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プロローグ
 その中には気が遠くなるほどの絶望が詰まっていた。
 絶望はやがて世界中を埋め尽くす。
 病、飢饉、異常気象、戦争、感情の爆発、人間が思いつく限りのマイナスイメージは全てその小さな箱の中に入っていた。
 今、この地球上に生きている人間には想像がつかないであろう。
 人類が長い歴史を経て、それなりに機能している平和の名の下に生活している世界には、未だ絶望が溢れている事に。
 絶望が、溢れていた事に。
 しかし人間は、人間は悲しんではいけない、諦めてもいけない、喜んでもいけない、足掻いてもいけない、何もしてはいけない。何も考えずに苦しめばいい。
 誰が開けたのかその箱を。誰が創ったのかその箱を。
 人間は、遠い昔の神様の怒りを今も受け続けている。これからもずっと受け続ける。
 しかし人間は、人間は悲しんではいけない、諦めてもいけない、喜んでもいけない、足掻いてもいけない、何もしてはいけない。
 ただ待つ事しか出来ない。最後に残った箱の中身を待つ事しか出来ない。

「パンドラの箱」

 人類にとっての悪意と絶望を吐き出した箱。
 最後には希望が残っていると言われる箱。
 世界には、最後の希望が残っている。
 ならば待とう、最後の希望を。


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