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JACK+ グローバルネットワークへの反抗 (レジェンドチームⅠ) 作者:sungen

スクール編

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第3話 自決 (前編) -1/3-

-登場人物-
挿絵(By みてみん)
サク・ハヤミ(17)…主人公。二代目JACKと呼ばれる若き天才ブレイクダンサー。黒髪ショート、キツイ目つき。服装は全て黒。キャップ愛用。漢字だと速水朔。日本人。左から二番目。
レオン(24)…茶に近い髪色。背が高い。イケメン。一番右。
ノア(16)…金髪碧眼の美少年。肩くらいの巻き毛。首の後ろで髪を結んでいる。ハヤミとほぼ同じ身長。ベスとは恋人同士。
ベス(20)…紅一点。赤髪、金に近い目。髪型はつまり新妻エイジ。背も高めでスタイルも良い。
『何で、真面目にやらないんだ!』
『かわいそうに』



速水はアラーム音で目を覚ました。
「ハァ」
目が覚めると同時に、溜息を付く。

今日は木曜日だ。

今、この世界が現実。これはこれで気が重たい。
しばらくすると隣のベッドで、レオンが目を覚ました。アラームを止める。

速水はあきらめて起き上がる。薬は抜け、体の調子は良いようだ。
「おはよう。ハヤミ。調子はどうだ?」
レオンはもう着替え始めている。
「普通。そう言えば、着替えってどうしてる?貰えるのか?」
速水は聞き忘れていた事を聞いた。
昨日はとりあえずレオンの服を借りて寝た。
「ああ。そのうち世話役が勝手に見繕って持ってくる。ダンサーがダサくちゃ駄目だって方針みたいだ。踊ってると、ズボンも靴もすぐ悪くなるからな…」

聞きながら、速水はとりあえず昨日の服を着た。

「さあ、行くぞ。初め慣れないと思うが、まあがんばれよ」
そんな会話もそこそこに、二人は部屋を出た。

部屋の外には、白い廊下が続いていた。片側に幾つかの部屋がある。
天井に電灯が埋め込まれていて、窓は無い。
ぞろぞろと、部屋から人が出て来る。
他の部屋は…何故かどこも一人部屋のようだった。危険回避のためだろう。
明らかに、精神的にやばそうな奴が何人かいる。

「あら、新入り?」「キャシー」
速水を見て声を掛けたのは女だった。レオンが答える、愛称はキャシーと言うらしい。

速水は特に言う事もないので一別しただけだった。女性は肩をすくめた。
「人見知りか?」
レオンが言う。
「別に」
速水はそれだけ言った。


角を曲がり、そこにあった階段を上がる。
便宜上の二階は硝子張りの部屋があって、トレーニングジムのような感じだった。
「サク・ハヤミ」
入るなり、名を呼ばれた。
速水はそちらを見て――ぎょっとした。

「エリックと申します。私があなたの世話係です。以後お見知り置きを」
…何でパンストを被っているのだ、この男は!

「エリック、今日もスーツ決まってるな!」
レオンは、やたらガタイの良い男の『スーツ』を褒めたが…、もっと別に言うとがあると思う。それとも慣れか。エリックは元々は端正な顔立ちだとは思うが…金髪がつぶれている。

「ええ。どうも。レオン。ハヤミ。カードをここにかざして下さい」
速水はレオンに言われて持って来ていたカードを、機械にかざした。
これで電源が入る仕組みらしい。
「―走りながら目を通して下さい。今日のあなたのスケジュールです」

仕方無いので言われた通り、速水は走りながら書類に目を通した。
この後の移動経路などが書かれていた。

設定は十キロ、走り出すと数字が減っていく仕組みのようだ。
ランニングマシンは二十ほどあり、マシンの間隔はやや空いている。
隣同士、声を上げて雑談している者もいれば、付属のイヤホンで音楽を聴いている者もいる。

個別ワークと、複数、全体ワーク。
「一つステップが終わるごとに、書かれた番号の部屋へ移動して下さい。食事は一日三回。最上階のカフェテリアで。指定時間が過ぎた場合は片付けられます」
「ん」
朝食は二十分、昼食は三十分。夕食は一時間…。
今日、速水はすべて個別ワークだった。

「各スペースに内線がありますので、ご用の際はそちらを。総合に繋がるのでエリックを出せこの豚野郎と言って下さい」
「わかった」
速水は普通に呼び出すと決めた。
「冗談の通じない方ですね。では私はこれで」
エリックは去って行った。

速水は書類をとりあえずメーターの上に置いて、ひたすら走った。
あまり体力を使うのもどうかと思ったので、ペースは上げない。

「ふう。じゃあお先に行くね」「がんばってね」
ノアとベスが同じタイミングで走り終え。
「まあ、始めだしな。先食ってる」
レオンも去って行った。

「ふう…」
ようやく速水が走り終えた頃、まだ5名が残っていた。
速水よりかなり年下の子供、男性、老人。明らかに様子のおかしい者。女性。
速水はそこを立ち去った。

最上階は、意外にも自然光にあふれた広いスペースだった。
周囲は硝子張りで森の中だ。速水は地上の光を久々に見た。

…この建物はやはり地下がやたら深い。そして横にも広い。
マップを貰って驚いたが、地下五階まである。

一番下、便宜上の一階があのビジネスホテルのような部屋。
その上の二階A室がランニングルーム。隣にはB室と書かれている。
その他の階には残りのCから順にアルファベットがついた小部屋が幾もある。部屋の説明は無い。

が。四階の五つの大小の部屋が、ペナルティルーム…懲罰室だというのはしっかりと書かれている。
そして最も地上に近い階には何も書かれていない。運営のオフィスかもしれない。

「お、来た。どうだった」
レオンが言った。
「疲れた」
エレベーターを降りた速水は正直に言った。
…ジャックに言われてランニングはしていたが、十キロは走らない。
「大丈夫?」「あ、朝食はそこから一つ取って」
ノアとベスに言われ。
「さあ」
とノアに答えながら、速水はトレーを取って、ノア、ベス、レオン。それと少し離れてキャシーが着いた長いテーブルに座った。
テーブルは、二十人掛けが三つ。

「キャシーだっけ。よろしく。―頂きます」
言って、とりあえず時間も無いので、速水は手を合わせてから食べ始めた。
サンドイッチ、ジュース、オレンジ。
「無愛想なのね」
キャシーは苦笑した。
「ほら、日本人だし、シャイなのさ。ああ、スポーツドリンク、毎日一本貰えるから貰って来いよ」
レオンが言う。移動時や、ワーク中の休憩時間なら、飲んでも良いらしい。

「レオン」
速水が立ち上がり、口を開いた。
「ん?」
「先に言っとく。もしペナルティになったらゴメン」
速水は正直危ぶんでいた。
日本人である速水は射撃なんてした事無いし、ダンスレッスンに関しては、未知数。
「まあ…、今日は軽い方だし、いや、うーん、…まあ頑張ってくれ…」
レオンは複雑そうな顔をした。

冷蔵庫からドリンクを取って戻る。良く冷えている。

「メニューにもよるんじゃない?ハヤミちょっと見せて」
ノアが脇に置いてあった書類をめくった。
「この、B-10って何だ?」
読んでも分からなかったので速水は尋ねた。
「うわ。お前そっからか…、やばいな」

レオンが言うには、アルファベットはダンスレッスンの種類で、Bはブレイクダンス。頭文字が合っているのは偶然らしい。
射撃はそのまま英語で書かれ、その後ろに1とある。
1から始まって、レオンが今15。そして15が最高ランク。

「得点が700ポイントでクリア。1000ポイントでランクアップ。クリア出来ないと、ペナルティで、一つランクが下がる」
「あ、そろそろ移動しないと」
ノアとベスが、レオンも席を立つ。

「B-10って事は、あなたプロ?」
キャシーが聞いて来た。
速水は少し考えた。
自分が出た大会と言える物は、ジャックと出た物だけだ。
その翌年、つまり今年四月の同大会ソロでの準優勝は、運が味方したか、お情けか。
PVにも出たが、相手はジャックの友人だし、スポーツメーカーとの契約も、次の仕事の打ち合わせも、誘拐されすっぽかしてしまったし…。
…まだプロと言うほどの活動もしていない。彼はそう思った。

「そのうち、なりたいって思う」
「あら。アマなの?」
速水は勘違いを引き起こし、最上階を後にした。

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