技ゲージを使いきってしまった敵めがけ、回避不能の斬撃となって襲いかかった。
 堅い物を連続で切り裂く独特の快音と共に、敵の頭上に浮かぶゲージがぐんぐんと縮んでゆく。
 そして、とどめのひときわ巨大な刃が突き刺さるのと時を同じくして、残り3割をきって赤化していたゲージは完全に消滅。
 同時に、“You Win !”という文字が視界に出現し、この戦いに終止符を打ったのであった。
 ちゃんちゃん。
 ・・・・・・

 「・・・以上、チーくんのゲーマー度検証実況中継、司会はおなじみ、オーギーでした〜! ・・・さて、今の戦いどうでしたでしょうか、解説のチーくんこと智澄ちすみさん!」

 「同一人物に対して評価求めてるんじゃない・・・じゃなくて、格ゲー中に後ろで騒ぐなっ! あと人前でチーくん言うな、恥ずかしい!」

 「やーん、チーくんが怒った〜」

 「やめんか気持ち悪い!!」

 気持ち悪いとは失礼な。
 ま、分かっててやってるんだから当たり前だけど。

 「おぃテメェ、ゲームなんかで勝って、いい気になってんじゃねぇぞ!」

 ・・・ん、外野から・・・って、今さっきチーくんに格ゲーでノされてた人ですか。
 なーんかガラ悪いとは思ってたけど、ドンピシャですな。

 「あぁ、チーくんとの蜜月が・・・」

 「黙れオーギーっ!! ・・・で、なんだ? ゲインで負けた憂さ晴らしでもしようっていうのか?」

 ・・・ゲインっていうのは、今チーくんがやってた3D格闘ゲームのこと。
 ちなみにゲインは略称で、正式にはゲイン・アーツね。
 専門用語が出てきたんで、とりあえず補足しときます。

 「調子乗ってんじゃねぇぞ、イチャイチャしやがって!」

 うわぁ、ヒガミだヒガミ。
 文脈メチャクチャだし、醜いねー、ホント。
 しかも、イチャイチャって・・・くふふふ・・・

 「・・・イ・・・イチャイチャ・・・だと・・・」

 「・・・?」

 「誰がんなことするかーっ! 俺はホモじゃねーっ!」

 「・・・はぁ? ホモって、一体何が・・・?・・・ぁ・・・」

 ん、あの不良A(仮)も気づいたようですな。
 こっち向いて目を見開いて、ついでに口まで大きく開けたまま固まっております、おぉ滑稽。
 ・・・それじゃ、ここらでネタばらしといきますか。

 「あれ、気づいてなかった? ・・・オレ・・・男だけど」

 「・・・あ゛・・・あぁ?」

 「いやぁ、ズボンばっか履いて、胸無くて、一人称オレなボーイッシュガール想像してたんなら、そいつは残念でした、と。オレはれっきとした男ですぜ」

 「・・・そんな、バカな・・・」

 ・・・失礼な。
 いやまぁ、慣れてますがね、女呼ばわりは。
 生まれつきこんな外見してんですから、しょうがないでしょ。
 好きでソプラノ&女顔してるわけじゃ無いですよ?
 別に女装の趣味があるわけでもなし、同性愛だって否定はしないけど理解もし難いし。
 ま、それに、気にしてないんでから精神的な被害も無いんだけど・・・
 ・・・中学最初の体育の授業で、女子更衣室に案内されそうになった時は、さすがに焦ったね。
 ちゃんと名簿には目を通しておきましょう、体育の先生。
 というか男子制服着てたんですけど?

 「・・・で、どうした。まだなんか言うことあるか?」

 「い・・・いや・・・」

 衝撃の事実で気勢を削がれてしまったご様子の不良A(仮)。
 勝手に衝撃受けてんじゃねーよ、こんな顔に生まれついたことの方が数倍ビックリじゃこのやろー、なんぞと思わんでもないけど、暴力事件(未遂)はこれで一件落着・・・

 「・・・カップルじゃないなら、まるで親子みたいだな、って・・・」

 ・・・オイ。

 「・・・だぁれが“ガキ”だってぇ・・・!?」

 「待てオーギー、誰もそんなこと言ってないって!」

 「オレの耳には聞こえたっ!」

 「・・・な、なんだよテメェ・・・」

 なんだとはなんだ。
 女扱いはまだ許せるけれど、ガキ扱いは許すマジ。
 何が親子じゃコンニャロウ。

 「あのなぁ・・・オレは17歳、れっきとした高校の2年生様じゃぁっ!」

 「え、小学生じゃ・・・」

 「死っ!!!」

 「オーギー、ストップ! 殺しはマズいぞ!」

 ・・・うーむ、暴力沙汰を止めようとはしないあたり、さすがはチーくん。
 オレとの付き合いが長いだけはあるね。
 なんせ、物心ついたころには髪の毛引っ張り合ってた仲ですから。
 互いのことは、親よりよく知ってんじゃないでしょーか。
 ・・・ま、今はそんな事より・・・

 「・・・オレ、小さい?」

 「・・・は、はい?」

 「オレ、子供みたいだと思う?」

 「い、いや・・・べ、別に、そんな事、えーと、無いと思う・・・ぜ。さ、さっきは・・・見間違えた・・・みたいだ」

 お、この不良A(仮)、意外と話が通じるぞ。
 見た目よりは良いヤツだったのかな?

 「だよな〜、そーだよな〜、なんだ分かってるじゃんか〜・・・んじゃ、帰ってよし!」

 「・・・???」

 「・・・帰っていいんだとさ。オーギーがまた暴れ出す前に、とっとと帰っておいた方が良いぞ?」

 「そ、そうか。それなら帰らせてもらうケドよ・・・」

 ・・・そうして不良A(仮)は去っていきましたとさ。
 めでたしめでたし。

 「なに“一件落着”な顔してるんだ。お前の蒔いた種だろ」

 「えー」

 「えーじゃない。・・・と、メールか」

 あ、さっきからブルブルと振動音が聞こえると思ったら、チーくんのポケットからですか。
 この人、何故か常時携帯をマナーモードにしておくのよな。
 バッテリーの無駄使いだ、って前から言ってんのに。

 「おいオーギー、絹来きぬきからだぞ」

 「おー、ヤネっちからですか! ・・・で、なんて?」

 ・・・はい、ただいま名前が出ましたのは、我らが幼馴染み軍団(約3名)最後の1人、その名もヤネっちであります。
 どんな人間なのかを簡潔に説明すると・・・えー・・・まあ、特に変わったところもない我がクラスメイトにして良き親友・・・でいいかな。
 ・・・あーでも、ひとつだけ。
 ヤネっち、よく呼ばれるあだ名が“トラブルメーカー”だったりするんよ。
 なんでかは知らないけれど、妙に騒ぎを引き寄せる体質らしいね、本人いわく。

 「えー・・・毎度のごとく長いんで、要約するとだな・・・“至急、学校裏のフェンスBへ集合”、だと」

 「学校裏のフェンスB、ね・・・」

 ・・・オレたちの通う高校の裏手には、塀がフェンスになってるところがあってね。
 またそのフェンスが古びてて、何カ所か穴が空いてるんですな。
 フェンスBっていうのは、その穴のうちのひとつなわけ。

 「・・・それだけ?」

 「それだけだ。・・・用件言わないところが怪しいな。ま、どうせロクなことじゃないだろ」

 「そこは同意」

 まったく、また何かトラブルを発生させたらしいね、ヤネっちは。
 毎度毎度ご苦労なことで。
 ・・・主にオレたちが。

 「さて、いざ馳せ参じましょうぞ、チーくん殿!」

 「いや、あとゲインの挑戦者が3人・・・」

 おいこら、幼馴染みよりゲーム優先ですかねキミは。

 「・・・とっとと行きますぞ〜、チーくん殿〜」

 「だからちょっと待て、どうせ20分も掛からナイデデデデ!? ちょっ、まっ、耳掴むな痛いっ!!」

 さて、行きますか。


・・・・・・


 「おーい!オーギー、チーくん!」

 お、小高い丘の上に、ヤネっち発見!
 向こうもこっちを見つけたみたいだけど・・・相変わらずの良視力だことで。
 もう夕暮れ時だし、人影は見えても誰かを識別するのは難しいはずなんですがね。

 「おー、ヤネっち! 久しぶり!」

 「・・・昨日会ったけど・・・?」

 「まともに取り合うなよ、絹来。疲れるだけだぞ」

 いやぁ、冷静な対応はツラいですよ、チーくん。

 「しっかしまた暑そうな格好してるよ、ヤネっちは。そのスカート何枚重ね?」

 今の季節は夏真っ盛り、学生ならばもうすぐ夏休み。
 夕方とはいえ、それなりに蒸し暑い今日この頃です。

 「何でそーなるかな? まずはかわいいとか何とか・・・」

 「うわーかわいいねー・・・で、何枚?」

 「うぅ・・・もういーよ・・・」

 ・・・うーむ、一体何が気に入らな・・・ん?
 あ、ヤネっちは生物学的には女の子ね、一応。
 もしかして、男がスカート履いてるの想像してた?
 そいつはどーもご愁傷様でした、色々と。

 「で、何の用なんだ、絹来。それ聞くために来たんだぞ」

 「あーそうそう、忘れてた。その用件っていうのが、とある噂もことなんだけど。実は、この学校でね・・・なんか、夜中に怪しい人影が徘徊してるらしいの」

 ・・・なんだそりゃ。
 どこの怪談ですか。

 「幽霊ネタか?」

 「えーと、そういうのとは違うみたいなんだよ。見たって人たちによるとさ、夜9時ぐらいに忘れ物を取りに行ったら、なんか学校の中をうろついてる人影がいてね。こっちの足音が聞こえたら、慌てて走って逃げちゃったんだって」

 「・・・なるへそ、確かにバケモンの類じゃなさそーですぜ」

 「ま、この上なく怪しいことに違いは無いんだが」

 ふむ、確かに怪しいですな。
 正体が何なのかとか、すごく気になりますな。
 ・・・ただし、今現在において、それよりも気になることがひとつ。

 「でさ、ヤネっち。結局、オレたちがここに呼び出されたのは何故なのかな?」

 「えーと・・・その噂の真相を調べ・・・」

 「んじゃ、何故にヤネっちとオレたちで、ゴーストバスターせにゃならんという話になったんでしょーか? そこんとこ、ご説明願います」

 「・・・えと、友達と話してて、この噂の話題になって、そのまま話の流れで、私とオーギーとチーくんがその噂を調べるってことになって・・・」

 「どーいう話の流れで、そーいう結論に行き着くわけですかね? 第一、なんでそこでオレたちの名前が出てくるの」

 「有名人だから」

 わぉ、キッパリ。
 んー・・・にしても、有名ってどういうことでしょーか?
 思い当たるフシは・・・

 「オーギー、ウチの学年じゃ有名人なんだよ? “法律にさえ触れなかったら、大抵のことは解決してくれる超お助け人”って」

 無い・・・こともなかったね。
 それにしても、なんかとっても欲しくない二つ名ですな。
 まあ性格上、他人の頼みは断れないんだけど・・・
 ・・・“法律にさえ触れなければ大抵の”ってなんですか。
 オレ、そんな超人みたいな扱い受けてたんだ。

 「そしてチーくんは、“超お助け人が動くとき、いつも一緒に行動している陰の実力者”って言われてるよ」

 あらら、チーくん大学生なのに、ウチの高校で有名になっちゃってましたか。
 しかも、なんか色々とツッコミどころ満載だし。

 「俺はサブかよ。気に入らね・・・じゃなくて! なんかどんどん話が逸れていってるぞ!」

 「えーと・・・あ、ゴーストバスターの話だっけ」

 「ちょっと違う気もするけど・・・」

 「学校に出没する怪しい人影の正体解明について、だろ。とりあえず、どうするつもりだ?」

 「ん、夜になったら学校に忍び込む、とかでいいんじゃないの?」

 「それでいいと思うよ。どうせ今の時間じゃ出ないみたいだし、9時前にもう1回、ここに集合しよっか」

 「もう1回来るのか? あのな、そもそも俺はこの学校の・・・」

 「文句言わない」

 「・・・だー、めんどくさい」

 まったく、ノリ悪いんだから。
 えーと、今の時間は・・・8時過ぎ。
 よし、それじゃ、あと1時間弱は自由行動ね。
 家に帰って、腹ごしらえでもしてきますか。
 ・・・てか、ここに集まった意味ってなんだったんだろ・・・?


・・・・・・


 「ほい、点呼しまーす。・・・1!」

 「2!」

 「・・・3」

 なんか最後の人、やる気が感じられなかったけど・・・まあいいか。
 来てくれただけで上出来ってもんですな。

 「・・・ん、ヤネっち、スカートは?」

 「動きやすい服装にしようと思ったの。髪もまとめてきたんだよ」

 なるほど、そーいうわけでTシャツに短パンですか。
 こちとら、自分の服装なんざ全くもって気にしちゃおりませんでした。

 「・・・よけいなことしてないで、とっとと行くぞ」

 おろ、チーくん先行、1人でフェンスの穴の中に入っていっちゃいましたよ。
 ホントはやる気満々・・・なわけないか。
 手っ取り早く済ませてしまおうって魂胆ですな。

 「何やってるの、オーギー? 置いて行っちゃうよー?」

 「ん、世の中のホンネとタテマエについて考えてただけだから。すぐ行くぞ〜い」

 「???」

 そんな不思議そうな顔しなさんな。
 いつかキミにも分かる時が来るさ。
 ・・・あれ、そーいや同い年だったよな、ヤネっちって。
 まあいっか。
 とりあえず、学校に潜入しまーす、っと。


・・・・・・


 「うわぁ、暗い・・・」

 「そりゃ、夜だし」

 「そんな事聞いてないよ」

 ま、夜の学校、それも電灯ひとつない体育館裏となれば、確かに不気味ではあるんだけど・・・

 「なんだ言って、真っ暗じゃないだけマシでしょ。それにまあ、慣れてるからね、オレたちは」

 「そうだな。何度オーギーに付き合わされたことか」

 「わあぁっ!? い、いきなり出てこないでよチーくん!」

 ・・・いや、むしろいきなり飛びつかないでくださいヤネっち。
 かなり驚いたから。

 「・・・なにやってるんだ、お前たちは」

 「いや、オレに言われても」

 「チ、チーくんが悪いんだよ!」

 「あー、もういい、むしろどうでもいい」

 話振ったのそっちじゃんか。
 ・・・ま、いっか。
 とりあえず、体育館前に向かうには・・・横の校舎に入るのが、一番近道ですかね。
 ということで、侵入。
 この校舎の廊下はひたすらに直線なんで、入り口からずっとまっすぐ行けば、体育館前に到着するのな。
 さらに、右手にある体育倉庫の前を抜けてもっと行けば、グラウンドに出るんよ。
 ちなみに体育倉庫が絶妙な位置にあるせいで、校舎と体育館との隙間からはグラウンドが見えないんよね。

 「・・・で、その人影っていうのは、どのあたりに出没するんだ? そのくらい調べてあるんだろ?」

 「えと・・・体育館の入り口と校舎の間で、何回か目撃されてるみたい。あと、生物室裏の中庭で見かけたって話も聞いたよ」

 ん、生物室裏の中庭といえば・・・

 「フェンスAだな」

 「そのとーり」

 「あ、ホントだね。気づかなかったよ」

 「これで、その人影の正体は人間の線が濃くなったな。わざわざフェンスの穴から入ってくる幽霊もいないだろ」

 「・・・“幽霊フェンス潜り”、とか」

 「なんだそれは」

 自分で言っといてなんだけど・・・なんだろーね、それは。
 ・・・ん?
 今、誰かが歩いてるっぽい音が聞こえたような・・・

 「・・・チーくん、今何か音が聞こえたような気がするんだけど・・・私の気のせいかな・・・?」

 「・・・奇遇だな、ちょうど俺もそんな気がしてたところだ」

 ん、オレの耳がおかしいわけじゃなかったようで。
 良かった良かった。
 ・・・じゃなくて、さっそく噂の彷徨さまよう人影がお出ましですかね?

 「・・・お前たち、こんな時間に何をしているんだ」

 「あれ・・・先生じゃないですか」

 なんと人影の正体は、我らが担任だった!?
 ・・・なわけないか。
 先生なら別に逃げんわな。
 どーやら残業中だったようで。

 「えと・・・忘れ物取りに来たんです」

 「そうそう、明日課題があるのに、物理の教科書忘れちゃったんですよ」

 課題があるのはホント。
 もう済ませてあるけど。

 「2人同時に忘れたのか?」

 ぬ、変なところに気づきおって。

 「そうなんです。学校で2人で課題やってたんですけど、そのまま置いて来ちゃったみたいで」

 「2人とも持ってなかったから、あ、あのとき学校に置いてきたんだ、って分かって、取りに来たんです」

 学校で2人でやってたってのもホント。
 実際は、そのときに済ませておいたわけね。

 「そうか、それなら別に構わないが、見つけたらすぐに帰った方がいいぞ。最近は不審者が出るらしいからな。気をつけて帰れよ」

 「「分かりましたー」」

 ・・・・・・
 ふう、やっと解放された・・・
 ・・・にしても、結構広まってますね、この噂。

 「・・・行ったか?」

 「ん、もう出てきてもオッケーですぞ」

 「チーくん、素早かったね〜。先生がそこのカド曲がったときには、もうトイレに隠れてたんだから」

 「なんせ慣れてるからな。・・・あんまり誇れることじゃないんだが」

 「そーですか? 敵から身を隠すスキルって、カッコいいじゃん」

 「それ以前の問題だろ。・・・というか、とっとと行くぞ」

 「あ、ちょっと待ってよチーくん!」

 ・・・さて、オレも行きますか。
 それにしても、夜中に高校うろついてる人間って、一体どんな物好きなんでしょーかね。
 気になりますなぁ。


・・・・・・


 「・・・で、昨日の晩は、結局何も出なかった、と」

 「ん、そのとーり」

 「そんでもってガッカリしたお前は、わざわざ貴重な昼休みを消費しつつ、こうして教室でクラスメイトにグチってみて迷惑かけてる、と」

 「ん、そのとーり。んでもってご説明ありがとう。そして迷惑かけてごめんなさい」

 「分かればよろしい」

 こういうとき、オレはホントに良いクラスメイトを持ったもんだな、って実感できるんよね。
 ・・・ホントに良いクラスメイトついでに、今回の噂の件でも手伝ってもらえないかな〜

 「・・・オーギー、まさか俺に手伝わせるつもりじゃないだろうな」

 「わぉ、読心術」

 「・・・ドンピシャか」

 「・・・イヤ?」

 「頼むからクラスメイトに流し目はやめてくれ。正体知ってるのにそれっぽく見えるから余計に気持ち悪い」

 「ん、知ってる」

 「やめろ確信犯」

 「じゃ、確信ついでに手伝ってくれない?」

 「何がどうついでだ。めんどくさい」

 ぬう、こやつチーくんと同じこと言いおって。
 ちっとばっかし情報収集手伝ってくれるぐらい、別にいいじゃんかね。

 「それでも手伝えって言うなら・・・まず、こっちが今抱えてる問題をなんとかしてくれ」

 「・・・問題?」

 「ああ。とある格闘技好きな元先輩が、今使ってるところより良い練習場所ないかって探してる。それ手伝え」

 「・・・んにゃ、めんどくさい」

 遅ればせながら、先ほどのキミの気持ちはよくよく理解できました。
 あと、さすがのオレでも学外の困り事は専門外なんで、そこんとこよろしく。
 ・・・ん?
 なんか、教室の入り口付近がうるさいですな。
 あのやかましいのは・・・って、なんだ、ヤネっちですか。

 「オーギー、新情報だよ〜!」

 「ほう、新情報?」

 「・・・俺は無視か」

 「あ、十草とくさくん。いたんだね」

 「はっはは、無視よりヒドいなコンチクショウ」

 うん、大丈夫、いつかはその思いも伝わるさ・・・多分。
 ・・・ちなみにこの十草くん(通称・トクさん)、ただいまヤネっちに絶賛片思い中だったり。
 ただ、本人奥手だしヤネっち気づかんしで、全くもって進展無いんよね。
 しかもオレがそのこと話題にすると、トクさん怒るし。

 「あ、そんなことより、新情報だよオーギー!」

 「ん、それはさっき聞いた。んで、新情報って何?」

 「うん、それなんだけどね。D組の人が、またあの人影を目撃したんだって」

 「へぇ」

 正直、それがどーしましたか、って感じなんですが。

 「あ、さては、それがどーしましたか、とか思ってるでしょ!」

 「・・・このクラスの生徒って、読心術標準装備なんですか?」

 「・・・何のこと?」

 「んにゃ、こっちの話です。お気になさらず続けてくだされ」

 「う、うん。でね、そのD組の人が目撃したって話だけど・・・実は、昨日の夜9時頃に、体育館裏で見かけたんだって」

 「夜9時頃に体育館裏・・・って、え?」

 体育館裏といえば、ちょうどフェンスB周辺なんですが・・・
 ・・・昨日は、体育館前まで行ったんだけれど、全く何事も無かったんでね。
 しょうがないから、どうしても帰るってうるさいチーくんを解放して、体育館に隣接した校舎の3階まで行ったんよ。
 んでもって、そこから、フェンスBと体育館前の入り口をずっと見張ってた、ハズなんだけれど・・・

 「えーと、体育館裏って、フェンスBのとこ?」

 「そうそう、昨日オーギーと見張ってたところだよ。ね、おかしいでしょ?」

 ・・・見逃してた、ってことはないと思う。
 2人で談笑してたんならまだしも、あくまで見張ってたんですから。
 それに、噂の人影は見つからないように気をつけてるかもしれないけれど、そのD組の人はそんなこと気にしてないハズだし。

 「それにね、その人影っていうのが・・・浮いてたんだって、宙に」

 「浮いてた・・・って、ちょいまち、マジですか?」

 「マジです」

 それって・・・

 「夜中に空飛ぶ人影・・・? ・・・さっきから何の怪談してるんだ?」

 「・・・やっぱ、そう聞こえますわな」

 ん、代弁どうもありがとうトクさん。
 やっと復活しましたか。

 「ん〜・・・オーギー、これってホントにオバケの・・・」

 「や、それはないと思いたいんだけど・・・とりあえず、会ってみますか」

 「会うって、誰に?」

 「決まってんでしょ。その、D組の目撃者だよ」

 色々と聞きたいこともあるしね。
 いざD組へ、レッツゴー!

 「・・・結局俺は放置かい」


・・・・・・


 「すいませーん、コモエちゃんいますかー!?」

 へぇ、D組の目撃者、コモエさんっていうんですか。
 ・・・それにしてもよくやりますな、ヤネっちは。
 他クラスであんなに声張り上げるなんて、並の神経でできることじゃないと思う。
 それとも、女子なら普通なんですかね?

 「き、絹来さん! そんな大声で呼ばれたら恥ずかしいです!」

 ん、どーも違うようで。
 安心しましたぜ。

 「ゴメンね〜、でもそうした方が手っとり早かったから」

 「・・・もーちょっと、別の判断基準を取り入れた方がいいと思うね、オレは」

 「そうかな?」

 「そうだって」

 ヤネっちは、自分が他人と違う神経してるってことを、もう少し自覚すべきだと思う。

 「あの・・・絹来さん、こちらの方は・・・?」

 「あ、コモエちゃん、コレがあの有名な超お助け人、荻之峰おぎのみねだよ。略してオーギー」

 ・・・人をコレ呼ばわりしないでほしいな。
 もういつものことだし、特に何も言わないけれど。

 「ども、なんか有名らしいんで知ってるかもしれんけど、荻之峰 崚夏りょうかです。よろしく」

 「よ、よろしく。皆木みなき 菰江こもえです」

 ふむ、皆木さん、ね。
 んー・・・よし、覚えた。

 「あの・・・荻之峰さんって・・・」

 「ん?」

 「・・・女性、だったんですね」

 おぅ・・・初対面早々、そーきましたか。

 「私てっきり、男性の方だとばっかり・・・」

 「ん、正解。オレ、男ですから」

 「・・・え?」

 「あのね、オーギーは男の子なの。男子制服着てるでしょ!」

 「え・・・えぇ!? ご、ごめんなさい、あまりにも女性らしくて・・・あ、じゃなくて、えと・・・」

 なんか可哀想ですな。
 見てて楽しいけど、止めますか。
 話進まんし。

 「いいっていいって、別に気にしてないから」

 「え、あ、は、はい。ありがとうございます」

 ・・・だー、やりにくい。
 オレの周囲って、こんなタイプの人間いないしなあ。

 「・・・えーとだ、とりあえず、本題に入りますか」

 「本題・・・?」

 「あのね、今日コモエちゃんを呼んだのは、オーギーに昨日のあの話をしてもらうためなんだよ」

 「あ、昨日の幽霊の話ですか?」

 ・・・幽霊、ねぇ。
 それを否定するために話を聞くんだけど。

 「ん、そのとーり。とりあえず、話してくんないかな。できるだけ詳しく」

 「分かりました。・・・昨日私、学校に忘れ物をしてしまったので、夜中に取りに行ったんです」

 「それって、具体的には何時くらい?」

 「黙って聞こうよオーギー」

 「あ、口は挟んでもらって構わないですよ。・・・時間ですか・・・昨日家を出たのが8時半頃で、学校まで30分ほど掛かりますから・・・多分、着いたのは9時前後だと思います」

 ・・・やっぱ、オレたちがいた時間ね。
 そこは間違いなさそう。

 「それで、その時間は校門が開いてないので・・・ええと、生物室裏のフェンスに穴が空いてる、というのはご存じですか?」

 ふむふむ、侵入路はフェンスAでしたか。
 ま、Bの方は出たところが裏山だしね。
 あんまし利用者はいないわけよ。

 「ん、知ってる。で、そこから入ったんね」

 「そうです。それから、特に何事もなく部室まで行って、忘れていたライフルもちゃんと見つかって・・・」

 ・・・え゛?

 「・・・ちょいまち、らいふる・・・って、ライフル!? あのバーンてヤツ!?」

 「そうです。私、射撃同好会に入ってますから。・・・まあ、もちろん殺傷能力のある猟銃などではなくて、ただのビームライフルですが」

 「ビームライフル!? うわぁ、かっこいいね!」

 「・・・いえ、絹来さんの考えているようなものではなくて、銃弾の代わりに光線でポインタする、というだけの銃ですよ」

 うーん・・・てか、射撃同好会って・・・んなもんあったんだ。
 この学校に入学してそろそろ1年半だけど、今まで全く知らなんだね。
 ・・・というかコモエさん、えらく初対面のイメージとギャップがあるのですが・・・?

 「あー・・・と、とりあえず、続きお願いしまーす・・・」

 「はい。・・・それで、忘れ物も見つかったのでそのまま帰ろうとしたのですが、そこで飯原先生に見つかりそうになってしまいまして・・・」

 飯原先生っていえば、我がクラスの担任ね。
 そう、学校に忍び込んだときに見つかりそうになったあの先生。

 「やはり見つかるとよくありませんので、体育館の裏をまわっていったのです」

 「そこで・・・遭遇した、と」

 「はい。ちょうどフェンスと体育館に挟まれて、道が細くなっているあたりで」

 つまり、フェンスBの目の前・・・ちょうど昨日見てたところじゃんかね。
 ・・・誰も通らなかったハズなんだけど。

 「いきなり出てきたの?」

 「いえ・・・あの場所を通っているとき、突然、周囲が少しだけ明るくなって・・・」

 へぇ、明るくなった・・・?
 興味深いですな。

 「私、月でも出たのかと思ったので、上を見上げたんですよ。そうしたら・・・空中をゆっくりと歩いていく影が、見えたんです。なんだか流されてるみたいな感じでしたけど、よく見れば、一歩一歩しっかり歩いてるみたいにも見えました」

 「流されるように、でもしっかりと歩いていく影、ね。どっちからどっちに?」

 「フェンスの上を、向かって左から右へ・・・です」

 「ふーん・・・あとさ、その影って、真っ黒なアレ? もしくは暗くて顔のよく分からない人とか」

 「ええと、地面に伸びてるような真っ黒な影で、その割には妙に立体感がありました。けど・・・その影は、しばらくして急に消えてしまったんです。そして、よく分からないままもう少し進んだら、いつのまにか周りも元の暗さに戻ってて」

 「それで終わり?」

 「はい、そのまま、あとは何事もなく家に帰りました」

 ふーむ・・・なるほどね。
 簡潔にまとめてみれば、学校に忘れ物を取りに行った帰り、空中を歩く謎の人影に遭遇した、と。
 ・・・人間って空中歩きましたっけか。

 「はあ・・・なんか、謎は深まるばかり、って感じですな」

 「・・・オーギー、ここで悩んでてもしょうがないし、現場に行ってみようよ」

 「ん、それがいいかもね。・・・皆木さんも来る?」

 「私も興味あります」

 「よし、んじゃあ・・・あー、放課後にもう1回集まろっか」

 いやあ、実は、もうそろそろ昼休みが終わるんよ。
 時間に厳しく束縛されてるあたり、人間の悲しいところでありまして。
 ・・・さて、あと3時間、頑張りますか。


・・・・・・


 昨日見てたのは・・・このくらいの位置かな。
 はい、ご察しの通り、ただいまオレは例の校舎の3階に来ております。
 実はフェンスBのところが見えてなかったんじゃないか、ってことになったんで、今から実験するわけね。

 「よし、準備オッケー!」

 「りょーかーい! それじゃコモエちゃん、レッツゴー!」

 「わ、分かりました」

 ・・・ん、歩いてきましたな。
 って、普通に見えてますが。

 「見えてますぞー!」

 「りょーかーい!」

 んー、特に目隠しになりそうなモノもないし・・・
 暗かったから見逃した・・・?
 ・・・んにゃ、体育館裏っていつもぼんやり明るいし、何か動いてるモノがあれば分かるはず。
 だー、わけわかんねー

 「コモエちゃん、人影ってどのあたりを歩いてたの?」

 「ええと・・・2階ぐらいの高さで、荻之峰さんよりもう少し向こうを歩いてました」

 「んー・・・あの排気溝の向かいあたり?」

 「はい、あのくらいの位置です」

 2階のあの位置は・・・確か宿直室だったかな。
 今では、遅くまで残る先生の休憩室として使われてるはずだけれど。
 ・・・後でちょっくら行ってみようかね。
 あれだけ近けりゃ、昨日残ってた先生のうち、誰か1人ぐらい見てる人いるかも知んないし。

 「オーギー、他に何かないー?」

 「ん、もう聞くことは聞けたんじゃないかな。オレはもう1カ所、気になるところまわってくるけど、ヤネっちは帰ってていいぜよー!」

 「・・・ぜよってなに? ・・・じゃなくて、行く! 私も行くよ! じゃね、コモエちゃん!」

 「あ、さ、さようなら・・・」

 ん〜・・・まあ、来てもらって邪魔になるわけじゃないし、別に構わないけれど。
 それより、次に目指すは・・・この時間なら、職員室、かな。
 飯原先生なら、昨日も宿直室に行ってたはずだし。
 そんじゃ、行きますか。


・・・・・・


 「何かと思えば・・・昨日の夜に、変わったことがなかったか、だって?」

 「そうです。先生って、昨日、宿直室に行きましたよね?」

 「ああ。お前たちを見つけたのも、あそこから出てきた直後だ」

 「じゃあその後、もう一度宿直室に戻りましたか?」

 「いや・・・昨日はそのままやること全部終わらせて帰ったぞ。晩飯は家で食いたかったしな」

 ・・・今のところ、収穫無し。
 人影出現時、飯原先生は宿直室にいなかっみたいだし。
 あとは・・・

 「先生。昨日、先生の他に、宿直室にいた先生っています?」

 「他に? ・・・そうだな、グラウンド工事の関係で、教頭先生も残ってたぞ」

 「グラウンド工事? そんなのしてたんですか?」

 「ああ、昨日の夜だけなんだがな。暗くなっても運動系の部活ができるよう、ナイター用の明かりを設置していたんだ」

 ・・・あー、そういえば昨日体育館前まで行ったとき、グラウンドの方になんか建ってましたな。
 あれ、ナイター用の電灯だったんね。

 「へえ、私、全然気づきませんでしたー」

 「できるだけ生徒に迷惑を掛けないように、という方針だったからな。モノは別のところで造っておいて、昨日の晩に建てるだけしてもらったのさ。ついでに試験点灯も済ませておいたから、今日から運動部で使えるってことだ」

 「んー・・・まあ、オレたちにはあんまし関係の無い話ですけどね」

 イエス、アイアム帰宅部であります。
 運動とかは、そんなに好きじゃないんで。
 ・・・というか、うちの高校、男子が入れる文化系の部活ほぼ皆無だし。
 入学早々、吹奏楽部とパソコン研究部がオール女子だということを知って、かなりビックリした記憶があるかんね。
 ちなみに残りの文化系クラブなんて、華道部と裁縫部と料理部で、部員男女比は推して知るべし、ってな感じであります。

 「オーギー、他に聞くことあるかな?」

 「ん、もういいと思うよ、ヤネっち。・・・先生、ありがとうございました」

 「ありがとうございましたー」

 「・・・何がなんだかよく分からないが、どういたしまして」

 さーて、お次は教頭先生のところにでも行きましょうかね。
 ま、あんまし期待はできないんですけど。


・・・・・・


 ・・・カン

 「あのさー、これもう、幽霊が出たー、で良くない?」

 ・・・コン

 「“幽霊フェンス潜り”、か?」

 ・・・カン

 「もーいいよ、“空飛ぶ影の妖怪フェンス潜り”で」

 ・・・コン

 「いつの間に、幽霊から妖怪に転職していたんだ?」

 ・・・カン

 「どっちゃでもいーです」

 ・・・コン・・・カン・・・ゴトン

 「あうち、しまった」

 「そんな注意力散漫な状態じゃ、俺には勝てないぞ」

 なぬ、ゲーセンのエアホッケーごときで、何を偉そうに。
 ・・・ま、注意力散漫は認めますがね。
 あの人影のことが、もう気になって気になって・・・

 「・・・お前な、気晴らしに来たんじゃなかったのか? なんか目が死んでるぞ?」

 「まーねー。教頭先生からもさ、全くもって有益な情報が得られなかったんよ。んで、なんか頭痛くなってきたから、チーくん誘ってゲーセンにでも行こうかと」

 「お前の憂鬱に俺を巻き込むな」

 「気にしない気にしない」

 ・・・てかさ、どーせ放っといてもここに来るでしょチーくんは。
 このゲーセンマニアめ。

 「・・・あ、見つけたぞ! おトヨ、こいつらだこいつら!」

 「へえ。ゲインでケイトに勝ったってのはどっちや?」

 「デカい方だ。ちなみにもう一方は高校生男子らしいぜ」

 「う、マジかいな!? かわいい娘や思っとったのに・・・」

 ・・・なんですかあの急に失礼な2人組は。
 しかもケイトって呼ばれてた方、なんとなく見覚えが・・・

 「あ、昨日のヤンキーか、お前」

 「あー思い出した、あの意外に良い人な不良ね」

 「・・・ケイト、お前昨日何してんや?」

 「・・・ゲインで惨敗して思わずキレそうになったら、何故か逆ギレされた」

 「お前がオレのこと子供扱いしたからでしょーが」

 「・・・子供扱い、って・・・」

 何故そこでジト目になるかなエセ関西弁。
 ・・・そしてチーくん、さりげなく同調してんじゃないですよ。

 「・・・で、なんの用だ、ニセ不良」

 「ニセ不良じゃねぇよ。・・・別に、テメェら探してたってわけじゃねえ。普通にゲーセン来てただけだ」

 なるほど、チーくんと同じゲーセン常連者ですかこの人。
 んじゃあ、エセ関西弁もゲーセン仲間かね?

 「そうか。それなら、別に用は無いよな。また・・・」

 「・・・いや待て、リベンジだ。テメェ、もう1回ゲインで勝負しろ」

 「リベンジか・・・別に構わないぞ。最近手応えあるのが少なくて、退屈してたところなんだ」

 ・・・あのー、おーい、お二方〜・・・
 ・・・・・・
 あー・・・行っちまったぜぃ・・・
 好きだねぇ、ホント。

 「行ってもうたなぁ。・・・そやお前、なんかせえへんか? ただあいつら待っとくってのもなんやろ」

 「・・・いいね。レースゲームできる?」

 「任せとき、得意中の得意分野や」

 「わぉ、奇遇。オレもだよ」

 ま、せっかくなんだし、存分に楽しませてもらいましょーか。


・・・・・・


 「まだ俺の方が強いけど、うかうかしてられないな。あれはまだまだ強くなるぞ。・・・それに、あの乙寄おとよりってのも、なかなかのやり手だったし・・・」

 うーむ、どうもチーくんはご満悦だったようで。
 そんなに楽しいもんかね、格ゲーって。

 「・・・それよりオーギー、気は晴れたか? レースゲームやってたんだろ?」

 「そーそ、あの人もかなりうまかったですなあ。・・・して、チーくんよ」

 「なんだ?」

 「乙寄って・・・誰?」

 そんな人いたっけ?
 あんまし記憶にござらんが・・・

 「おいおい・・・あの関西弁のヤツじゃないか、お前とレースゲームやってた」

 「へぇ・・・知らなんだ」

 「あれだけ一緒に遊んでたんだ、名前ぐらい聞いとけ。・・・ちなみに、もう1人のニセ不良の方は、琴野ことのって名前だぞ。」

 なるほど。
 おトヨって呼ばれてたのが乙寄で、ケイトって呼ばれてた方が琴野ね。
 あのニセ不良、下の名前がケイトなんでしょーか?

 「・・・いやあ、チーくんはそーいうところしっかりしてますなあ」

 「お前がボケッとしすぎなだけだろ」

 ・・・失礼な。
 多少認めざるを得ないところはあるけれど、失礼な

 「・・・で、これからどうするんだ、オーギー?」

 「ん、今日も学校に忍び込んでみようかと。チーくんも来る?」

 「いや、めんどくさい」

 ・・・あっそ。
 即答ですかい。

 「たまには違う返答を期待する。以上。・・・んじゃ、オレはヤネっちでも誘って行ってきまーす」

 「行ってこーい・・・じゃなくて、その前にひとつ」

 「ん?」

 「影ってのは、どこかに映るもんだよな」

 「・・・はい?」

 「・・・いや、なんでもない。そんなに気にするなよ。んじゃな」

 え、あのー、チーくん?
 ・・・・・・
 ・・・行っちまったぜい。
 一体なんだったんでしょーか・・・?

 「・・・えー、あー、気を取り直しまして・・・と。とりあえず、ヤネっちの家にでも行ってみますか」

 どーせヒマ持て余してるはずだし。
 ・・・ん、携帯使えばいいじゃないか、ですと?
 はっはっは・・・んなもん持ってませんがなにか?
 どーせオレなんて時代遅れですよーだ!
 ・・・・・・
 なんか疲れてきた。
 とっとと行きますかね〜・・・


・・・・・・


 「えっ、オーギー、今日も行くの!?」

 「ん。ヤネっちも来る?」

 「うん、行く行く! ちょっと待っててね、すぐ用意するから!」

 ・・・はじめは驚いてたクセに、ついて来るって決断は一瞬でしたな。
 夜の学校なんて、そんな楽しいもんではないと思うんだけれど。

 「お待たせ、用意できたよ!」

 早っ!
 普通、女子の用意って結構時間掛かるもんじゃなかったっけ?
 それを見越して早めに来てたんだけど。
 これじゃ、まだ明るいうちに学校着いちまいそうですな。
 ・・・ん?

 「あら、ヤネっち。何故にスカート?」

 「昨日は動きやすい服装で行ったけど、あんまり意味無かったんだもん」

 「だからって、そんな暑そうな格好しなくても・・・」

 「・・・みんなー、このアホなんとかしてよ〜」

 アホとはなんだアホとは。
 あとみんなって誰ですか。

 「えーと・・・何が悪かったんでしょうか、ヤネっち様・・・?」

 ・・・とか何とか心の中では文句言いつつも、結局低姿勢なオレだったり。
 なんかヤネっちには逆らえんのよね・・・
 こらそこ、情けないとか言うな。

 「うーんとね・・・かわいいって言ってくれなかったこと・・・かな?」

 「ん、かわいいよ」

 「・・・あぅ・・・不意打ち・・・」

 「あら、ヤネっち?」

 「・・・・・・」

 あのー・・・何故そこで固まりますか?

 「おーい」

 「・・・・・・」

 ・・・反応無し。

 「・・・置いて行きますよー」

 「・・・えっ、い、行くよ! 置いてかないで!」

 「はいはい」

 ・・・なんなんでしょーかね、これは。
 まだ行ってもいないのに、メンタルな部分が疲れてきましたぜ・・・


・・・・・・


 「あれ、まだ明るいよ」

 「ちょっと時間予測を間違えたんでね。まあ、おかげで正門から堂々と入れるわけだけれど」

 ・・・お、この時間だと、まだグラウンド走ってる人たちもいますな。
 なるほど、もう少しして暗くなれば、あそこに建ってるヤツが光るわけね。

 「もう1回、昨日の場所に行ってみるの?」

 「・・・ん、オレはそーするよ。でもヤネっちは別の場所」

 「え、どこ?」

 「フェンスBのところな。またあそこに出るかもしんないけど、3階からじゃ見えない可能性が大きいでしょ。だからヤネっちはあそこで見張って、オレがヤネっちと体育館入り口を見張っておく作戦ね」

 「ん、りょーかいしましたー!」

 返事がよろしい。
 チーくんとは大違いですな。

 「んじゃ、レッツ見張りと行きますか」


・・・・・・


 「・・・オーギー、何か見える〜?」

 「んにゃ、なーんも見えん。そっちは?」

 「こっちもだよ〜」

 ぬうう、やっぱし収穫はゼロ・・・
 とはいえ、まだグラウンドの方には微かな太陽光が差してる時間帯なんで、見張りはこれからが本番。
 ま、校舎のこっち側は、すでに真っ暗闇なんですが。

 「・・・お、ヤネっち、日が沈みますぞー」

 「ホントー? ・・・っていっても、もうこっちは真夜中と変わらないけどね〜」

 ま、そりゃそうなんだけれど。
 やっぱ、沈みゆく夕日って良いですな〜・・・
 ・・・ん?
 このモヤっぽいのは・・・真下の宿直室ですか。
 誰かが中でお湯でも沸かしてるんかね。

 「あ、なんか霧みたいなのが出てるね。オーギー、そっちから私見える?」

 「ん、多少モヤが掛かって見えにくいけれど、動いてる人影を見逃すほどじゃないと思う」

 それにしても・・・湯気って意外と黒く見えるもんですな。
 暗闇でも白く浮かび上がるようなイメージあったけど、実際は景色にとけ込んでしまって、はっきりとは見えないんよね。
 ・・・と、湯気見てたら、いつの間にか真っ暗になってましたぞ。
 そろそろあのライトがつく頃・・・

 「・・・お!」

 おお、グラウンドの方がなんか明るくなりましたな。
 ・・・んでも、角度のせいでここからじゃいまいち明るさは分からんね。
 そうと思って見てないとスルーしてしまいそうな・・・

 「お、オーギー! で、ででで・・・」

 「・・・で?」

 「で、出たよ、人影っ!! しかもいっぱい!」

 「なっ!?」

 ちょいまち、ちとばっかし早すぎるんじゃないですか?
 昨日出たのは夜9時過ぎっしょ。
 今はまだ8時前・・・って、えっ!?

 「や、ヤネっち!? どこ行きましたか!?」

 「え、どこって、私まだここにいるよ!」

 「ここって!? さっきのところ!?」

 「う、うん! そうだけど、どうしたのオーギー!?」

 ・・・ヤネっちが、見えん。
 フェンスとかは微かに見えるのに・・・
 ・・・ん?
 さっきから視界を遮る白い影・・・
 もしかして、これは・・・

 「・・・なーる、モヤに光が反射して、暗いところがはっきりと見えんのな・・・」

 つまり昨日も、宿直室から出る湯気で、下がハッキリとは見えなかった、と。
 しかも、なまじ周囲が薄明るいせいで、多少の変化には気づけないってわけですか。
 皆木さん見逃したのも、多分このモヤのせいだね。
 ・・・あ、それなら、もしかして・・・

 「ヤネっち、そのたくさんの人影ってさ、もしかして宿直室の湯気に映ってるんじゃない?」

 「え、湯気? ・・・あ、確かに、言われてみればそう見えるかも・・・」

 よし、宙に浮く人影の謎は、とりあえず解明、かな。
 端的に言えば・・・宿直室から出る湯気がスクリーン、ナイター用の明かりが投影機の役割をしてたってこと。
 やっと、チーくんの言ってたことの意味が分かりましたよ。
 確かめれば分かることだけれど、おそらく昨日の試験点灯は夜9時前後だったはず。
 それによって映し出された影が、皆木さんの見たモノの正体ってわけね。
 しかも、立体的に広がるモヤに映ってるせいで、影に奥行きがあるかのように錯覚してしまっていた、と。
 んでもって、今ヤネっちが見ているたくさんの人影っていうのは・・・

 「ヤネっち、その人影の正体、分かったぞい! 多分、グラウンドで走ってる人たちの影だよ。あの明かりに照らされてんじゃないかな」

 「え・・・あ、ホント、そんな感じだけど・・・でも、ここからじゃグラウンド見えないよ?」

 「角度の問題でさ、ちょうど人影の映ってる高さにしか、光が直接届かんの」

 「へえ〜、なるほど」

 ・・・ふう、これで、宙に浮く人影問題は解決、なんですが・・・
 実は、まだ元祖人影の方が一切解決してないんよね。
 うーむ、やっぱりもう少し遅い時間まで待ってみて・・・

 「・・・あれ? オーギー、ちょっとおかしいよ」

 「オレは元から変人ですが何か?」

 「えと、オーギーが変人なのは昔から知ってるけど、今はそっちじゃなくて」

 ・・・失礼な。

 「コモエちゃん、ちょうど宿直室の向かい側、って言ってたよね。でも、今映ってる影はもっと左側なんだよ。なんか、おかしくないかな?」

 「んー・・・」

 それは確かに・・・気になりますな。
 どーせ、廊下歩いてた我らが担任あたりの影だろうと思ってたんだけれど・・・
 よくよく考えてみれば、それじゃフェンスに向かって横に歩く影はできんのよね。
 そーなるとグラウンドあたりで走ってる人ぐらいしか思いつかんけど、ヤネっちいわく位置が全然違うらしいし、そもそもあの時間にグラウンド走ってるよーな物好きもそうそういないっしょ。
 うーむ・・・向かってもっと右側ってことは・・・もっと体育館寄りの方向かね?
 でも、あの方向には体育倉庫があって、その向こうは見えな・・・あ。

 「ヤネっち、見張る場所変えるぞい」

 「え?」

 「多分、あの人影の主がいたのは、体育倉庫の入り口あたりなんじゃないかな。それが絶妙な角度で、宿直室の湯気に映ってたんよ」

 「あ、そっか・・・体育倉庫はちょっと奥まってるから、オーギーのところからじゃ見えなかったんだね!」

 「ん、そのとーり。ということで、見張る場所を変更・・・」

 「私、先に行ってるよ!」

 ・・・って、おーい、ヤネっち?
 ・・・・・・
 あらら、行っちまいましたか。
 1人で先に行ってどーするんね。
 しかもスカートだというのに、速いこと速いこと。
 ・・・だーもう、早く追いつかねば。


・・・・・・


 「うっし、到着っ!」

 こ、こんなに本気で走ったの、おそらく生まれて初めてですな・・・
 ・・・と、急いで来たのは良いけれど・・・ヤネっちはいずこに?
 てか、先に行っておく、って、一体どこ行くつもりだったんでしょーかね。

 「おーい、ヤネっち〜」

 ・・・返答無し。

 「おぉーい、やぁねっちー」

 ガンガン!!

 「ーぃうわお!?」

 なんですかいきなりこのドアは!?
 ドンドンうるさ・・・い・・・?
 ちょいまち、これって確か体育倉庫のドアよな。
 中に誰かいる・・・?

 「・・・ヤネっちー・・・?」

 ガンガンガン

 やっぱり、こん中にヤネっちがいるっぽいですな。
 でも何故に?
 うーむ・・・まさか、校内をうろつく怪しい人影に捕まり、閉じこめられてしまった・・・とか?
 うわ、なんかメチャクチャ有り得るんですが・・・
 ぬうううう・・・
 ・・・と、とりあえず、入ってみれば分かることじゃんかね!
 突入っ!!

 「ヤネっちーっ!!」

 「ん、オーギー?」

 「よしっ、無事確認!」

 「え、わ、わわわわわっ!!? 顔が、顔が近いよっ!? ・・・ちょっ、手、背中、あぅぅ・・・」

 「・・・何やってんねん、お前らは」

 ・・・ぬ。
 倉庫の奥に、怪しい男を約1名確認・・・

 「・・・ヤネっちをここに引っ張り込んだのは・・・貴様かぁ・・・」

 「・・・そ、そうやけど」

 ・・・自ら白状するとは、なかなかに見上げた根性じゃぁないですか・・・
 それに免じて、8分の23殺しで我慢しといてやろうっ!

 「てやぁっ!!」

 「ぬぉわっ!? ま、待ち、なんやねん!?」

 ち、今の拳を紙一重でかわすとは・・・
 しかし、こいつは受けきれるかっ!!

 「とりゃっ、せいりゃぁっ!!」

 「おっと、ってのわっ! ちょい待てや、話し聞いて・・・」

 「問答無用っ!」

 ・・・今の2連撃すら受け流すか!
 ならば・・・これでどうだっ!!

 「でぇいやあああ・・・」

 「オーギー、ストップ!」

 「・・・あぼぅっ!?」

 ・・・ヤネっちよ、不意打ちの足払いは卑怯ですぜ・・・
 つか、何故に攻撃されたんでしょーか・・・?

 「ん? おい、おトヨ。こいつどっかで見たことあるぞ?」

 「なんやったっけな・・・って、あ、夕方にゲーセンで会った、男女ならぬ女男や!」

 「・・・あれ、乙寄さん、オーギーと知り合いなの?」

 「ん、そやな・・・知り合いっちゅうか・・・まあ知り合いか」

 「むしろ、俺の場合は腐れ縁だな」

 ・・・えーと、これ、どーいう状況・・・?
 わけわかんねー・・・


・・・・・・


 「ははは・・・つまり全てオレの勘違いだったとそういうわけですかみなさんどうもゴメンナサイいやもう死のう」

 「お、オーギー・・・? ・・・死んじゃダメだよ〜?」

 ・・・まあ、ヤネっちがそう言うのならば仕方ない。
 この恥は自身の消滅のみでしか消し得ないかと思ったけれど、何とか頑張ってみよ・・・

 「いや、まあさっきはエエモン見せてもろうたし、めっちゃおもろかったから別に・・・」

 「んー・・・よし、消えよっか」

 「オーギー、はやまっちゃダメだよ! 乙寄さんも余計なこと言わないで!」

 「す、すまん」

 あはは・・・疲れた・・・
 ほんっとに疲れましたよ・・・
 ・・・いや、ね。
 もうご察しの通り、人影の正体はあのエセ関西弁でしたわけで。
 実はヤツ、大の格闘技好きなんだとか。
 んで、学校に許可もらって、夜の7時から8時まで体育館借りてたらしいんだけれど・・・

 「やっぱ、1時間じゃ足りへんからなあ」

 「んじゃあ、何故もっと長く借りんのよ」

 「こう見えて、俺も一介の大学生やからな。1時間借りるだけでもカツカツや。やから最近、もうちょっと長く借りれそうなところ探しててん」

 ・・・つまるところ、コイツ、1時間じゃ足りんとか何とかで、学校に秘密で体育倉庫使ってやがったらしいんよ、8時から9時頃まで。
 で、もう言わずとも分かるとは思うけど・・・
 9時過ぎに体育倉庫出た関西弁がもし誰かに出会えば、やましいところがあるもんだから、逃げる。
 んでもって正門はもう閉まってるからフェンスAに向かって、もしそこで誰かに出会えば以下同文。
 はい、こうして不審な人影いっちょ上がり、と。

 「まったく、だーから俺はとっとと帰れって言ったろが」

 ・・・ちなみにこちらのニセ不良は、いつも8時に帰ってたらしいのね。
 やっぱり見た目と違って良識人のようですな。

 「まーま、別に見つかっとらんねんから構わんやないの」

 「たった今見つかったとこだろーが!」

 「・・・そーいやそーやったなあ。・・・いやしかし、絹来ちゃんが飛び込んできたときはほんまビックリしたわ」

 「うん、私もすっごく驚いたんだよ。まさか体育倉庫の中に人がいるなんて思ってもみなかったもん」

 ・・・その割に、俺が着くまでの2、3分でえらく馴染んでませんでしたか?
 うーむ、ある種、ヤネっちの才能かもしれませんな。

 「でや、女男。そーいうわけやから・・・このことは黙っといてくれへんかな?」

 「そうだよ、乙寄さんも悪い人じゃなさそうだし、黙っておいてあげようよ」

 んー・・・まあ、体育倉庫勝手に使うくらい、こっちとしちゃ構わんのだけれど・・・

 「・・・いや、噂が長引くのもなんだし・・・それは無理ですな」

 「え、オーギー!」

 「なんでやねん、別に・・・」

 「まてまて、最後まで話し聞こうさ」

 そう焦りなさんなって。
 全く、せっかちな人たちですな。


・・・・・・


 「はい、以上が今回の事件の全容でしたー。ではチーくん、一言で感想を」

 「・・・考えれば考えるほどアホらしいな。無駄に奇跡的なことが起きて、余計に話がややこしくなっていたりするあたり、特に」

 まーね。
 あのエセ関西弁が体育倉庫を出たのと全く同じタイミングで、ナイター用ライトが試験点灯されるとかいう偶然、普通に考えてほぼあり得ないっしょ。

 「・・・そーいえば、トクさんの言ってた先輩って・・・エセ関西弁のことだったんね」

 「なにが?」

 「いやー、同級生に、格闘技の練習場所探してる先輩がいる、とか聞いてたんだけど・・・」

 「そんな先輩、そうそういないだろうな」

 「だろーね」

 ま、これで一件落着なんですが。
 今回は、なんか精神的に疲れましたなあ・・・
 どうもご苦労さん、主にオレ。

 「あれ、そういえば乙寄の練習場所は、結局どうしたんだ?」

 「あー、それならね。・・・ほら、そこ」

 「そこ・・・って、お前の親父の工場だろ」

 あ、うちの父親は、個人で町工場経営してんのよ。
 ・・・で、ちょっと前から場所が余ってたんで・・・

 「もしかして、工場のスペース貸し出したのか?」

 「そのとーり。あそこなら、一定額で長時間借りれる・・・というか、ほぼタダで借りれるし」

 「へえ、お前にしては考えているんだな」

 ・・・失礼な。
 こう見えて、オレだって結構頭使ってるんよ?
 例えば、1日3回の飯時なんかには脳味噌フル・・・と、この音は。

 「チーくん、メールじゃない?」

 「いちいち言わなくても分かってる・・・と。・・・絹来から、だな」

 「・・・ヤネっちから・・・」

 「内容、聞くか?」

 ・・・まあ、聞かないわけにもいかんでしょうが・・・
 聞きたくないというのもホントのところでありまして・・・
 ・・・・・・

 「・・・なんて?」

 でも結局は聞いてしまうオレだったり。

 「んじゃ、言うぞ。要点だけを掻い摘むとだな・・・“至急、学校裏のフェンスBに集合”、だと」

 ・・・はっはっは・・・

 「「・・・おい」」

 やってらんねー

はい、お久しぶりの銑泉です。
あ、でも、今回ばかりはもしかして、初めましてな方もいるかもしれませんね。
では改めまして。
私、久乃 銑泉というしょぼくれた物書きであります。
銑泉は「さねもと」と読みます。
決して「せんせん」とは読みませんので、よろしく。
・・・・・・
さて、以下後書きです。
もう知ってる方は知ってると思いますが、この作者、後書き大好きです。
思う存分書き殴ります、しかも色々と無視して。
そんなもんでも読んでやるぜ、という勇気120%な方は、この先にお進みください。
ではでは。

・・・・・・

はい、書きますよ〜、後書き。
まずですね、この作者、元々ファンタジー書きであります。
よーするに、頭ん中にはファンタジーな世界が限りなく無駄にスペースをとって広がっている、てなワケです。
・・・はい、引きましたね、存分に引いてください。
そしてあきらめて戻ってきてください、お願いします。
・・・んで、ですね。
そんな作者の書いたこの話、恐ろしいことに・・・ファンタジー要素がありません。
ええ、ありません。
出だしのアレは何なんだとかいう意見は当たり前のように封殺して、はい、次に進みます。
で、この作者、ファンタジーが書きたいんです。
ココロの奥底で。
それなのにミステリーなんぞというモノを書くことになって・・・
・・・それでまあ、結局どうなのかといえば、詰まるところこの話の構成がファンタジーだと言いたいだけなのですが。
それにしても、慣れないモノ書くのって大変ですね〜
初めての分野なんだし、と珍しくプロットなんぞというモノを作ってみたは良いものの、いざ書き終わってみれば・・・何これ、違う話・・・?
うーむ、もーちょっといろんなジャンルを書いてみなくては。
あと、少しで良いから物語を制御する能力が欲しい・・・
私の作品、毎度一人歩きが早すぎるのです。
コイツなんか、生まれて3秒で斜め45°に全力ダッシュ開始してましたし。
作者はタダ引きずられるばかり・・・(泣
・・・こちらも早くなんとかせねば。
他の参加作品見てみて自信を無くし、なんだかネガティブにはしる私であります・・・
・・・・・・
最後にひとつ。
コイツを数週間で仕上げるために、「剣と魔法と世界と箒」は完全にストップしてしまっておりました。
いつも読んでくださってる方(いますよね? いないとめっさ恥ずかしいんですが)、どうもご迷惑をおかけしました。
なるたけ早く執筆再開しますので、後もう少しだけお待ちください。
よろしく。
・・・・・・
最後に・・・って、アレ、さっき言ったっけ?
まあいいか。
さて、この物語を読んでいただいた皆様、どうもありがとうございました。
読んでくださる方がいるおかげで、物語の作者は筆(私の場合は指か)を動かし続けることができます。
これからも読み続けてくだされば、作者にとって至福の極みであります。
クドいようですがもう一度、どうも、ありがとうございました。
それでは。

・・・・・・

2009/6/3

久乃 銑泉
(電波の繋がらん地下鉄で悪戦苦闘しつつ、これを記す)

この小説は『犯罪が出てこないミステリー企画』に参加しています。
是非、他の作品も読んでみてください。
◎一部紹介◎
・名野創平さん『冬の密室とサンタクロースの鍵
・羽村奈留さん『プリン』『占い師アルシオネ

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